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トランプ大統領のディール

トランプ大統領は何をするかわからない、というメディアのコメントは就任後も続いています。私にはおぼろげながら読めてきました。彼はディール(取引)好きのゲームプレイヤーと言ったら表現が悪すぎるでしょうか?

TPPを離脱宣言した理由は何でしょうか?簡単です。既に出来上がった分厚い契約の文言に縛られ、なんら再交渉の余地がないものを何故、俺が承諾しなくてはいけないのだ、と。たったこれだけだと思っています。

画家は真っ白いキャンパスに自分が思う存分表現したいことを描き出すことに魅力を感じ、それが芸術作品として評価されます。私がやりかけの不動産開発事業を親会社から買収する殺し文句はこうでした。「不動産開発事業者は自分の描いた建物を作ることを誇りとします。しかし、色がついた開発事業の色を変えることはできません。ですからこれを引き継げるのは優秀なアドミニストレーターか白いキャンバスに絵を描き続けてきた私しかいません」と。

NAFTAも再交渉することでメキシコ、カナダの国家元首と会談することになっています。トランプ大統領は個別のディールがしたいのだろうと思います。例えばメキシコはアメリカの工場と化しています。更に「工場の従業員」が国境を越えてアメリカで不法労働しています。このディールに於いてトランプ氏が「壁の建設代金はメキシコが払え」というのは理にかなっているのです。「工場の従業員は工場内に留めてくれなければメキシコから輸入される農産物から工業製品まで制約の対象にする」ということです。

ディールとはフェアネスを前提とします。現状を顧みて修正しなくてはいけないところを直す、というのは至極当然の話であります。会社の社長であればだれでもやることでしょう。トランプ氏がビジネスマンである故の発想だと考えています。

シャープを買収した鴻海がシャープの工場をアメリカに8000億円規模で新設するようです。中国から買うのを止めてアメリカで作る、という発想に適合させるためです。アップルという会社は生産能力を全く持っていません。そのため、全ての工場の場所はその業者次第でありました。工場はグローバル化という経済の流れのもと、最も効率的にできる場所に存在していました。今回の鴻海の決定はこの流れをいったん打ち切り、アメリカの為の投資を行います。同様のことは日本電産の永守社長も指摘しています。

アメリカに工場なんて大丈夫なのか、という声は大きいでしょう。こう考えたらどうでしょうか?かつては多くの作業を外注していたが、今後は内製化する、と。外注することに対するデメリットは何でしょうか?利益が薄くなることでしょう。アメリカのMBA的発想ならアメリカはもっと利益率の高い事業に選択と集中をしていくべきだと習ったかもしれません。ところがトランプ氏の発想は違います。「会社は従業員をリストラできるが、国家は国民をリストラできない」であります。

リストラできないのですから仕事が廻ってくるようにするのが政府の仕事であります。オバマ大統領の時代、アメリカ経済はリーマンショックから稀有の回復力を見せました。何故でしょうか?金融のおかげです。リーマンショック以降、中央銀行が時代の主役でありました。アメリカの場合はFRBです。

私のブログでも雇用統計を必ずフォローし、FOMCの解説をし続けてきたのはアメリカ経済の原動力であったからです。その間、政治主導の経済回復力は何があったのでしょうか?長く続いた議会のねじれ、そしてレームダック化でアメリカの政治は何もしてこなかったのです。クリントン氏が大統領になれなかったのはそこを見落としたのにも関わらず、ウォール街にすり寄ってしまったからです。変えられないクリントン氏が浮き彫りになったといってよいでしょう。

トランプ氏のディールは個別企業ベースと個別国家ベースで進んでいくはずです。安倍首相は大統領のトランプ氏と早めの会談を求めています。ただ思ったよりスケジュールが先送りされる気がします。何故ならトランプ大統領の目は外交より内政、そして経済が最優先であり、外交は直接的影響のあるメキシコ、カナダ、英国、最大のターゲットである中国を先に進める気がします。中国はその中で順番的には後回しにするはずです。理由はディールしやすい英国と足場を固め、メキシコとの勝負をつけ、カナダを手のひらの上でころころして体制を作ってからにするからであります。(カナダはアメリカ資本が圧倒的影響力を持っている上に政財界の重要どころは北米ユダヤが牛耳っていますからトランプ氏にしてみればやりやすいでしょう。)

会談を急ぐ安倍首相に懸念するのは会談した際の成果、そしてその土産であります。ビジネスディールならギブアンドテイクが原則です。今まで大きな発表をしてきた企業はほとんどがアメリカにこれだけのメリットがありますということを声高に表明しています。企業ベースならこれは可能です。しかし、国家間となると簡単ではありません。それゆえにまずはトランプ大統領がメキシコ大統領とどのようなゲームプレイをするのか、これを見てから動き出しても遅くはない気がします。

トランプ大統領はかつてないタイプであることは間違いありません。が、愛国心はかつての大統領と比較しても相当高いはずです。その国民を幸せにするゲームにどのようなゲームアイテムを使ってくるのか、ここからは目が離せません。

では今日はこのぐらいで。

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