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ANAの「重要な経営課題」騒動と「なんちゃって行動経済学」

本日、ANAHD(全日空ホールディングス)の社長さんが出席して「重要な経営課題」に関して記者会見を開く、との広報がなされ、ANAHDの株価が大荒れとなりました。一時は前日比7%も下落したとのこと(毎日ニュースが詳しく報じています)。フタを開けてみると重要事業会社の社長交代に関するリリースだった・・・とのことで「え?、重要な経営課題って、これだったの?」と一気に株価が急上昇しました。

「重要な経営課題」ということですから、M&Aなどの前向きな経営判断の決定もあれば、提携解消や不祥事の発覚といった後向きの判断や発生事実もありえます。もちろん重要事業会社の人事問題も立派な「経営課題」です。しかし、「重要な経営課題」を悲観的なニュースと捉えて、約7%も株価が下落するというのは興味深いですね。いえ、私も「またブログネタが増えるかも?」と、不謹慎にも考えてしまいました(笑)。

私は経済学は素人ですが、米国のノーベル経済学者ダニエル・カーネマン氏のご著書「ファスト&スロー」の発想からすると、証券市場に詳しければ詳しいほど、いわゆる「利用可能性ヒューリスティック」によって不合理なバイアスが働いてしまうものと思います。いま、世の中は東芝問題で揺れていることもありますが「重要な経営課題」と聴くと、「ああ、そういえば過去にも同じようなテーマの会見で悪いニュースが多かったよな」との認識がバイアスを生み、悲観的な結果を(楽観的な結果よりも)強く認識してしまいます。また、とくに証券市場に利害関係のない人たちからすると「他人の不幸は蜜の味」といった「感情ヒューリスティック」が機能して、悲観的なバイアスを生み出すことも考えられます。

そして「プロスペクト理論」ですね。合理的に考えれば確率が同じであったとしても、利益を得る結果と損失を生む結果を比べると、人間は損失回避の選択を優先する、という不合理な方向に動いてしまう行動法則です。こういったヒューリスティックスもプロスペクト理論も、何万年も人間が種を残していかねばならない動物である以上、制御不能な脳の働きだからしかたがない、ということなのでしょうね(ちなみに1か月後、もう一回ANAさんが「本日、重要な経営課題について会見をします」と広報したら、今度はどんな株価になるのか興味があります)。

しかし人工知能だと、こういったバイアスや思い込みといった脳の働きはなくなるのでしょうかね?だとすれば、やっぱりAIを活用した投資活動は儲けを生みやすい、ということになるのでしょう。あと、ガバナンス改革で求められている「健全なリスクテイク」なる概念もプロスペクト理論で考えるとコワいですね。このままだとドンジリになることが経営者にも確実にわかったので、リスクテイクを選好する、という結果になったと考えるのが(認知心理学、行動経済学的には)筋ではないかと。

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