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トランプ氏のツイート攻撃 次の「標的」はどこだ?

By WILLIAM PESEK

 ドナルド・トランプ次期米大統領は全く新たな産業を生み出している。「ツイッター緊急対応サービス」業だ。

 確かに、トランプ氏の大統領選当選のはるか前から、リスク対応サービスは世界中で活況を呈していた。しかし、トヨタの例でも分かるように、トランプ氏の「ツイートショック」に多くの企業がびくびくしている。

 トランプ氏はトヨタがメキシコに新工場を建設すれば、「巨額の関税を課す」と脅しをかけた。トヨタの言い分も分かる。トランプ氏はトヨタが米国から雇用を移すのではなく、米国以外の場所で雇用を創出するだけだということを認識していないようだ。日本の自動車メーカーが米国で約150万人を雇用していることも分かっていない。

 トランプ氏が米複合企業ユナイテッド・テクノロジーズ(UTC)傘下の冷暖房機器メーカー、キヤリアに対して取った措置が中国のやり方をまねたものだという皮肉にも気づいていない。つまり、「米国を再び偉大にする」ための非生産的なやり方で、従順な企業に補助金を支給するという方法だ。

 「ツイッター緊急対応チーム」が最も必要だと思われる企業はどこだろうか。

<中国銀行> 中国企業はトランプ氏の標的となりがちだ。中国銀行はトランプ氏とその関連企業に9500万ドル(約110億円)の融資を提供している金融機関の一つと報じられているため、特に危うい。トランプ氏は銀行の業務手法や中国政府とのつながり、自分の経営するホテルが優遇されていないことなどを巡り疑問を呈する発言を行っており、融資の返済条件緩和でトランプ氏の批判をかわそうと試みる中国政府との関係も引き金となりかねない。

<ビットコイン> 現金(恐らくその大半が不正手段で得られたもの)を世界のタックスヘイブン(租税回避地)に移すために、世界で最も人気のある仮想通貨、ビットコインを利用する中国人をトランプ氏が批判するのは時間の問題だ。「ブロックチェーン技術を私よりよく理解している人などいない」とか、「中国人の知らないことを私は知っている」などといった自賛的コメントを含むツイートが予想される。

<サムスン> トランプ氏が貿易や北朝鮮、軍事協力などを巡って韓国政府に対する批判を繰り広げる中で、韓国最大の財閥であるサムスングループが格好の標的となりそうだ。トランプ氏が愛用するアップルのスマートフォン(スマホ)「iPhone(アイフォーン)」の機能をまねたとされるサムスン電子の特許侵害訴訟だけでも格好の材料となるだろう。

<タカタ> タカタ製エアバッグ破裂が死亡事故につながった例を含め、近代史の中で最悪の安全問題から日本政府は驚くほど距離を置いている。安倍晋三首相は物言う株主行動や、日本企業の国際化推進を大いに提唱している一方、タカタは無能の社長にまだ「クビ」を言い渡していない(タカタ製エアバッグの破裂は米国で少なくとも11件の死亡事故につながっている)。タカタ製品が原因でドライバーがさらに一人でも事故に遭うようなことがあれば、トランプ氏のツイートによる集中砲火を浴びかねない。

<ドイツ銀行> トランプ氏はアンゲラ・メルケル首相とウマが合うと認めるよりは、ロシアの支援で大統領選に勝利したと認めるほうがましだと考えるだろう。ポピュリスト勢力が急速に台頭する中で、メルケル首相はリベラル派の最後のとりでだ。欧州最大の経済国の最大手銀行であるドイツ銀を攻撃する大きな誘惑に駆られてもおかしくない。ただ、ドイツ銀の脆弱(ぜいじゃく)な財務状況はさておき、トランプ氏の3億ドルにも上る債務の再編を巡り同行が果たすと報じられる役割のために、トランプ氏は別の方法を探るかもしれない。

<エミレーツ航空> トランプ氏はメキシコとの国境に壁を築くと明言しているが、アラブ首長国連邦(UAE)を拠点とするエミレーツ航空のような航空会社は、トランプ氏がメキシコの次に嫌う中東地域から米国に乗客を運んでいる。米ボーイングではなく欧州航空・防衛大手エアバス・グループから航空機を購入し、米航空各社から雇用を奪い、ロサンゼルスやニューヨーク、オーランド、サンフランシスコなどへのイスラム教徒の渡航を手助けしている。トランプ氏の怒りがエミレーツに向けられる可能性は十分ある。

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