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韓国でもアフリカ発密輸が急増|世界ATSアセスメント5

今日は、国連薬物犯罪事務所(UNODC)が発表したATSに関する報告書『2011年版世界ATS報告書』に関する連載記事の番外編です。世界的な視野でメタンフェタミンの流れをとらえた場合、日本と韓国はいろんな意味でひとくくりに位置づけられるようで、この報告書では、日本と韓国はワンセットの覚せい剤市場として扱われています。

たしかに、薬物乱用の状況がそれほど深刻ではない点も、乱用される薬物の代表が覚せい剤である点も、日本と韓国の事情はよく似ているようです。
その韓国から、覚せい剤密輸が急増、しかもアフリカ発が増加したというニュースが届いています。
<韓国のニュースから>
●韓国で麻薬密輸が急増、金額で昨年1年間の2.7倍
【ソウル聯合ニュース】韓国の関税庁が1〜7月に摘発した麻薬密輸の件数は100件で、総量は2万1417グラムだったことが21日、分かった。末端価格は524億ウォン(約35億円)となり、昨年1年間の2.7倍に上った。

麻薬密輸は末端価格基準で2008年の768億ウォンをピークに、減少傾向にあった。
摘発された麻薬は覚せい剤の一種であるメタンフェタミンが447億ウォン、コカインが63億ウォンと大部分を占めた。
密輸ルートでは国際郵便が46件で最も多く、特別貨物25件、航空機20件、船舶5件、その他4件だった。
南アフリカ共和国からの持ち込みが最多で、カナダ、中国、パナマ、台湾の順だった。
聯合ニュース 2011/09/21
http://japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2011/09/21/0200000000AJP20110921001500882.HTML
<過去のニュース>
●昨年の麻薬事犯18%減も、外国人比率高く多国籍化

【ソウル聯合ニュース】大検察庁(最高検察庁に相当)が10日に公表した『2010年麻薬類犯罪白書』によると、昨年検挙した麻薬類事犯は9732人で、前年の1万1875人に比べ18.0%少なかった。このうち6771人(69.6%)は覚せい剤など向精神薬、1837人(18.9%)が大麻、1124人(11.5%)がケシ(11.5%)などの事犯だった。
麻薬類事犯の数は、検察と警察の取り締まりにより韓国内の麻薬組織がほぼ壊滅したことで2003〜2006年は7000人台にとどまったが、2007年から再び1万人を超える規模に増えていた。昨年はこれが下方安定に転じた。
ただ検察は、観光や就業などの目的で韓国に滞在する外国人の増加により、外国人麻薬類事犯が多国籍化し高い比率を維持していると指摘する。
昨年に摘発された外国人麻薬類事犯は31カ国、858人で、前年(28カ国、890人)より人数は3.6%少ないものの、国籍が多様化した。出身地別の人数は、タイ419人、スリランカ124人、米国96人、中国52人、ロシア51人、ガーナ25人、カナダ12人、ウズベキスタン11人などの順。
大検察庁は、捜査機関の追跡を避けるのが容易で運搬リスクの負担も少ない国際郵便や国際宅配便を利用した麻薬類の密輸入が増え、密輸先も中国からアフリカなどに広がっており、対策作りに力を入れていると話した。
検察は外国産麻薬類の韓国密輸入を未然に防ぐため、主要空港・港湾に捜査員を集中的に配置する方針を明らかにした。検察、税関の合同捜査チームを結成するなど、関係機関の共同体制も強化する。
さらに、海外捜査機関と連係し、国内外の麻薬類事犯の身元、写真、犯罪情報をデータベース化した情報システムを構築し、捜査に積極的に活用する方針だ。国際協力強化に向けては、来年上半期に東南アジア諸国連合(ASEAN)地域の麻薬類統制協議体の創設も進めている。
聯合ニュース 2011/07/10
http://japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2011/07/10/0200000000AJP20110710000200882.HTML
●今年1-4月期の覚せい剤密輸急増を報じる記事も
同じ聯合ニュースは6月17日付けで、麻薬類密輸摘発が4月ですでに昨年1年分を上回ったと報じました。、「2008年の北京五輪を前後に中国政府が取り締まりを強化して中国産覚せい剤は減少したが、アフリカやカナダからの密輸が増えている」と税関関係者は説明しています。
関税庁は麻薬密輸の根絶のため、西アフリカなどからの旅行者や荷物に対し、麻薬探知機や探知犬などを動員した特別取り締まりを実施し、検察、警察、米麻薬取締局(DEA)などと共助を強化する計画だと伝えられました。
聯合ニュース 2011/06/17
http://japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2011/06/17/0200000000AJP20110617002000882.HTML

日本と韓国の覚せい剤事情はとても似ている



韓国と日本は、経済活動が活発なわりに薬物問題はそれほど深刻ではなく、世界の薬物状況を考えるうえで、ほとんど注目されることのない国です。そのため、私もこれまで、韓国の薬物事情に目を向ける機会がないまま過ごしてきましたが、世界ATSアセスメントを読み進めるうちに、日本と韓国の覚せい剤事情が実によく似ていることに、改めて気づきました。

日本で摘発された覚せい剤密輸事件には、韓国のインチョン空港から乗り継いできたケースも少なくありません。おそらく、韓国で摘発された密輸事犯のなかには、日本に向かう途上、乗り継ぎ地の韓国で薬物が発見され、逮捕されたケースもあるでしょう。上のニュースが示しているように、覚せい剤の密輸に関しても、韓国ではわが国と実によく似たことが同時に起きているのだと、つくづく思います。

『2011年版世界ATSアセスメント』29-30ページに、韓国の状況のまとめがあるので、その概要を紹介しておきます。
わが国と同じように、乱用される薬物のトップは覚せい剤で、2008年では薬物事犯検挙者全体の60-70%が覚せい剤事犯でした。

画像

↑●韓国のATS関連の逮捕者数、2006-2010年(韓国大検察庁2011年の資料から)
2011年版世界ATSアセスメント30ページより転載

韓国では、近年、国内に流通する薬物が減少しているといわれ、覚せい剤の末端価格が上昇し、押収量は減少ぎみです。
韓国で流通している覚せい剤のほとんどは中国から密輸されているとみられますが、カンボジア、マレーシア、南アフリカ、および台湾からの密輸が増加しています。

1990年代末から、少数ながら、覚せい剤密造が摘発されていますが、2010年には、小規模なキッチン・ラボ型の覚せい剤密造が4件摘発されました。

また、オーストラリア向けとみられるエフェドリンが韓国内で押収され、韓国から密輸されたとみられるプソイドエフェドリン製剤がカンボジアで押収されるなど、韓国を経由する前駆物質の国際流通に関係する押収も続いています。

[出典]
国連薬物犯罪事務所編『2011年版世界ATSアセスメント2011 Global ATS Assessment』
http://www.unodc.org/documents/ATS/ATS_Global_Assessment_2011.pdf

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