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猫を狂わす謎の食品「ちゅ~る」を知っていますか? - 高野 秀行

イラスト 小幡彩貴

  ここ数年、猫の世界の中でいなばペットフードの「チャオちゅ~る」(以下略して「ちゅ~る」)という食品が大ブームとなっている。

 ご存じない? それは遅れてますよ!……と言いたいが、私も猫を飼ってないので、昨年の秋にやっと知った。場所は料理研究家の枝元なほみさんのお宅。NHK Eテレの「SWITCHインタビュー」という対談番組で食文化について話をしているとき、枝元さんの愛猫がにゃーにゃー言いながら撮影現場に現れた。何かを訴えているようだ。「あ、ちょっとすみません」と枝元さんがいそいそと冷蔵庫から細長いチューブ状のおやつを取り出して猫にあげている。とろっとしたマヨネーズみたいなものだった。猫は夢中でそれをむさぼっていた。

 それがちゅ~るだ。「あまりに夢中で、心配になっちゃうくらい」と枝元さん。

 以後、あちこちで猫飼いの人からちゅ~るの話を聞いた。曰く「うちの猫は好き嫌いが激しいけど、ちゅ~るだけは別格」「狂ったように食べる」「食いつきがハンパない。何かヤバイものが入ってるんじゃないか」などなど。

 動物ライターである妻・片野ゆかによれば、警戒心が強くて人が近づくと歯をむき出して威嚇する野良猫も、ちゅ~るを差し出すとピタッと大人しくなり魅入られたように舐め始めると言う。つまり、人間世界になれているかどうかにかかわらず、猫には絶対的な魔力があるらしい。

ちゅ~るに夢中な猫

 マタタビでも入っているのではと思ったが、例えば「まぐろ(味)」の原材料を見ると、「まぐろ、まぐろエキス、タンパク加水分解物、糖類(オリゴ糖等)、植物性油脂、増粘剤(加工でん粉)、ミネラル類、増粘多糖類、調味料(アミノ酸等)、ビタミンE、緑茶エキス、紅麹色素」と、特に変わったものは見当たらない。緑茶エキスもごく微量で猫の心身に影響は及ぼさないそうだ。

 ちゅ~る、謎である。

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