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独身女性の金銭感覚

日本ほど世代間の金銭感覚に相違がある国も少ないかもしれません。団塊の世代以前の人は食に対する要求が高くそこに使うお金が多いのですが、それは戦争時代に食べ物に苦労した反動とされます。それがその子供世代に引き継がれます。団塊ジュニアよりやや上の世代でしょうか。何故かといえば「親がせっせと子供にうまいものを食わせた」からであります。結果としてその当時の子供は体重が急増し、肥満児の走りとなります。

団塊ジュニアぐらいの世代になるとアメリカ文化の影響がいよいよ強くなり、食べ物がジャンキー化してきます。家庭でも親が共働きなどで忙しく、インスタント系が大流行します。すると子供たちの食文化が貧弱になり、食に対する願望が下がってきてしまうのです。ごはんにマヨネーズをかけるようになったのもこの世代です。

物欲についても同様に世相を反映しそうです。高度成長時代、所得倍増計画などのプロパガンダを背景に収入が増え、また、商品はどんどん改良され新しいものが生み出されています。そこには他人との「比較文化」が生まれます。「あいつ、新型買ったよ、俺も買わなきゃ」「お友達が○○のバッグ持っていたの。私にも買ってー」と言う追いつき追い越せの文化でしょう。このときは人は競うようにして物を買います。だから今の50代60代から上の年齢の家には「お宝遺産」が山のようにあるはずです。

バブルの崩壊はそれまでの人の消費感覚を変えただけではなく、飽和するモノに対して「取捨選択」する時代を提供したといえるでしょう。「あなたはあなた、私は私」です。だから友達がルイ ヴィトンのバックを持っていても私は誰も持っていない私だけのトートバックが自慢、という価値観の変化が現れます。

ここにきて安倍首相が女性の社会進出を更に促しました。どうなるか、といえば女性はより自立心が高まり、男に頼らなくなります。但し、ここが大きな計算違いだったと思います。現代の女性は消費に関しては消極的です。(かつてはもう少し積極的でした。しかし、女性は本質的にはお財布に対しては保守的です。ママチャリ飛ばして10円安いバーゲンセールを求めて駆けずり回るのが基本体質でしょう。)おねだりして買ってもらうのは好きですが、自分の財布はあまり出したくないし、自分で払うときは自分がその価値観を金銭以上に楽しみたいと思っているのが消費のスタイルに表れています。

日経に「貯蓄1000万円『富女子』台頭 20~30代、節約極める」という記事があります。読んで字のごとしであります。何故、若い女性は貯蓄に走るのか、ですが、思うに背景に女性の自立化が高じた「おひとり様人生」をオプションの一つとして持っているからではないでしょうか?もう一つのオプションである結婚のケースでも旦那の給与だけでは食べていけない可能性を考え、へそくりを思いっきり確保しておく、という発想でしょう。

実は私の友人の奥さんから「ちょっと相談があるの」と言われ、聞けば「わたし、この賃貸アパート買うつもりだけど大丈夫かしら?」「えっ、これを自分で買うの?ご主人は?」と聞けば主人は知らない、お金は自分の貯金を頭金で用意してあり、銀行ローンがつくのも確認したと。

ミセスワタナベという言葉があります。日本のFXの個人トレーダーの総称ですが、なぜ、「ミセス」ワタナベなのかといえば主婦が小遣い稼ぎでFXをやっているイメージが強烈だったためとされます。お金の節約セミナーには女性で満員というのも肯けます。現代の女性はとにかく、貯める、貯める、そして貯めるのです。

ではどこで使っているのか、といえば100均で1000円買ったら「贅沢な買い物」になってしまうのでしょう。日経ビジネスのスペシャルレポートに気を引く表があります。「世帯主の年代別消費性向の推移」で80年代から5年ごとの年代別消費性向を調べたものであります。確実に言えるのは20代、30代の消費性向は時間軸が80年代から現代に向かうごとに大きく下がっています。

80年代では20代の消費性向は85%を超えていましたが、今では65%前後、同様に30代は78%から67%台に落ちます。一方、60代以上になるとまったく違った様相で80年代の消費性向は84%程度でしたが現代では86%台にまで上がっています。つまり、お金を使う癖がついた高年齢層が日本の消費をリードするものの、若年層はお金の使い方を知らないとも言えます。

先ほどの「富女子」。私のまわりにもいます。聞くと「マンションが欲しい」「老後の貯蓄」「いざというときの心の支え」であります。具体性があるのはマンションですが、実際にはマンションそのものが欲しいのではなく、自分の一生を安定的に暮らせる仕組みが欲しいという意味だと解釈しています。つまり、お金を抱え込み、ほぼ使わないというのが今の若い人、特に女性の強い傾向だと言えそうです。

この人たちに「金利下げるから使って」といっても無意味です。安心、安全、社会保障、良い男、稼ぐ男、安定している職、デートの時割り勘ではないなど極度に金銭的リスクが低減する状態にならないと貯金を取り崩すことはないでしょう。私の親戚にもいます。80歳を超えるのに「おばちゃん、コーヒー飲もうか」というと「もったいない」と言われてしまいます。「少し使いなよ」というと「貯金が減る」と言われます。独り者ゆえの不安感かもしれません。笑い話のようですが、こんな話はいくらでも転がっているでしょう。

安倍首相には申し訳ないのですが、女性の社会進出が進むと二つの反動が生じると思います。一つは「消費力」の落ち込み、もう一つは少子高齢化がより進むであります。今の時代背景では全てを満たす答えはないので何をあきらめるか、ということでしょう。

ちなみに現代のアメリカ女性の社会進出はかつてほどのブームではない(もともとはベトナム戦争で男がいなくなったから女性が社会参戦したのが背景です)ので社会現象がどう変化するのか、要注目だと思います。私はアメリカの出生率は上がると思っています。反論も多いかもしれませんが、「養える男」を強化するのも消費アップの逆説的手法かもしれません。

では今日はこのぐらいで。

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