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少女像について

少女像の問題については、釜山総領事館前に新設されたことを受けて、既に大使、総領事の一時帰国というかたちで抗議の意を表明しておりますが、もう一度、一昨年12月の日韓両外相記者発表を見直してみたいと思います。

 最後に議事録を載せておりますが、昨年の予算委員会で私は本件について質問しております。使ったパネルはこれです。見ていただければ分かりますが、パネルの緑の部分を見ていただければ分かる通り、日韓で本件が「最終的かつ不可逆的に」解決する条件は、日本が10億円を拠出しての癒しの事業をやる事だけです。

 青になっている少女像の話は、時間軸の中に入ってきません。10億円拠出する前にやるとか、いつまでにやるとかいった約束は何処にもありません。しかも、韓国は「適切に解決されるよう努力」となっているだけです。この記者発表の中で浮いている部分になっています。

 考え方としては、(これを私が採用しているわけではありませんが)10億円拠出して癒しの事業をやった段階で、本件は「最終的かつ不可逆的」に解決したことになっていて、少女像の話は、韓国として解決に向けて引き続き努力はしています、ということですべて終わりとすら読めてしまうものです。というか、「努める」という言葉は、普通の外交文書では「努めた結果出来なくても構わない」と読む以上、そういう解釈になってしまいます(それが「最終的かつ不可逆的に解決」というのかどうかはともかくとして。)。

 色々な外交上のやり取りをした結果、この記者発表に落ち着いた事は分かります。そのための外交当局者のご尽力を否定するつもりもありません。ただ、文書の構成上、今回のように10億円だけ出して、何も対応がないばかりか悪化するような事態が起こり得る文書です。そこに残るのは、いつまでに、何をしてくれるのかわからない韓国側の「適切に解決されるよう努力」だけです。

 そもそも論になりますが、いわゆる慰安婦の問題は日韓請求権・経済協力協定によって解決しているものです。私が一昨年に提出した質問主意書と答弁書を読んでいただければ分かります。

【請求権に関する再質問主意書】
 財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定(昭和四十年条約第二十七号)における請求権に関し、以下の通り質問する。
一 この請求権とは、如何なる権利であり、どのような内容を包含しているか。
二 この請求権とは、当該条約が締結された時点で明らかになっていなかった事案に起因する請求権をも含むと考えて差し支えないか。

【答弁書(太字は緒方が付したもの)】
一について
 財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定(昭和四十年条約第二十七号。以下「本協定」という。)第二条1にいう「請求権」とは、財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定についての合意された議事録(昭和四十年外務省告示第二百五十六号)2(a)において「法律上の根拠に基づき財産的価値を認められるすべての種類の実体的権利」とされている「財産、権利及び利益」に当たらないあらゆる権利又は請求を含む概念であると解される。

二について
 お尋ねの「明らかになっていなかった事案」の意味するところが必ずしも明らかではないが、本協定第二条3は、「一方の締約国及びその国民の他方の締約国及びその国民に対するすべての請求権」であって本協定が署名された千九百六十五年六月二十二日以前に生じた事由に基づくものに関しては、「いかなる主張もすることができない」と規定している。
【引用終了】

 今更ながらではありますが、あらゆる権利又は請求を含む概念について、1965年6月22日以前に生じた事由に基づくものに関しては、いかなる主張もすることができないという日韓両国の合意はきちんと守られるべきだと思います。

【参考:衆議院予算委質疑】

○緒方委員 (略)その上で、この記者発表の中身についてさらに入っていきたいと思います。
この四角で囲んでいるところですが、ここが、いわゆる慰安婦のための財団に対して日本が拠出を行うということが書いてある、心の癒やしのための事業を行うということになっておりますが、これは下のところで、心の傷の癒やしのための事業を行うことを前提で、最終的かつ不可逆的に解決をする、日本もそれを確認している。そして、尹外交部長官の発言も、この(2)の財団の設立、そしてその出資による事業の実施によって最終的かつ不可逆的に解決されることを確認するというふうになっています。これが全体のストラクチャーであります。

そうすると、この青の部分の慰安婦の像の移転のところというのは、必ずしも最終的かつ不可逆的に解決されるための条件になっていないんですね。ここだけが浮いている状態なんです、文章として。

