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なぜトランプ時代をレーガン時代と比較するのはナンセンスか? マーク・ファーバーのニュースレターより

マーク・ファーバーは投資レター、「The Gloom, Boom & Doom Report」を執筆しています。日本では「マーク・ファーバー博士の月刊マーケット・レポート」としてパンローリングから発行されています。

ファーバーは、ベテラン中のベテラン投資家です。チューリッヒ大学を出てリサーチに強いホワイト・ウエルド証券に入社し、まだ新入社員に毛が生えた頃に「ドルが急落したときに、どのような株を買うべきか?」というレポートを書きました。それが発信された翌日、リチャード・ニクソンがゴールドとドルの兌換をストップしました。いわゆる「ニクソン・ショック」です。これにより気鋭のマーケット・ウォッチャーとして注目を浴びます。

その後、ドレクセル・バーナム・ランベールの香港代表を経て、自分の投資顧問が社を設立しますが、1987年のブラックマンデー、1990年の日本のバブル崩壊、中国に代表される新興国株式市場の隆盛、ドットコム・バブルの終焉などを予見してきました。とりわけマーケットの歴史を紐解くことで、現在の相場が置かれている相対的な位置関係を測るという点においては、この人の右に出るウォッチャーは居ません。

2017年1月号の「ファーバー・レポート」では、レーガン大統領の第1期目と、トランプ大統領の今日を比較しています。

ハッキリ言って、全然状況は違います。

1982年当時、FFレートは18%でした。今は0.75%です。家計の負債対収入比率は62%でした。現在は130%です。生産性上昇率は年率2%でした。今は0.25%です。S&P500指数のPSRは0.5倍でした。現在は2.2倍です。

また当時アメリカのベビー・ブーマーの平均年齢は26歳であり、現在は60歳です。

80年代初頭の信用成長は極めて低く、政府の債務も少なく、中央銀行のバランスシートも極めて小さかったです。

その後、鄧小平の登場で中国が製造業の拠点として珠江デルタを解放したため、アメリカや日本からの工場移転が始まり、世界的で恒久的な賃金のデフレ圧力が生まれました。

つまりレーガン大統領就任当時は、株式投資の起点としては、またとない理想のスタート地点だったわけです。

ひるがえって今日の状況をみると、金利は世界的なマイナス金利からようやくプラス圏へ戻ったところであり、「もうこれ以上、下がりようがない」ほど低金利です。

インフレ圧力は強まっています。

特にトランプ大統領の、製造業をアメリカに戻す試みが成功すれば、賃金インフレは激しくなるでしょう。

また質実剛健を美徳とし、小さな政府をめざしたレーガンと、トランプでは、価値観は全く違います。

だから1980年代初頭の「ブル・マーケットの起点」の長期チャートと、2008年の株式市場のボトムから始まるブル・マーケットの長期チャートを重ね合せて現在のブル・マーケットを説明することは、その他の全てのファクターを無視した、滑稽な比較なのです。

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