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焦点:反米の烙印押す「トランプ砲」、米企業の新たな脅威に

[ニューヨーク/ワシントン 10日 ロイター] - トランプ次期米大統領がツイッターで「反米的」な行動を採る企業を次々と批判している。企業側はトランプ氏による「口撃」の標的にされないよう、人員削減や製造拠点の海外移転を取りやめるなど、対策に乗り出した。

トランプ氏は12月、「企業がわが国を離れて外国に行ったり、従業員を解雇したり、外国に新工場を建てておいて、その製品を米国で売っても報いを受けないと思っているなら、とんだ間違いだ」とツイッターに投稿した。

トランプ氏は「アメリカ第一」を掲げて選挙戦を闘い、経済が停滞している地域に製造業の雇用を取り戻すと約束した。

複数のトップバンカーによると、企業の中には「非国民」のレッテルを貼られるのを恐れ、大幅な人員削減につながる買収計画を棚上げしたり、生産拠点や課税上の居住地の移転を控えるところが出てきている。

バミューダを拠点とする保険会社、マウンテンズ・インシュランス・グループ<WTM.N>は、税率の低い外国に本拠を移す「インバージョン」を目的に身売り交渉を進めていた。しかし3人の関係筋によると、11月の大統領選後に「反米」視されるとの懸念などから計画を打ち切った。

大統領選以来、他にも同様の保険関連の案件が少なくとも2件、空中分解したという。

トランプ氏が中国への敵対姿勢を示していることも、一部の企業に計画を思いとどまらせている。

ウエアラブル端末のフィットビット<FIT.N>のジェームズ・パーク最高経営責任者(CEO)は、中国に大規模な製造拠点を持つ企業は、自社を含めてすべて緊急時対応計画を策定するだろうと見ている。

<ツイッターを注視>

複数の企業CEOや企業顧問によると、企業はツイッターのモニター体制を強化するとともに、自社が批判された場合の対応に備えて広報(PR)専門企業との契約にも動いている。

防衛関連事業を請け負うある米大手企業の最高幹部は、「取締役会からは12月の時点で『彼に攻撃された場合の対策は整っているか?』と聞かれていた。今は、PR企業と契約しているか、ツイッターのモニター要員はいるか、と聞いてくる」と話す。

この幹部は、トランプ氏と「応戦せず、直ちに折れる構えだ。身を低くしてレーダーに映らないようにしている」と打ち明けた。

トランプ氏は大統領選で勝利して以来、フォード・モーター<F.N>、トヨタ自動車<7203.T>、ゼネラル・モーターズ(GM)<GM.N>、ユナイテッド・テクノロジーズ<UTX.N>、レックスノード<RXN.N>といった企業を、メキシコでの製造や雇用の海外流出を巡って槍玉に挙げた。

ロッキード・マーチン<LMT.N>とボーイング<BA.N>については、戦闘機のコストが高過ぎると攻撃した。

政府との関係やPRについて助言する会社は、数多くの企業からトランプ氏の怒りを買う要素がないかについて助言を求められている。そうした要素としては、製造拠点の海外移転に加え、消費者向けの値上げや同業他社に比べた税率の低さなどが挙げられるという。

戦略的コミュニケーション企業、サード・バービネン・アンド・カンパニーのジョージ・サード会長兼CEOは「過去数週間で、文字通り1ダースほどの企業から対策について聞かれた」と語った。

助言会社によると、企業幹部は株主価値の最大化だけに集中するのではなく、国益についても考える必要が出てきている。

フォーチュン500社に入っている米企業のCEOは「CEOらは取締役会に対し、愛国的な印象を与える必要があるのだと訴えるようになった。レイオフや製造拠点の移転など、際どい課題がある場合には、取りやめる方を選ぶだろう」と話す。

<先手を打つ>

サード・バービネンのサードCEOは顧客企業に対し、トランプ氏の「ツイッター戦争」に応じないだけでなく、同氏の先手を打って株主や従業員、顧客とブログやSNSを通じて直接対話するよう助言している。

企業は既に雇用創出の成果を従来より大声で宣伝し始めており、トランプ氏に花を持たせるよう意図している社もある。

フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)<FCHA.MI>は8日、米国で2000人の雇用を生み出す計画を発表した。関係筋によると、これは海外生産についてトランプ氏から批判される可能性を見据え、その前に雇用創出の報道が流れるようにしたいというマルキオーネCEOの意向が反映されている。

トランプ氏は先日、メキシコでの生産を巡りトヨタを批判したばかりだ。

ソフトバンクグループ<S.N>の孫正義社長が12月、米国への巨額投資を約束した後、トランプ氏はツイッターで「われわれが選挙に勝っていなければ、彼はこのようなことはしなかった」と勝ち誇った。

前出の大手企業CEOは「大統領には逆らいたくない。ましてや(トランプ氏のように)声の大きい大統領には」と打ち明けた。

(Lauren Hirsch記者 Mike Stone記者)

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