これは結局、(2)の事業を行ったことによって最終的かつ不可逆的に解決するというわけでありますが、この(2)のところが浮いていることによって、では、これはいつ行われるのか、拠出の前なのか後なのかということが、この文章のストラクチャーからすると出てくるわけですね。
安倍総理大臣にお伺いをいたしたいと思います。

日本政府は、慰安婦像の移転がない限り、この拠出はやらないということでよろしいでしょうか、安倍総理大臣。

○岸田国務大臣 まず、今回の合意が今までの慰安婦問題についての取り組みと決定的に違うのは、日韓両政府が史上初めて、最終的、不可逆的な解決であることを確認し、それを世界に向けてそろって明確に表明した点だと思っています。

その上で、今御指摘の点についてお答えさせていただきますと、日本側は、韓国政府が元慰安婦の方々の支援を目的として設立した財団に資金を拠出するとされています。一方、韓国側は、日本の政府が日本大使館前の少女像に対し、公館の安寧、威厳の維持の観点から懸念していることを認知し、韓国政府としても適切に解決されるよう努力する、このような内容になっています。

要は、日韓それぞれがこの合意を着実に実施するという内容になっています。これが合意の全てであります。

○緒方委員 いや、それは全然答弁になっていないわけでありまして、時間的な前後がどうなるのかということを聞いているんです。

これはまさに与野党問わず皆が知りたいところでありまして、この図でいうと、最終的かつ不可逆的な解決というのは、これは、(2)の事業をやってしまえばそれで最終的かつ不可逆的な解決を確認することになり、私はそういうことを望みませんけれども、結果として、韓国側の慰安婦像の撤去については、その最終的かつ不可逆的に解決されたと確認した後に残って、引き続き、いつまでたっても、いや、努力しています、努力しています、努力していますという状態が続くことを懸念するから、だから聞いているんです。

時間的な前後関係についてしっかりと答弁いただきたいと思います、安倍総理大臣。

○岸田国務大臣 今回の合意は、先ほど紹介させていただきましたこの合意について、日本と韓国、それぞれの政府が合意に従ってしっかり履行する、実施するということであります。合意の中身はそれ以上でもそれ以下でもありません。それぞれがそれぞれのこの合意に明記されている事柄を実施する、これが今回の合意の全てであります。

○緒方委員 では、もう一度聞きます。

最終的かつ不可逆的に解決された後に、この慰安婦像の撤去の努力が引き続き続くという可能性はあり得るということでよろしいですね。

○岸田国務大臣 今回、最終的、不可逆的な解決であるということを、日本政府、韓国政府、そろって世界に向けて明確に表明をしました。

今回、それぞれこの合意の中身を誠実に履行するというのが合意の全てであります。未来に向けてしっかり日韓関係を成長させていくために、この履行を実施することが重要であり、前後関係云々とおっしゃいましたが、この内容それぞれにつきまして、それぞれが履行する、これが合意の中身の全てであります。

○緒方委員 いや、ここは非常に国民の関心も高いところでありまして、もう一度だけお伺いします。

時間的に、この青の部分が、最終的かつ不可逆的に解決されたことを確認するというその時点よりも後に来るということは決して排除されていないですねということです、岸田外務大臣。

○岸田国務大臣 前後関係について御質問がありましたが、先ほど申し上げたように、この合意の中身は、ここに書いてあります、それぞれ、日本政府、韓国政府が行うべきもの、これを履行する、こういった合意の中身であります。これが全てであり、これ以上でもこれ以下でもありません。

これが今回の合意の全てであり、これを誠実に履行することが何よりも重要だと考えています。

○緒方委員 時間的な前後について答弁がなかったということで、非常に不安を残す答弁だったと思います。

しかし、この件について、安倍総理大臣の思いとしていかがでございましょうか。

○安倍内閣総理大臣 この問題は、長い間解決をしなかった問題であります。なぜ解決をしなかったかといえば、これは、日本側の言い分もたくさんあります。韓国側のまた感情もあるわけでございます。

その中で、我々は、最終的にこの結果しかないという判断で、最終的かつ不可逆的な解決、この一言を我々は大切にし、この問題の解決を図ったところでございます。

そして、まさに、何度も大臣が答弁をさせていただいたように、今お示しをしたものが全てであり、これ以上でもこれ以下でもないわけでありますが、いずれにいたしましても、我々は、しっかりとお互いに誠実に実行していくことによって、完全かつ最終的に、不可逆的に解決されていくこととなる、こう確信をいたしております。

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