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焦点:分岐点のドル高/円安相場、トランプ発信で振れ幅拡大も

[東京 12日 ロイター] - トランプ米次期大統領の会見が肩透かしとなったことで、ドル/円<JPY=EBS>は約2円の急落となった。米経済指標は改善しているが、米金利を押し上げてきた米財政政策の中味が不透明なままで、ドル高を中核にしたトランプ相場は大きな分岐点にさしかかった。

ただ、ドル高とドル安の予想はきっ抗。当面はツイッターを含めたトランプ氏の発言から、政策の中味を探る振れ幅の大きな展開が予想される。

<減税や投資政策への言及なし>

11日のトランプ氏の会見は、市場の期待値を下回る内容だった。減税やインフラ投資などの政策に関する具体的発言がなく、ドル/円は失望売りが先行し116円後半から114円前半へと2円超下落。10年米国債入札が堅調な結果となって10年米国債利回り<US10YT=RR>が2.33%付近に急低下したことも、ドル/円の下押し材料となった。

会見でトランプ氏は、貿易不均衡是正を政権の重要課題に掲げ、中国、メキシコとともに日本を名指しした。その直後にドル売り/円買いの勢いが加速した。

みずほ証券・チーフ為替ストラテジスト、山本雅文氏は、トランプ氏が保護主義を強める姿勢をあらためて示したことを踏まえ「再びドル安/円高圧力が強まるリスクが大きくなった」と指摘する。

ドル/円は東京時間も上値の重さが意識され、欧州市場の取引時間帯に入り、一時113円後半まで水準を切り下げた。

下値めどとして、トランプ相場での半値押しとなる110円付近や、アベノミクス相場での高値125.86円とその後に英国民投票後につけた安値99.00円からの半値戻し112.50円付近が意識されそうだという。

<米経済持ち直しが支えに>

一方、米供給管理協会(ISM)が発表した12月の製造業景気指数は54.7で、2014年12月以来2年ぶりの高水準だった。「ドル高にもかかわらず高い水準となったことから、米国内のムードの良さがうかがえる」(国内金融機関)という。12月雇用統計における時間当たり平均賃金も、2009年6月以来の伸びだ。

「米国景気は絶好調と言えるほどに強含んでおり、利上げ期待が1回まで低下してドル安が110円まで進むような可能性は低い」と、野村証券・チーフ為替ストラテジスト、池田雄之輔氏は指摘。「ここはドル/円の押し目買いゾーン」と話す。

あおぞら銀行・市場商品部部長の諸我晃氏は「トランプ期待は、ある程度剥落しても、経済に裏打ちされた利上げ期待が支えになる。株価も崩れておらず、ドル買いポジションが一気に巻き戻される様子はない」とみる。

<ドル買い遅れの実需筋>

さらにトランプ相場に乗り遅れた国内輸入企業が多いとみられている。「下がれば押し目買いが入ってくる」(別の国内金融機関)という。

一方、トランプ相場の序盤に逆張りのドル売りで臨んだ個人投資家も、足元ではドル買い/円売りが優勢となっており「基本スタンスは押し目買い」と、外為どっとコム総研の調査部長、神田卓也氏は指摘する。

目先のイベントとして意識されるのは、20日の米大統領就任式だ。ここで減税やインフラ投資に関する方針を打ち出すのか──。

さらに今回の会見で触れなかった為替に関する発言が飛び出すのかどうか、市場は再び、固唾(かたず)を飲んで見守ることになりそうだ。

(平田紀之 編集:伊賀大記)

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