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トランプ政権発足を前にして

トランプ政権発足を前にして

 来週の金曜日、1月20日に第193回国会が開会します。同じ日にアメリカではトランプ新大統領が就任します。

 昨年12月、台湾とベトナムに出張し、要人と会談し意見交換しました。一様に、アメリカの今後に深い関心と保護主義的な流れへの一抹の不安を抱いていたのが極めて印象的でした。

 中国の軍事的脅威にさらされているアジア各国にとって、アメリカ軍の西太平洋・東アジア地域でのプレゼンス、法の支配をはじめとした共通の価値に基づく国々の連携の象徴でもあったTPPは、いわばアジア地域の公共財のようなものです。

 トランプ氏は、大統領予定者として、TPPについては否定をし、従来の同盟関係に基づくアジア地域への安全保障面での関与については、コミットメントよりも同盟国の負担増加を求めるなど経済財政面の議論を先行させています。

 現実論として、台湾にしろ、ベトナムにしろ、あるいは韓国やフィリピンにしろ、日本よりもはるかに強く中国の軍事的・経済的なプレッシャーにさらされています。地理的、地政学的にこれが現実です。

 だからこそ、これらの国々は自らの身を護るために、アメリカや日本の強いコミットメントがなければ、好むと好まざるとにかかわらず、中国の影響下に入らざるを得ない、そんな状況にあります。

 従来は、アメリカや日本のコミットメントがあった結果として、多くの国々で、中国の強い影響にさらされる中、カウンターバランスとして日米を利用しながらバランスをとってきていた、それが南シナ海や東シナ海での中国の非常に利己的な挑発的な動きに応じて、日米に一歩歩み寄る決断をした国も出てきていた、そんな最近流れがどうなるのか、極めて重要な局面を迎えつつあります。

 TPPについての議論を見る限り、少なくとも今までのトランプ氏はこうした大局的戦略的観点を重視しているようにはみえません。米軍のプレゼンスという観点についても同様であることが推測されます。

 私が様々な会議や会談で感じたアジア諸国の本音は、こうした状況下において、日本がより強いリーダーシップを地域で発揮すること、そしてアメリカをアジアにつなぎ留めておく役割を強く果たすことへの強い期待です。

 この不安定な状況下だからこそ、日本は、安倍政権が力強く続けてきた価値観外交、つまり航行の自由や法の支配、民主主義、人権などの共通の価値を地域全体で共有し地域の安定に資する努力をさらに強化せねばなりません。

 オープンな国家、社会、経済を内向きな孤立主義の流れに抗して高らかに維持し続けることこそが当面の日本の使命です。そのことこそが、人口が減少する島国である日本の国益にも、中国や北朝鮮以外のアジア諸国の利益にも寄与する。

 中国の脅威が地政学的に少し和らぐ、オーストラリアやインドなどこの地域の大国と連携を深め、アメリカが再び強いコミットメントを示すまでしっかりと耐える覚悟が我が国の外交に求められています。

 特に中国も秋に次期指導部が選出される共産党全国代表大会を控え、強硬路線に出てくることも予想されます。米中の動向をしっかり注視し、アジアの安定・平和への責任を果たすことが求められます。

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