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トランプ氏が抱える、「ドル安」の潜在的ジレンマ

Barron's : Higher U.S. Growth Wouldn't Match With Weaker Dollar.

バロンズ誌、今週はカバーに前週に続きラウンドテーブルの模様を伝えている。今回はそれぞれが推奨銘柄を披露するなか、新債券王の呼び声高いジェフリー・ガンドラック氏はトランプ米大統領がドル高を支持するか疑問だと話す。利上げについては「金利上昇が米連邦公開市場委員界(FOMC)に青信号を与えた」と語り、3月のFOMCで行わずとも3回の利上げは妥当との考えを寄せた。ゴールドマン・サックスのアビー・コーエン氏(筆者注:トランプ政権メンバーは少なくとも4人のGS出身者で構成)も同調し、米国を含む財政拡大の影響を見極めるべきと主張。そのほか、興味深い意見交換は本誌でご確認下さい。

当サイトが定点観測するアップ・アンド・ダウン・ウォールストリート、今週はトランプ政権でのドルについて考察する。抄訳は、以下の通り。

トランプ米大統領の就任演説は、「米国第一」の言葉に集約される。同氏は貿易、税制、移民、外交など全てが米国に取って利益をもたらさねばらず、海外との競争という「損失」から守るべきだと主張した。”保護=protection”は米国に大いなる繁栄と強さを引き出すとも言及。また「米国の製品を買い、米国市民を雇用せよ(Buy American and hire American)」とも強調した。

国境税に関しトランプ氏は米大統領就任前、ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙のインタビューで「複雑過ぎる」と語ったが、交易条件を簡単で素早く修正できるのは為替市場だ。同じインタビューでは、ドルが「強過ぎる」と発言。クリントン政権下でルービン財務長官が放った”強いドルは国益”という20年に及ぶマントラから、脱却する意思を表明したのも同然だろう。

トランプ氏の発言は、ニクソン政権でのコナリー米財務長官による「我々の通貨だが、あなた方には問題だ」との言葉や、カーター政権でのブルメンサル米財務相が貿易赤字縮小を狙いドル安に誘導したことが思い出される。

1967年に時の英首相だったウィルソン氏は、ポンド切り下げに際し「あなたが持っているお金の価値は変わらない」と語りかけた。実体は1ポンド=2.80ドルから1ポンド=2.40ドルと購買力が落ちてしまっていたにも関わらず、である。米国市民にとってユーロドルが1.10〜1.20ドルに変動しようが問題ないが、海外旅行すればそのダメージを思い知るだろう。米国企業、特に多国籍企業にとっては大問題だ。

トランプ氏はWSJ紙のインタビューで、人民元の文脈でドル高に言及し中国当局が介入するのは「米国を怒らせないためだ」と語る。その主張とは別に、中国の外貨準備高1兆ドルを使って資本流出の阻止に動いてきた。

中国の外貨準備高、2016年10月に首位の座を日本に明け渡す。
tics
(作成:My Big Apple NY)

ムナチン米財務長官候補は指名公聴会で19日、トランプ氏の発言が短期的な認識によるもので長期的にドル高が望ましいとの考えを明らかにした。しかし”米国第一”や”米国製品を買い、米国市民を雇用せよ”を目指すなら、最初になすべきはドル安誘導だろう。

しかし、トランプ米大統領のドル安政策はインフラ投資拡大や税制改革に相反する。一連の政策は米成長を加速させインフレを引き起こし、ドル高に導くためだ。年3回の利上げを予想するFedとも、整合性が取れない

ただしイエレンFRB議長の発言を受けてFF先物市場は年2回の利上げしか織り込まず、6月が次回利上げとして有力視されている。レーガン政権1期目の初期を振り返れば、米株は25%安の弱気相場を経験し(筆者注:Fedがインフレ引き下げを狙った利上げから景気後退に配慮し利下げへ転じた)1982年の秋まで続いた。オバマ政権で米株が上昇し続けたのは、Fedが流動性を供給したためだ。Fedが利上げを進めれば財政刺激の効果を減退させ、米株強気派が描く見通しに反する結果をもたらしうる。

——トランプ米大統領の発言と支持層(ラストベルト、全米で輸出の比率が最も高いテキサス州を含む南部など)を踏まえれば、ドル高を受け入れられるはずはありません。個人的に興味深くウォッチしているのは、誰あろうダラス連銀のカプラン総裁。同総裁は59〜60歳でGSの副会長でした。54歳のムニューチン米財務長官候補だけでなく、56歳である国家経済会議のコーン議長と関係がないはずはありません。そのダラス連銀総裁は、ドル高局面に入った2016年秋頃から慎重な見解を寄せるケースが見受けられてきました。先週公表されたベージュブックでも、企業からドル高の悪影響を報告する声が挙がっています。カプラン総裁は今年の投票メンバーでタカ派寄りと判断されていますが、姿勢の変化に注意すべきでしょう。

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