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これからの米国経済を見るポイント

米国経済の動向を見る最大のポイントは、拙書『経済はこう動く』でも述べているように、これからの米国10年債利回りの推移にあります。このような見方は、米国の大統領が誰になろうとも関係はありません。

過去数年の米国の経済成長を下支えているのは、個人消費の3%~4%の高い伸び率です。設備投資や輸出が冴えないなかで、個人消費が目立って堅調なのは、原油安や低金利により家計の購買力が高まり、自動車と住宅の両市場が好調を持続しているからです。

しかし、米国の大統領選後、米国債の利回りは1.6%台から2.6%台に跳ね上がり、20日現在では2.4%台と高止まりしています。長期金利が2%台後半になってもっとも懸念されるのは、消費の柱である住宅市場がこれまでの堅調さを維持できなくなってくるということです。米国の住宅価格はすでにバブル最盛期に近づいており、割高感が意識されているものの、史上最低と言われる低金利が住宅市場を牽引してきたのです。

リーマン・ショック後の景気回復の過程では、住宅市場が失速した時期が1回だけありましたが、それは長期金利が1.6%台から3.0%台まで駆け上がった影響を受けた2013年秋~2014年春のことでありました。住宅価格は当時と比べてかなり高くなっているので、住宅市場は想定外の金利上昇に対して、市場関係者が考えている以上に脆弱になっているように思われます。

さらには、消費のもうひとつの柱である自動車市場は、薄利多売による競争激化や原油価格の底入れ、金利の上昇などによって、2016年(正確には、2016年前半)にはピークを打っていた可能性が高いと見ています。2017年の新車販売は8年ぶりに減少に転じ、耐久財消費に暗い影を落とすことになるのではないでしょうか。

米国経済を個人消費が牽引している現状では、金利の上昇はもっとも避けなければならない事態であるはずなのですが、何故かウォール街はそのようなことは意識していないようです。「巨額インフラ投資」や「大型減税」で景気が拡大すると期待する勢力は、そういった期待が長期金利の上昇によって簡単に打ち消されてしまうリスクを見逃してしまっているのです。

また、長期金利の上昇とそれに連動するドル高を放置すれば、米製造業の業績悪化は避けられないという事態もわかりきっていることです。そのことを踏まえると、トランプ政権はどこかで支持者の離反を招きかねないドル高を抑制しなければならず、長期金利を抑え込む必要に迫られるかもしれません。すなわち、「巨額インフラ投資+大型減税」と「ドル安」は相容れない政策であるというわけです。

そういった意味では、トランプ政権がどういった選択をするのか、それによって長期金利がどのように推移するのか、注意深く見ていく必要があります。

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