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米国雇用統計の雇用増加はほぼ巡航速度に戻り金融政策動向には中立的か?

日本時間の昨夜、米国労働省から昨年2016年12月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数の増加幅は+156千人増とひとつの目安となる+200千人増の水準には達せず、ほぼ巡航速度に近い増加に戻ったように見受けられます。他方、失業率はさすがに前月から0.1%ポイント上がって4.7%を記録しています。いずれも季節調整済みの系列です。まず、New York Times のサイトから最初の5パラだけ記事を引用すると以下の通りです。

Hiring Is Tepid, but Jobs Report Shows Sustained Wage Growth
It has been a long time coming - eight years, in fact - but the economic recovery is finally showing up in the average American worker’s paycheck in a big way.
There have been plenty of winners in the recovery, which began in mid-2009: companies, homeowners, investors and, especially, households at the apex of the economic pyramid. But the paucity of gains in take-home pay has stoked anxiety and frustration for many others, a factor in the wave of discontent that President-elect Donald J. Trump rode to victory in November.
But even as Mr. Trump prepares to succeed President Obama in two weeks, the Labor Department reported on Friday that average hourly earnings rose by 2.9 percent last year, the best annual performance since the recovery began.
And many economists expect the trend to gain momentum this year, as a tighter labor market forces employers to pay more to hire and retain workers. "This is a turning point for the overall economy," said Diane Swonk, a veteran independent economist in Chicago.
While wage growth was robust last year, government data for December showed a more tepid increase in employment, with 156,000 jobs added during the month, and a slight uptick in the unemployment rate to 4.7 percent.

この後、さらにエコノミストなどへのインタビューや米国大統領選へのインプリケーションの分析が続きます。包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

雇用増加幅は市場の事前コンセンサスでは180千人程度と私は聞いていましたので、やや下回った気がしないでもないものの、他方、先月11月の統計が当初発表の+178千人増から+204千人増に大幅に上方改定されていますので、その分を加味すればトントンというところかもしれません。失業率は11月に一気に0.3%ポイント下げた反動の意味合いもあり、5%をゆうに下回る水準で非常に低くなっています。ですから、総じて見れば米国雇用は堅調そのものと考えるべきです。米国の労働市場はほぼ完全雇用に近づいたと考えるべきであり、下の時間当たり賃金のグラフを見ても、やや上昇テンポを上げているように見えます。

ということで、時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見て、ほぼ底ばい状態が続いている印象ですが、それでも、12月の前年比上昇率は+2.9%を記録し、2009年6月以来7年半振りの高い伸びを示しています。一時の日本や欧州のように底割れしてデフレに陥ることはほぼなくなり、逆に、トランプ次期米国大統領の5500億ドルのインフラ投資や、まだ内容はそれほど明らかではないものの、近く打ち出されるであろう製造業振興政策などを考え合わせると、それなりのインフレ圧力になる可能性が否定できません。米国連邦準備制度理事会(FED)は2017年中に3回の利上げペースを示唆していますが、あるいは、この年3回の利上げのペースがスピードアップする可能性もあり得るものと考えるべきです。

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