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日銀の政策委員はイールドカーブ・コントロールをどう考えているのか

 日銀は8日に金融政策決定会合における主な意見(1月31日、2月1日開催分)を公表した。このなかの金融政策運営に関する意見において次のようなものがあった。

 「日本は2%の物価安定目標からほど遠い位置にあるので、米国の金利が上がっても、短期金利をマイナス0.1%に、10年物国債金利を0%程度に維持する形で、イールドカーブ・コントロールを続けるべきである。」

 短期金利をマイナスにし、長期金利をゼロに押さえ込めば何故、物価目標を達成できるのか。この意見のキーは「米国の金利が上がっても」という箇所にあろう。つまり日米の金利差を拡大させることで、「円安」効果を狙っている事を示している。これを知ったらトランプ氏がゴルフ場で文句を言ってきそうである。

 「わが国の経済・物価情勢は着実に改善しているが、海外経済を巡る不確実性等も踏まえると、早急な政策変更には慎重であるべきである。当面は、現行の枠組みの下で、粘り強くその効果を見守ることが肝要である。」

 「早急な政策変更」とは何であろうか。文脈から察するにこれは追加緩和よりも引き締め転換を意識したものとみられる。つまり長期金利には上昇圧力が掛かっているが、長期金利の目標水準の引き上げといった「早急な政策変更」は当面、避けるべきとの意見であろう。これはつまりその分、潜在的な利上げ圧力が加わりつつあるとの見方ともなる。

 「米国長期金利の上昇などを受けて、日本銀行が長期金利の操作目標を引き上げるのではないかとの憶測も聞かれるが、2%の物価安定目標にはまだ距離があるため、現在の方針を堅持することが何より重要である。」

 ここではっきり「長期金利の操作目標を引き上げ」と言及している。物価安定目標にはまだ距離があるためにそれは避けるべきというのは、日米の長期金利差が意識されていることになる。

 「現行の金融政策の枠組みは所期の効果を発揮している 。オペレーションの柔軟な調整等、その運用についても市場は冷静に受け止めている。」

 現行の金融政策の枠組みは所期の効果を発揮していないし(物価はマイナス)、オペレーションの柔軟な調整等、その運用についても市場は冷静に受け止めておらず、慌てた日銀は3日、指し値オペ実施に追い込まれているのだが。

 「グローバルな市場の不透明感が高いもと、些細なことでレベル感は大きく変わり得るものであり、そうした時にイールドカーブのコントローラビリティに対する市場の疑念が高まりかねない。執行部に一定の裁量を持たせ、肌理細かな調節運営を引き続き行うことが重要である。」

 前半部分には同意であるが、執行部に一定の裁量を持たせ、肌理細かな調節運営を行おうとした結果が、ここにきての国債買入を巡るゴタゴタの要因となっている。債券市場のマインドを読みながら、しっかり対話を行った上で、適切な調節運営が求められるが、それがうまくいっているようには思えない。

 「イールドカーブ・コントロールのもとでは、国債買入れオペの金額やタイミング、回数などは実務的に決定され、日々のオペ運営によって先行きの政策スタンスを示すことはないことを、改めてはっきりと説明していくことが重要である。」

 金融政策のスタンスそのものは政策委員が決定することである。ただし、国債買入の継続性に問題も生じ、それに対してテーパリングと映らないよう、金利の上昇圧力が強まる環境のなか、買入額の縮小を図るという、なかなか困難な対応を日銀の執行部に求めているようであるが、それには限界があることも露見しつつある。

 「日本銀行は、短期金利だけでなく、長期金利についても、 2%の物価安定目標を安定的に実現するために操作を行っている。このため、物価が低位で推移するもとで、米国長期金利が大幅に上昇すると、長期金利目標を実現するための金利操作は一層困難度合いが高まる。この点からも、イールドカーブ・コントロールの枠組みを見直すメリットは大きい。資産買入れ額に新たに目標を設定し、それを秩序だって段階的に低下させていくことが、政策の持続性と市場の安定性を高める。」

 これが正論であると思う。しかし、これはどう考えても緩和策の修正に映ってしまうため、それが建前上できないところにいまの日銀の金融政策の矛盾点がある。  

「10年金利の目標をゼロ%程度とすることに反対であり、望ましい経済・物価情勢の実現に最適なイールドカーブの形状は適度にスティープであるべきと思う。また、理論的には、国債買入れの進捗とともにストック効果から金利低下圧力がかかるので、金融調節方針と整合的なイールドカーブ実現のためには、市場の反応を慎重に探りつつ減額を模索していけばよい。経済・物価情勢の改善を先取りして長期金利が上昇する場合、市場追随で政策を調整していくのがプルーデントな政策運営と思う。なお、短国買入れについては、市場動向を慎重に見極めつつ一段の減額を模索すべきである。」

 こちらについても同意である。この2つの意見は木内委員と佐藤委員の意見と思われるが、このふたりの委員は7月で任期満了となる。こういった正論から日銀はさらに遠ざかってしまうのであろうか。

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