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【映画評】NERVE/ナーヴ 世界で一番危険なゲーム

2010年以降、メディア環境は劇的な変化を遂げた。一人ひとりが手の中にメディアをもち、「いま・ここ」にいる自分を世界中に配信できるようになった。視聴者数という指標は「もっと見られたい」「もっと注目されたい」という"もっと"を喚起する。ときにそれは、撮影者ひとりでは到底達することのできない状況へと引き込むことになる。

そんな2010年代のメディア状況を皮肉った映画が、本作「NERVE/ナーヴ」だ。NERVEとは本来「度胸」「勇気」という意味もある。このゲームは、視聴ユーザー(ウォッチャーと呼ぶ)の決めたミッションに挑戦者がスマホで自撮りしながら挑戦し、成功ならば報酬がもらえるというオール・オア・ナッシングな度胸試しだ。

引っ込み思案のヒロイン、ヴィーはひょんなきっかけで、友だちの間で流行るオンラインゲーム「NERVE」に登録する。イアンというイケメンパートナーを得ることで、徐々に名を挙げ巨万の富を得ることとなるヴィー。爆増していく視聴者数と預金残高は、ヴィーをさらなる破滅に続く道へといざなっていく。

この映画が描いているのは、なにも荒唐無稽な話ではない。現実のYouTuberなどの動画配信者だって、お金と承認欲求を満たすために必死に再生回数を増やしているからだ。「なんであんなバカなことを」と思ってしまうような愚行の先には、「NERVE」を非現実的だと笑い飛ばせないメディアの構造がある。近ごろ話題になった「おでんツンツン男」も「チェーンソー男」も、ある意味で「NERVE」をプレイしていたと言えるのだ。

映画はオチで、動画視聴者の側にもささやかながら毒を吐く。プレイヤーはあくまでも"主体的に"NERVEのミッションへの挑戦を決断する。けれど、彼ら配信者を愚行に導いた責任が、視聴者の側に0.00001パーセントもない、と言い切るのは難しいのではないだろうか。

個人的には、挑戦者に課されるミッションがわりと地味!という不満足感や、ゲームの設定がガバガバやんというツッコミどころもありつつも、個人メディアのもつ魅惑と危うさを描いた稀有な一本なのは間違いない。

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