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格の違いを見せたBMWの自動運転 - 土方細秩子

昨年のCESで自動運転によるパーキングのデモを行ったBMWが、今年はさらに進化した自動運転のあり方を見せた。実際に高速道路上での自動運転のテストドライブを提供したのだ。まず、BMWは「自動運転はすでに多くのメーカーが開発を行っているもので、あえてどのようにそれを行うのかという技術面での説明は省く」とし、「いかにして自動運転が人々の生活の中に組み込まれるのか」を見せる、という姿勢をとった。

BMWの自動運転カー

 テストドライブはまずBMWブース内のスクリーンから始まる。窓がスクリーンの役目を果たし、今日のスケジュールを示す。(余談だが昨年スクリーンの役目を果たしていたのは玄関の鏡という設定だった)朝起きて窓の外の景色を眺めながら、1日のスケジュールを点検する、という内容だ。

 そこでは「祖母の誕生日があり、弟と待ち合わせてプレゼントを届ける。その後、夜は友人と食事」というスケジュールが定められている。そこでいよいよテストドライブの開始だ。予定に従い、車にはすでにナビゲーションに祖母の家が設定されている。その前に弟との待ち合わせ場所も設定済みだ。

 無事に弟と合流し、高速道路に入ると、自動運転が開始される。切り替えは簡単で、ハンドルにある自動運転ボタンを押すだけ。そこでハンドルから手を離し、アクセルペダルから足も外す。車は勝手に高速道路を走り続ける。

 車は自動的に前の車との車間距離を一定に保ち、前の車がスピードを緩めればこちらも速度を落とす。前の車がスピードを上げれば、制限速度内でこちらもスピードアップを果たす。レーンの中央をまっすぐに走り、安定性にも優れている。

 しかし自動運転で車が勝手に走ってくれる、という事実そのものはすでに驚きに値しない。それをテストドライブとして一般に提供するかどうかは別として、ここまでは多くのメーカーが実現していることだからだ。BMWでは「自動運転によって運転の必要のなくなった車内での過ごし方」に焦点を当てている。

 例えば、自動運転システムとコネクトしたタブレットで映画を見ることができる。車はすべての部分がシステムによって制御されており、映画を選ぶと車内の設定が自動的に映画モードになる。すなわちサンルーフは閉じ、窓にはスクリーンが降りて車内が暗くなり、映像を見やすい環境になる。今回自動運転のテストドライブに選ばれたのはBMW5シリーズのEVで、窓のスクリーンが自動的に降りる機能はなかったが、7シリーズでは提供されているという。

映画を見ない場合はどうするのか。インパネ部分のモニターはハンドモーションにより様々なプログラムを切り替えることができる。ナビゲーションの他、ウェブページ、メール、音楽、ニュース、そして情報など。情報は車の位置に応じて付近のスポットを自動的に選び出す。例えばゴルフコース、ホテル、レストラン、映画館など。それを指差す動作をすれば、詳細が音声によって流される。

 BMWはマイクロソフトのコルタナをアシスタントとして採用しており、マイクボタンを押して「付近のレストランを」と話しかけると、幾つかの候補が表示される。しかもそのレストランはAIがすでにチェックをしており、友人との食事の約束である8時に予約ができるところに限られている。レストランを選ぶと自動的に予約が完了する仕組みだ。

 今回のテストドライブの設定では、「弟が祖母へのプレゼントを買い忘れていた」というハプニングも用意されていた。それでも大丈夫。車のシステムはアマゾンプライムとも提携している。メニューからアマゾンを選び、祖母の好きなチョコレートを購入、ドライブの道筋に合わせてアマゾンからの配達場所が設定される。無事にアマゾンの配達員と合流し、プレゼントを受け取り、さらに目的地へと向かう。

生活の質をどう向上させるか

 このように、車の中から様々なことが出来る、自動運転はドライバーの生活の質をどのように向上させることができるのか、というのがBMWの提案なのである。

 もちろんこのコパイロットシステムはまだ完全自動化には対応しておらず、ドライバーが自分で運転する場合にも様々なアシストを提供する。ユニークなのはパネル上のナビゲーションだけではなく、ドライバーの真正面のフロントグラスにも簡単なナビゲーションが表示される点だろう。パネルを見るには顔を横向ける必要があるが、フロントグラスに表示されるナビは顔を正面に向けたまま見ることができる。しかも走っている場所の制限速度をシステムが熟知しており、少しでも超えると時速表示が赤くなって警告を発する。

 もう一点、今回のテストドライブのためにラスベガス市と協力して設置した「信号の時間表示機能」も便利なシステムだ。前方が青信号の場合、「あと何秒で赤に変わるか」赤の場合は「何秒待てば青に変わるか」がカウントダウンされる。

 時速80キロで走行する高速道路で完全にハンドルから両手を離し、横を向いておしゃべりする、というのは筆者にとっても初めての体験だった。しかし恐怖や不安を覚えることなく、非常にスムーズな走りを楽しむことができた。来年は一般道でも自動運転のテストドライブが提供されるのか、BMWの今後の進化が楽しみだ。

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