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欧州大陸の行方

英国メイ首相のEU離脱の明示はそれまでのもやもや感を吹き飛ばしました。EUという大連合は何処に向かうのでしょうか?

欧州の歴史とは帝国や君主の力と力の戦いだったといってよいでしょう。日本でいう「戦国時代」と本質は違いますが、イメージできるかと思います。その歴史は血で血を洗い、弱肉強食そのものであったといえます。民族の相違から考え方が違うこともありました。しかし、大戦前から少しずつ、連合を組む考え方が醸成されてきました。そして大戦後、欧州石炭鉄鋼共同体が生まれます。この創設国は西独、伊、仏、蘭、ベルギー、ルクセンブルグの6か国であります。

その後、発展的に形を変えた欧州経済共同体に設立から15年も経て英国が加盟します。理由の一つに英国主導の共同体(EFTA)が欧州共同体に敗北したこともあったでしょう。英国の独自路線は比較的緩い連携を目指したのに対して大陸は堅い繋がりを持つものを求めました。共通通貨ユーロができた際にも英国は自国通貨、ポンドを捨てなかった思想的背景はこの辺りに探ることが出来そうです。

欧州大陸と英国は明らかに違う文化を持ち続けました。それは日本が大陸文化と違うのと同じであります。そして日本と同じように「血統(ブラッド)」を重視する気持ちは強かったと思います。外国人が英国で学んだり技術を習得するのは構わないが、英国人がしいたげられたり、誰かに使われるというのはプライドが許しませんでした。これは私が学生の時、英国にしばし滞在した際にも明白なる印象として残っています。

今回の英国のEUからの明白なる離脱方針を受けて欧州大陸にどのような力学が働くのか、私も考えてみました。例えば一部のシティにある金融機関は大陸にその機能を移すと表明しているところもあるようですが、それはセンスとして違う気がします。目先の確保されたメリットを求めるのではなく、シティにあるからこそできる技があるはずでそれがデュッセルドルフやパリに代替できるとは到底思えません。保険会社のロイズが大陸に行く想像力は私には皆無であります。

多分ですが、多くのシティの金融機関はロンドンに残りながら生き残り策を模索するのではないでしょうか?(一部はニューヨークに移管させ、業務リスクをヘッジさせるでしょう。)つまり、大陸側からすれば英国離脱によるおこぼれは思った以上に少ないとみています。英国は米国同様二国間協定を可及的速やかに締結していくことになると思いますが、離脱交渉と並行して進められるものか、ここは交渉が相手あってのことだけに何とも言い難いところであります。

一方の大陸側ですが、今後、旧フランク帝国の国家がどこまで南欧と東欧を抑えられるか、であります。これはドイツの覇権能力次第でありますが、今年のドイツ総選挙の行方は何とも言えません。メルケル首相は再び立候補の意向を示していますが、メルケル氏の華のある時代は過ぎ去った気がします。

私は欧州は東から波乱がやってくるとみています。先日ちらっと触れたセルビア、コソボ問題はロシアと英米の典型的な対立軸ですが、それはセルビア人とアルバニア人という民族間闘争を背景にしています。ではこの問題を大陸の当事者であるドイツないし旧フランク帝国宗主が解決できるのでしょうか?欧州大陸の歴史は戦争に次ぐ戦争であり、力と力のぶつかり合いが全てでありました。いまさら、ドイツがうまい仲裁役となれるとは思えません。どちらかに加勢する発想の連続でした。それは近年ではウクライナの時に既に証明されています。

欧州大陸は経済的な格差、民族的区別、宗教的差異の三つの違いを乗り越えなくてはいけません。特に宗教は面倒で、ドイツと北欧のプロテスタントに対して西側欧州諸国の多くはカトリック、更にはギリシャ正教が東欧、ロシアにつながります。この三大宗教勢力だけでも大きな歪といえましょう。

EUが体制を維持できるかどうかはドイツの力にかかってくると思います。ただし、ギリシャ救済の際、ドイツ国内で大きなボイスがあったのをメルケル首相が必死に抑えた経緯を忘れてはいけません。そのあたりを考えると大陸は悩ましい時代を迎えるのかもしれません。そして英米連合が目指すものはドル覇権の世界なのかもしれません。

世界の行方から目が離せなくなりそうです。

では今日はこのぐらいで。

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