記事

【米中の通商ビジョンの違い】

アメリカのトランプ大統領がTPP=環太平洋パートナーシップから離脱するための大統領令に署名しました。

これを受けて、WSJとFTが先週の習近平国会首席のダボス会議での演説を引き合いに、米中の通過ビジョンの違い描いています。

FTの挿絵が秀逸です。

[画像をブログで見る]

(FT)

Make America Great Againの野球帽をかぶったトランプ大統領がせっせと保護主義を象徴する壁をつくる一方で、中国の習近平国家主席がその壁をたたき壊すタイミングを見計らっている様子です。

ホワイトハウスのHPを見るとトランプ大統領の米通商代表に対する指示は3つです。

■アメリカをTPPの加盟国から離脱させること、■アメリカをTPP交渉から永久に離脱させること、■アメリカの産業を推進し、アメリカの労働者を保護し、アメリカの賃金を引き上げるために、可能な時期に2国間交渉を開始すること。

https://www.whitehouse.gov/the-press-office/2017/01/23/presidential-memorandum-regarding-withdrawal-united-states-trans-pacific

[画像をブログで見る]

(Reuters)

WSJの社説はTrump’s Pacific Trade Retreat- The failure is a strategic win for China and a defeat for Japan’s Shinzo Abe

(トランプのTPP離脱~この失敗は中国には戦略的な勝利で、日本の安倍首相には敗北)とあります。

■トランプ大統領は選挙戦の公約を守り、12か国のTPPから正式に離脱するための大統領令に署名した。離脱は簡単だ。これからはその影響に対応しないといけない。

■アメリカの新たな通商政策の結果、中国の習近平国家主席が先週、ダボス会議で自由貿易のメリットを説教するという、水をワインに変えるようなミラクルを引き起こした(led to the water-into-wine miracle) 。問題は、中国は輸出について自由貿易を高らかにうたう一方で、自国ではまったく異なる慣行を続けることだ。

■トランプ氏と周辺は、中国との通商政策の再交渉を目指している。対中貿易赤字を削減するという以外の政策は分からないが。皮肉なことにトランプ氏はTPPに加盟していた方が交渉のレバレッジがあったはずだ。

■トランプ氏はとりわけ日本を安心させるための戦略(reassurance strategy)が必要だ。安倍首相は経済改革によって経済を再び成長させようとしている。TPPで国内の既得権益を打破しようとしていたが、アメリカの離脱によって代替案(Plan B)が必要となる。トランプ氏は、TPPの骨格を使って日米FTAを構築するのが賢明だろう。何はともあれ、ティラーソン氏は国務長官としての初外遊先を日本とするべきだ。

FTでマーチン・ウルフ氏は、中国のビジョンに軍配をあげた上で、アメリカの方向性はアメリカを含めた世界にとって不幸だと締めくくっています。

■中国の習近平国家主席は先週、ダボス会議でグローバル化について演説した。その中身はこれまでならアメリカの大統領が行うようなものだった。

■トランプ氏は先週の就任演説でアメリカの大統領とは思えないような発言をした。米中のコントラストは度肝を抜く(The contrast is astounding) 。

■習首席は、グローバル化は困難を伴うものの「世界の問題を経済のグローバル化のせいにするのは現実的ではない」として、恩恵を並べた。

■トランプ氏はTPPから離脱し、NAFTAの再交渉に臨むという。トランプ氏の通商アドバイザーのPeter Narroと商務長官となるWilber Ross は※"Trump Trade Doctrine"として、「どんな合意もアメリカ経済の成長を加速させ、貿易赤字を縮小させ、アメリカの製造業を強くするものでないといけない」と主張する。

■習首席の中国はアメリカに取って代わることはできない。むしろ、通商政策どうしの乱戦(trade policy free-for all)となるだろう。習首席のビジョンは正しい。しかし、トランプ氏の支持がなければ機能しない。それは誰にとってもいいことではない。アメリカにとっても、だ。

https://assets.donaldjtrump.com/Trump_Economic_Plan.pdf

あわせて読みたい

「ドナルド・トランプ」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    野田聖子氏の文春砲を扱わないTV

    小林よしのり

  2. 2

    「米は北攻撃できない」は本当か

    自由人

  3. 3

    北におびえ足並み乱す韓国大統領

    NEXT MEDIA "Japan In-depth"

  4. 4

    元TBS記者の不起訴に異常な警察

    猪野 亨

  5. 5

    山尾議員の不倫相手は恥だと思え

    小林よしのり

  6. 6

    米国空軍のB1爆撃機が怖い北朝鮮

    和田政宗

  7. 7

    共産党のデマがはびこる堺市長選

    足立康史

  8. 8

    松本人志マッチョ化は典型的変節

    文春オンライン

  9. 9

    「脱デフレは幻想」イオンが証明

    近藤駿介

  10. 10

    よしのり氏 山尾氏の謝罪に苦言

    小林よしのり

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。