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新築マンション発売24年ぶり低水準の断末魔

リーマン・ショック後と同じ「動き」

マンション専業ゼネコンの長谷工コーポレーションが最近、デベロッパーの無理難題に頭を悩ませている。「施工費を引き下げてくれないか」というのだ。正式に契約する前の物件の話しならわかる。しかし、そうではない。いったん契約して建設も始まっているにもかかわらず、「5%から10%引きを平気で言ってくる」という。

実は、こういったゼネコンへの注文は何も長谷工だけではない。鹿島や大成建設など大手ゼネコンにも「何とか年度末までに処理したいので泣いてくれないか」と言ってくるデベロッパーが引きもきらない。

もっとも、ここで注意したいのは、デベロッパーが「年度末」と期限を切っていること。これは「いったんここで処理してしまわないと大変なことになる」との判断がデベロッパー側にあることを意味する。つまり今年3月末までに在庫処分しようとしているということだ。

今、マンションが売れていない。2016年の首都圏の新築マンション発売戸数は前年比で11.6%マイナスの3万5772戸で、バブル崩壊直後の1992年に次ぐ24年ぶりの低い水準だ。上昇の兆しはあるものの歴史的にみれば住宅ローン金利は依然、最低水準。それなのに売れない。マンションの販売価格が高騰し過ぎて消費者がついていけないのだ。

別に、売るマンションがなかったわけではない。手元に売るべき物件はあるが、当初想定していた価格が高すぎてマーケットに出せなかったのだ。「市況が回復するまで」と物件を手元に抱え込んでいるうちに、在庫が膨らんでしまったのだ。

ただ、デベロッパー各社が様子見を続けていられるのも年明けまで。2017年3月期で特別損失を計上、ケリをつけてしまわないと、翌期に持ち越せばさらに損失が膨らむリスクをはらむ。下手をすれば落とすに落とせなくなってしまう。だから建築費をゼネコンに割り引いてもらったうえで、損失を計上して販売価格を引き下げ、処分する計画なのだ。

建築費の高騰の最大の原因は人手不足

こうした動きは以前にもあった。2008年のリーマン・ショックの後だ。当時もマンション価格は高騰、「新・価格」とか「新・新価格」などといった言葉が飛び交うくらいにうなぎ登りに上がっていった。そこでバブル崩壊。マンション市況は一気に冷え込んだ。

この時はアーバンコーポレイション、モリモトなどカタカナ不動産会社が一気に割を食った。三井不動産や住友不動産など財閥系の大手不動産はオフィスビルの利益で、マンション事業の損を処理し事なきを得たが、マンション一本足打法のカタカナ不動産会社は資金がたちまちショートし、次々と倒産に追い込まれていってしまった。

今回はどうか。おそらく経営が厳しくなる不動産会社はいくつかでてくるだろう。ただ、今回はリーマン・ショック時とは異なり、理由なく上昇していた不動産バブルがはじけたわけではない。着工していない土地なら建築費が落ち着くまで待てばいい。出口は見えている。

ただ、問題はその出口が限りなく遠いことだ。今の建築費の高騰の最大の要因は人手不足だが、その人手不足の解消に簡単にメドがつくとは思えない。今回の人手不足は、東日本大震災の復興需要に、2020年の東京オリンピックとそれにまつわる社会インフラ需要が重なったことが要因だ。

ゼネコン側が別に食い扶持に困るわけでもないために、マンションのダンピング受注をしなくなった。不動産会社はゼネコンの言い値で仕事を請け負わざるを得なくなっており、この状況は少なくとも2020年の直前まで続く。

消費者もそこはよく見ていて、別に価値が上がっているわけでもないのに価格が上がっている物件を買うことはしない。2016年に中古の民間分譲マンションの戸数が新築を上回ったのは、まさにそれが理由だ。同じお金を払うなら建築費が安い時に建てた資産価値の高いものの方がいいと判断しているのだ。

この状態が3年も続くとなるとキツイのはマンション専業のデベロッパーや専業ゼネコン。新築が売れてこそのビジネスモデルだから、仕事がなければ会社は回らない。この春は越えられても次の春はどうか、といった声が出始めている。

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