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大前研一「赤字財政に政情不安 EU4位の大国イタリアの現状」

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【連載第1回】鞄や家具などのものづくり、ファッションやオペラなどの文化。歴史的建造物が連なる町並みや穏やかな農村。国のいたるところに文化と産業が息づく町があるイタリア。国家財政・社会情勢が悪化する中、なぜイタリアの地方都市は活気に満ちているのか。イタリアに日本の課題「地方創生」解決のヒントを探る。

本連載では書籍『大前研一ビジネスジャーナルNo.11』(2016年8月発行)より、日本の「地方創生」の課題に迫ります(本記事の解説は2015年7月の大前研一さんの経営セミナー「イタリア『国破れて地方都市あり』の真髄」より編集部にて再編集・収録しました)。

タガが外れる寸前の厳しい国家財政


EU4位の大国 1人当たりGDPは中位


まずはイタリアという国を知るために、さまざまな側面からイタリアのデータを見ていきましょう。

イタリアは人口およそ6,000万人、欧州連合(以下EU)加盟国の中でドイツ、イギリス、フランスに次ぐ規模の大国です。ところが、図-1が示す通り、1人当たりGDPで言えば北欧諸国が圧倒的に上を行き、イタリアは約3万5,000ドルで中位レベルにとどまっています。

同図では、イタリアに次いでスペインが約3万ドル、ギリシャが約2万ドルとなっています。
余談ではありますが、実力で言えばギリシャは1万ドルといったところでしょう。EUに加盟していることで実力の2倍ほどに嵩上げされていますが、一度ギリシャはEUから離脱して実力相応の1万ドル国家に戻れば、また国として強くなっていくのではないかと、私は思っています。
現状のような中途半端なEUの救済では、失敗に終わることが目に見えています。

 (2913)

赤字続きで大きな債務を抱える国家財政

話をイタリアに戻しましょう。
財政状況を見ると、イタリアは日本と同様に、非常に大きな政府債務を抱えています(図-2)。
日本は対GDP比で債務残高が200%を突破し、ギネス記録更新中といったところでしょうか。イタリアはEUという後ろ盾によってタガが外れないところで踏ん張っていますが、今にもそのタガは外れて、150%に届きそうな状態です。

さらに図-2の右側は単年ごとの財政収支ですが、こちらも日本と同様、イタリアでは赤字が続いているのがわかります。
実はEU加盟の条件には、政府の累積債務が対GDP比で60%以内という項目があるのですが、図を見るとEU加盟国であるフランスもイギリスもすでに60%を突破しています。EUは単年度の政府債務に関しても、対GDP比で-3%までしか許容していないのですが、イタリアはぎりぎり、フランスとイギリスは完全に-3%以上の赤字、ドイツだけが優等生であり続けている状況です。

 (2916)

財政悪化を煽る不安定な社会情勢


政治の不安定が招く国家への不信感


莫大な累積債務、赤字続きの財政を背負っているイタリアですから、当然GDP成長率はマイナスゾーンを漂っています(図-3)。
なぜそのような事態に陥っているのか。要因の1つに政治の不安定が挙げられます。
国のトップである首相の在任期間が短く、経済政策が安定しないのです。この点も、日本との類似点と言えます。

政府がそのような状況ということもあって、ほとんどのイタリアの町は“国”というものを邪魔者扱いしています。
イタリアは豊かな地域の税金を貧しい地域に流す還流機構になっていますから、経済的に自立している地域にとっては、国という枠に縛られていることをデメリットとしか感じないわけです。

 (2920)



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