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音楽配信最大手「Spotify」の上陸で業界は変わるか

音楽配信プロデューサー/マーケティング・アナリスト 榎本幹朗 構成=衣谷 康

2016年9月、定額音楽配信の世界最大手、スウェーデンの「Spotify(スポティファイ)」が日本でサービスを開始した。定額音楽配信とは、一定額を支払うと数千万曲がストリーミングで聴き放題になるサービスだ。

スポティファイの特徴は、期間制限なしの無料版を設けたことにある。最初に利用者を取り込んでから、広告表示がなくなるなど、より使い勝手のいい有料版に誘導することでサービスを拡大してきた。利用者の視聴履歴から楽曲をレコメンドする機能も充実。全世界で1億人の人が利用し、そのうち4000万人が有料会員とされている。

国内でも、2015年からLINEがソニー・ミュージックエンタテインメントなどと「LINE MUSIC」を、エイベックス・デジタルがサイバーエージェントと「AWA(アワ)」といった定額音楽配信を始めた。スポティファイの世界的な広がりもあり、LINE MUSICやAWAもヒットするかと思われたが、期待されていたほどの勢いはない。これには、日本特有の事情が2つある。

1つは、スポティファイのような基本無料というモデルではないこと。期間限定の無料プランはあるが、永久に無料になることには、日本の音楽界の抵抗感が強い。もう1つは、配信される曲数の問題だ。海外の定額音楽配信では、例えばビルボードのトップ100に入る曲はほぼ聴けるが、日本はオリコン上位の曲は2、3割程度しか聴けない。無料動画サイトのユーチューブでもシングル曲ならほとんどの曲が聴けるのに、有料なのに聴けないとなると、なかなか消費者から理解を得られない。

スポティファイは、ソニーやエイベックスと粘り強く交渉し、基本無料のコンセプトで日本に参入してきた。日本の場合は大手以外にも多数のメジャーレーベルが存在するため、まだ曲数は多くないが、日本の音楽業界が大きく変わる分水嶺に立っていることは間違いないだろう。

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