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神の見えざる手による美人投票の結果がトランプ氏なのか

 有名な経済学者のケインズは著作で、金融市場における投資家の行動パターンを表す例え話としての美人投票を挙げている。「投票者は自分自身が美人と思う人へ投票するのではなく、平均的に美人と思われる人へ投票するようになる」と。

 イギリスの哲学者でもあり経済学者でもあったアダム・スミスの著書「国富論」の中に書かれている「見えざる手」という言葉は、本の中でわずか1回しか使われていないにも関わらず、有名な言葉として今に伝わっている。

 この「見えざる手」の意味するところは、「利己的に行動する人々が市場において自由競争をおこなえば、自然と需要と供給は収束に向かうことで、経済的均衡が実現され、社会的安定がもたらされる」というものである。

 これは相場にも使われる。市場での価格の決定は利己的に行動する人々が市場において自由競争をおこなえば、需要と供給は収束に向かい、それによって価格が決定される。

 日々の金融市場での価格の動向をみていると常に不安定に揺れ動いている。それが何かしらのきっかけで、ひとつの方向に動き出すこともある。これはケインズ的に言えば、投票が割れているときはなかなか方向感は出ないが、皆の意見が集約されるようになると方向性が決まると言うことか。

 この意見の集約とその結果としての方向性が、相場の世界では読みづらいというよりも基本的に読めない。だから金融市場での動きは常に不安定となる。先を読めるものはいないし、仮にいたとしてもそれはたまたまである。

 1年先の日経平均やドル円、長期金利の水準をピタリ言い当てた人はいるかもしれない。しかし、そこに至るまでの過程、流れを含めて的確に読める人はいないし、いたとすればタイムフライヤーとなろう。だからこそ相場の世界は面白い。

 しかし、ここにきての世界の政治の流れも相場以上に読めなくなってきている。昨年の英国や国民投票や米国の大統領選挙の結果は事前の予想が覆された。これは政治の流れが、これまでの価値尺度では計れなくなってきたともいえるのかもしれない。皆が美人だと思って投票すると思った人が当選せず、まさかと思った人物が、神の見えざる手によって選ばれる。しかし、これを歴史という大きな流れにあてはめると、意外に違和感はないといった見方もできるのかもしれない。相場の世界も何だこの動きは、と見ていたものが、結果からみると後で納得することも多い。

 その歴史の流れの変化を捉えることも、トランプ大統領の今後の動向や英国のEU離脱による影響、今年のフランス、ドイツの選挙の行方、さらには日銀の金融政策の行方を占う上でも重要になってくるのかもしれない。その結果としての金融市場の動きを読む上でも重要な要素となろう。

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