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dietary requirements?

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このエントリは昨年から続く連載シリーズの第五回です。

第一回 浅草から考える多文化共生

第二回 インバウンド観光にみるムスリムの可能性

第三回 B級グルメから神戸ビーフまで

第四回 産業政策としてのハラール認証

レストランでコース料理を頼むと、「なにか苦手なものはありますか?」と聞かれたりしますよね。

あれ、みなさん、何て答えてますか?

私の周りの人の答え方をざっくり類型化すると、

・「セロリが苦手です」と好き嫌いを答える人

・「固いモノは避けて」と食べにくいものを避けてと依頼する高齢者

・「エビにはアレルギーがあるのでダメ」と体質上、食べられない食材を挙げる人もいます。

とはいえ日本人の場合、「なんでも食べます!」と元気に(?)答える人が大多数ですよね。

f:id:Chikirin:20170106140553j:image:w450
(当エントリ内のご飯写真は私の食べたものですが本文とは無関係です)

実は私、以前は米国系の企業に勤めていたので、海外で行われる会議や研修によく参加していました。

開催場所はアメリカ、欧州の他、シンガポールや香港、バンコク、上海などアジアでも行われ、参加者は世界中から集まります。

そういったイベントに参加が決まると、各参加者には主催者の事務局から手続きに関する申し込み書(今はウェブ上の申し込みフォームへのリンク)が送られてきます。

そこには「何日から何日までホテルの部屋が必要か?」、「空港からホテルまでの交通手配は必要か?」「その場合はフライトスケジュールを記入せよ」などと書いてあるのですが、加えてもうひとつ、必ず載っている質問があります。

それは dietary requirement について。直訳すれば「食事に関するリクエスト」です。

たいてい「 special arrangement が必要な場合は、遠慮せず記入するように」などと書いてあり、私はいつも「特になし」と答えていました。

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これ、レストランで聞かれる「なにか食べられない食材はありますか?」という質問と同じように見えますが、実のところ、その想定範囲はかなり違います。

少なくともこの質問に「私はトマトが嫌いです」などと答える人は存在しません。(たぶんね)

この質問の趣旨は・・・たとえばカリフォルニアやニューヨークには多くのベジタリアンがいます。

なのでそういうエリアでは、比較的、庶民的なレストランでも、ランチのチョイスにはベジタリアンメニューがあったりするんです。

でも彼らが他国や他都市に行くと、必ずしもベジタリアンメニューは一般的でなく、なかなか手に入らないという場合もある。

だからそういう人には最初から dietary requirement を申告してもらい、主催者側で準備をしておこうというわけなんです。

そういえば飛行機の中で選ぶ食事も、昔は「肉か魚か」のチョイスでしたが、今は「ビーフかベジタリアンメニューか」みたいになってることが多いでしょ。

あれも、動物性タンパク質を食べられない人が増えてきてるからなんでしょう。

でもベジタリアンだけではありません。国際会議などには、宗教的な事情から食べられない料理のある参加者も大勢やってきます。

その代表的なものが、今回の連載テーマでもあるハラール食しか食べないムスリムの人達なんですが、世界には他にも食事制限をも課している宗教がいくつもあります。

また、動物愛護の観点や健康維持に対する独自の考え方に基づき、食事内容に制限をもうけている人もたくさんいます。

下記の資料をご覧ください。

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(それぞれ個人や家庭による解釈差もあるため、一律すべてが厳密に表の通りというわけではありません)

この表は左から右に見ていきます。

たとえば一番上だと、「ベジタリアン食に豚肉以外の肉や魚を加え、アルコールを除く」と、ムスリムのハラール食の条件になる、といった具合です。

これをみると、ヒンズー教の人は牛肉と五葷の野菜(ニンニク、ニラ、ラッキョウ、タマネギ、アサツキ)を食べないとわかります。

日本の寺で供される精進料理も同じような感じかな?

あと、ユダヤ教の人はコーシャと認定されたものじゃないとダメ、ビーガンの場合は、肉だけでなく乳製品もダメ、など、その制約は様々です。

日本人の場合、レストランで「なにか苦手な食材は?」と聞かれても、「好き嫌いはありません。なんでも食べます!」的な回答をしがちですが、

国際会議の主催者から聞かれる dietary requirements の趣旨は、それとはかなり異なる(広い)意味合いのある質問なのです。

ちなみに、スペインのサッカー強豪チームのレアルマドリードでは、ジダン監督を含めた選手数人がムスリムです。

このため彼らが遠征で泊まるホテルや利用するレストランには、当然のことながらしっかりとしたハラール対応が求められます。

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