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2017年の航空業界、知っておくべきトレンド

By SCOTT MCCARTNEY

 空の旅人たちにとっては、変化の大きな1年が続くことになりそうだ。

 今年は新たな料金の登場で、旅行者が驚いたり、憤ったりする可能性がある。かつてフルサービスが売りだった大手航空会社は、エコノミークラス後方座席については必要最小限のアプローチを試みようとしている。また、アラスカ航空とヴァージン・アメリカは合併に伴って業務や従業員、価格などの統合という課題に直面するため、混乱が生じる可能性がある。さらに、ホテル大手のマリオットとスターウッドの合併にも神経質な目が注がれるだろう。

 ここに一つの2017年予測を示そう。それは何かと言えば、コンピューターシステムのダウンを理由とした遅延が続くことだ。航空業界では古いシステムが多く使われている一方で、業務の量は増え、複雑になっている。昨年はサウスウエスト、デルタとユナイテッドの全てが大規模なシステム障害に見舞われた。年が明けた今月2日には、米税関・国境警備局のコンピューターが全国規模で数時間にわたって使えなくなり、長蛇の列ができた。

プレミアムエコノミー

 しかし、狭いエコノミークラスに疲れた旅行者への朗報もある。アメリカンとデルタがついにプレミアムエコノミークラスを導入するのだ。広い足回りと座席が用意され、より良い食事も楽しめるプレミアムエコノミーは、料金的には一般のエコノミーに比べると高いが、ビジネスクラスよりはかなり安い。長年提供している国際的な航空会社では非常に人気のある座席クラスの1つだ。

アメリカンのプレミアムエコノミーの座席 アメリカンのプレミアムエコノミーの座席
Photo: American Airlines


 アメリカンは国際線の機材にプレミアムエコノミーを導入する作業を始めた。デルタは17年後半に導入を予定している。アメリカンは向こう2年で大半の国際線にプレミアムエコノミーを導入する見通しだ。

 今のところ、アメリカンはプレミアムエコノミーについて、マイレージ上級会員に無料で提供したり、アップグレードサービスとして約200ドル(約2万3000円)で販売したりしている。年内には他の海外の航空会社と同様、別の料金クラスとして販売するとしている。料金は通常、一般のエコノミークラスより500―900ドル(約5万8000―10万4000円)高くなる。

 ドル高を利用して欧州に行きたいと思っているのなら、これまで以上に大西洋横断路線が安いだろう。ノルウェー・エアシャトルやドイツのコンドル航空といった長距離格安航空会社がフライトを大量に供給している。これらの航空会社は、かつての大西洋横断路線では直行便がなかった都市にも就航している。大手航空会社は輸送能力を増やして料金を引き下げている。より多くの選択肢と低価格のフライトが提供されるだろう。

 ブリティッシュ・エアウェイズのアレックス・クルーズ最高経営責任者(CEO)は、これらの輸送能力拡大と低価格によって新たな需要が生まれていると話す。つまり、初めて欧州を訪れる人や、料金が安いために本来予定していたよりも頻繁に訪れる人たちの需要だ。同社は今年、ロンドンとニューオーリンズ、オークランド、フォートローダーデールを結ぶ便を増やす計画だという。

 旅行サイトのエクスペディアと航空券決済などを手がけるエアラインズ・リポーティング(ARC)が作成した報告書によると、昨年の北米のエコノミークラス往復航空券の平均価格は、前年比で5%下落した。3年連続の下落となったが、17年も価格は下がり、便数も増えると予想されている。

大手航空会社は、エコノミークラス後方座席については必要最小限のアプローチを試みようとしている 大手航空会社は、エコノミークラス後方座席については必要最小限のアプローチを試みようとしている
Photo: TK


 しかし、今年は、多くの便の最安値航空券が、旅行者にとって最善とはならないことも多くなりそうだ。手数料や制限に腹を立てるのを回避するため、より慎重にチケットを購入することが求められる。

ベーシックエコノミー

 デルタは、スピリットやフロンティアなど、格安航空会社と競合する路線について、ベーシックエコノミー料金を導入した。ベーシックエコノミーは、事前に座席を指定できないため、家族には向かない。また、アップグレードができず、搭乗が最後のグループになるほか、政府によって義務付けられている購入後24時間の払い戻し期間を過ぎると、変更が不可能になる。

 1月中には、ユナイテッドとアメリカンがそれぞれベーシックエコノミーを導入する計画だ。アメリカンはまだ詳細を公表していないが、ユナイテッドのベーシックエコノミーはデルタのものよりもはるかにサービス内容をそぎ落としたものになる。機内に持ち込める手荷物は、マイレージの上級会員か、要件を満たす「マイレージ・プラス(ユナイテッドのマイレージサービス)」のクレジットカード会員でない限り、座席の下に置ける1個のみになる。フライトでマイレージを貯めることはできるが、ステータスを取得するためのポイントには加算されない。

 機内持ち込み手荷物の制限は、注意すべき変更点だ。ベーシックエコノミー客は座席の上の棚を使えないのだ。搭乗が最後のグループになるため、どのみち空きがない場合が多いかもしれない。また持ち込み手荷物は搭乗ゲートでチェックを受けるが、ここで荷物手数料を支払う必要はない。そんなことはつゆ知らぬベーシックエコノミー客だと、空港に到着し、機内に手荷物を(例えば2個以上)持ち込もうとして、別料金を払わなければならない羽目に陥る可能性がある。

 この方針は、搭乗手続きのスピードアップにつながる可能性がある。スピリットは座席の上の棚に入れる荷物に課金したことで、このような恩恵を得た。同社では、機内持ち込み荷物の方が預け入れ荷物より料金の方が高い。このため、荷物を預け入れる乗客が増え、フライトの遅延が減った。1回の離陸で数分間を節約することによって、より多くのフライトを実現できているという。

 ただスピリットは苦情を減らすため、顧客への周知に尽力する必要に迫られた。顧客への周知という点では、。ユナイテッドはさらに困難な課題に直面する可能性がある。機内持ち込みが可能なチケットと不可能なチケットがあり、それを区別できない乗客が少なくないかもしれないからだ。

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