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「慰安婦像」問題の本当の「落としどころ」は、どこか?

先日、僕が司会をするBS朝日の番組「激論!クロスファイア」で、日韓問題を取り上げた。目下、日韓問題の中心は慰安婦問題である。はっきり言えば「慰安婦像」問題に尽きる。

2015年末、岸田文雄外相は日韓外相会談において、長年両国の棘になっていた慰安婦問題につき、「最終的かつ不可逆的に解決」したとの合意に達したと発表した。そこで韓国政府は、日本大使館前の像も撤去すると明言している。この合意に基づいて日本政府は、「10億円」を拠出した。そのお金はすでに元従軍慰安婦の方々に、配られたと聞く。

これで、「慰安婦問題の解決」は達成された、と多くの日本人は思ったはずだ。僕もそう考えていた。ところが、大使館前の像を撤去するどころか、昨年12月、韓国の釜山にある日本の総領事館前に、新たな従軍慰安婦像が設置されたのだ。「外国公館の安全と品位を保護する義務」を定めた、ウィーン条約に対する明らかな違反だろう。だから日本政府は、対抗措置として駐韓国大使と釜山総領事を帰国させたのだ。

今回、「激論!クロスファイア」ではこの問題を取り上げた。話を論じるのは、ジャーナリストとしてソウルに30年以上暮らす、産経新聞の黒田勝弘さん。もうひとりは恵泉女学園大学准教授、李泳采さんだ。

李さんは、韓国国民はもともと日韓合意に不満だった、だから、もっと「長い期間をかけて、例えば5年以上かけて解決していくべき」だったという。元従軍慰安婦の方々はみな高齢だ。5年も経ったら、すでに存命でない可能性も高いのではないか。李さんの言葉は、この問題がすでに「従軍慰安婦」本人のためではなく、当事者ではない人びとによって、政治問題になっていることの表れだと僕は感じた。

一方、韓国をよく知る黒田さんは、「韓国のどこかに慰安婦の像を作るなら、仕方ないと思う。けれど日本大使館の前に建てるというのは明らかな外交問題だ」と語っていた。

1時間ではまったく足りないくらい、議論は白熱した。とにかく難しい問題だ、そう感じるほど、議論は尽きなかった。ただひとつ言えるのは、過去は消すことができないということだ。そして、国と国がお互いに完全に納得することはとても難しいことでもあると。であれば、外交というのは、そのなんとか合意できる点を探り当てることなのではないか。

黒田さんは、このことを「落としどころ」という言葉で表現した。ところが、やっとその「落としどころ」を見つけたと思ったとたん、今回の事態が起きたと語っていた。

「日本と韓国は何をケンカしてるんだ」とアメリカは思っているだろう、という話にもなった。「北朝鮮問題、テロ問題……世界には危機があふれているんだから、日本と韓国はうまくやってくれよ」と、アメリカにすれば、そう思って同然だろう。

歴史問題、とくに従軍慰安婦問題が、重要ではないなどと言うつもりはまったくない。けれど、大人としての「落としどころ」を見つけていくのが、外交というものだ。ふたりの話を聞きながら、そう思わずにはいられなかった。

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