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節税額262万円!「住宅ローン控除」を最大限使い倒すには

有山典子=文 加藤ゆき=撮影 amanaimages=写真

節税を知らないと何百万円も損をする

勤務先の倒産、思わぬリストラ、妻の浪費――サラリーマン人生には、さまざまな危機が待ち受けている。

だが、そんな憂き目に遭わずとも、つつがなく勤め、ごく当たり前の生活を送るだけで、サラリーマンは人生で3度も経済危機に直面するのだ。

まず、下図を見てほしい。このグラフは、ごく平均的なサラリーマンAさんの生涯で、預貯金残高がどう推移するかを表したものだ。

Aさんは大卒後、中堅企業に就職、30歳で一つ下の妻と結婚し、子どもは2人。40歳で相応のマイホームを購入、子どもたちは大学を無事に4年で卒業して独立。60歳で定年退職し、65歳まで再雇用で勤め、その後は年金生活に入る設定だ。

そんな堅実な暮らしぶりのAさんに第1の危機が訪れるのはマイホーム購入の直後。貯金の大部分を頭金に使ってしまうことで残高が激減、妻がパートで家計を助けるものの、ローン返済やマンションの維持費がかかり、貯金がなかなか増えない状況が続く。

そこに、子どもたちの大学進学が第2の危機として襲いかかる。特に子どもが2人とも大学に通う間は、年間100万円以上の赤字となり、貯蓄残高は再びどん底まで追い詰められる。

下の子が大学を卒業すると家計はやっと一息つくが、すでに定年退職は目前だ。退職金で預貯金残高は一瞬増えるものの、再雇用では収入が半減し、赤字生活に突入する。年金生活に入れば公的年金だけでは生活費が不足するため、預貯金の減少が続く。これが人生最後に起きる第3の経済危機だ。

真面目に働くサラリーマンのささやかな幸せをも打ち砕く3つの危機。この切ない状況に、なにか打開策はないのだろうか?

ノーリスクで確実な利益は最優先でゲットすべき

「少しでも早く危機を認識すること、そして、今すぐ準備を始めること。それが唯一にして最強の手段です」

と語るのは、ファイナンシャル・プランナーの藤川太氏だ。

堅実なサラリーマンだけが持つ強力な武器は、「長期にわたって安定収入があること」だ。これを最大限に活かし、着実に貯蓄を積み上げていくことで、危機の制圧が可能になる。

そして、この長い闘いに必須なのが“有利な税制を味方につける”ことだ。

「なんだ、税金か」と思った人もいるかもしれない。

多くのサラリーマンは税金が苦手だ。それは、所得税や住民税を給料から源泉徴収されているため、税金を知らなくても暮らせるからにほかならない。

だが、もし知らないために生涯で何百万円も損するとしたらどうだろう? たとえば、個人型DC(確定拠出年金)。毎月2万円を積み立てれば、一般的な収入の人なら年間4万8000円もの節税になる。38年続ければ、200万円近い金額になる計算だ。

この個人型DCは会社員のうち約6割の人が使えるが、実際の利用者はそのうち4%ほどしかいないという。

「確実にメリットの得られる制度は、最優先でどんどん利用すべきです。積み立てするならまず個人型DC。そして、余裕があるならNISAを利用するのがおすすめです」(藤川氏、以下同)

NISAは株や投信の運用益が非課税になる制度で、積み立て投資に有効。2013年にスタートしたが、現役世代の利用者はまだ少ないのが現状だ。

このほか、最大500万円もの節税効果を得られる住宅ローン控除など、利用できる税制はまだまだある。

正々堂々、ノーリスクで確実にメリットを得られるのが税制の活用だ。だが、知らないままでいれば、このメリットは決して得られない。

直面する経済危機と闘うために利用すべき制度を次ページから詳しく紹介しよう。

「住宅ローン控除」の節税額は262万円

ローンを組んでマイホームを購入するなら、絶対にはずせないのが「住宅ローン控除」だ。

住宅ローン控除は、所得控除とは異なる「税額控除」というしくみで、節税額が大きいのが特徴だ。

住宅ローン控除では「年末のローン残高×1%」が所得税から差し引かれる。たとえば年末のローン残高が3000万円なら、控除額は1%の30万円で、すでに払った所得税から30万円が戻ってくる。もし所得税が30万円以下なら所得税が全額戻り、引ききれない分は、翌年支払う住民税から一定額まで差し引かれるしくみだ。

控除額は年間最大40万円、控除は10年間にわたって続く。なお、長期優良住宅や低炭素住宅の条件にあてはまる場合は、控除額が年間最大50万円にアップする。

前ページのAさんのケースでは、3000万円の住宅ローンを組んでマイホームを購入している。もし借入期間35年、固定金利1.6%とした場合、節税額がどれだけになるか計算したのが下の図だ。10年間の合計額は約262万円になる。

戻ってきた税金は使わずに、繰り上げ返済に充てるのが効果的だ。

これだけの控除を確実に受けるために、適用条件には十分に注意したい。

たとえば、床面積は50平方メートル以上が条件とされている。だが、

「住宅ローン控除の条件となる50平方メートルは、壁の内側で測った“登記簿面積”です。パンフレットに記載されているのは壁の中心で測った“壁芯面積”で、登記簿面積より少し広くなります」

購入時には、登記簿面積を確認することが不可欠だ。なお、中古住宅の場合、築年数も条件の一つとなっている。だが、これを超えていても、耐震性能があると認められれば控除が受けられることは、あまり知られていない。

「中古マンションの場合、管理組合を通じて耐震基準適合証明書を発行してもらう方法があります。古いというだけであきらめることはありません」

また、住宅ローン控除はリフォームにも使える点も、頭に入れておきたい。

なお、住宅ローン控除の制度は、政策によって数年ごとに変更される。マイホーム購入を検討している人は、ニュースを常に確認することが大切だ。

「住宅ローン控除」は最大限使い倒そう

▼メリットと注意点

【メリット】
・税額控除なので節税になる金額が大きい

【注意点】
・対象となる住宅に条件がある
・制度が数年ごとに変更される
・所得が少ないと控除が足切りになることも

▼制度の概要(2014年4月~2019年6月)

【利用できるローン
・新築
・中古住宅の購入、増改築のためのローン
・借入期間10年以上

【最大控除額】
・自ら居住する住宅
・床面積(登記簿面積)50平方メートル以上
・中古住宅の場合は耐震性を有していること
・増改築の場合は工事費が100万円超

【控除できる期間】
・毎年末の住宅ローン残高の1%
・所得税から控除しきれない分は住民税からも一部控除できる(最大13万6500円)

【控除できる額】
10年間

【対象となる住宅】
年間40万円(条件にあてはまる長期優良住宅、低炭素住宅の場合は年間50万円)

家計の見直し相談センター 藤川 太

1968年生まれ。慶應義塾大学大学院理工学研究科修了。自動車メーカー勤務を経て、ファイナンシャル・プランナーとして独立。著書に『サラリーマンは2度破産する』ほか。

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