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公認会計士の仕事はAI(人工知能)に置き換わるのか?

日経朝刊の「春秋」までこのネタを取り上げるとはね・・・。

公認会計士という職業は産業革命が進んだ19世紀半ばの英国で誕生したとされる。企業は巨額の資本を調達するため、財務諸表に第三者のお墨付きを得る必要が出てきた。そこで登場したのが、国王の認める会計帳簿のチェック役だった(渡邉泉「会計の歴史探訪」)。

会計士の活動は大西洋を越えて米国にも広がり、鉄道会社の決算に監視の目を光らせた。資本主義の発展に少なからぬ貢献をしてきたといえよう。ところが今、この専門的な職業の存続を危ぶむ声があがっている。人工知能(AI)に不正会計の事例を学習させることで、すばやく虚偽を見抜けるようになってきたからだ。
([出処]日経新聞(2017/1/4)より抜粋)

この『専門的な職業の存続を危ぶむ声』をあげているのは誰なのでしょう??

「週刊ダイヤモンド」(2015/8/22号)『機械に奪われそうな仕事ランキング』で公認会計士が2位になっておりましたが、この記事はかなり恣意性を感じます。この記事の元ネタとなったオズボーン論文は、アメリカの全雇用のおよそ47%が極めて高いリスクに分類され、近いうちに自動化される、とは書かれているのですが、公認会計士の仕事が奪われるとは書かれておりません。

技術革新が人の仕事を奪った例としては産業革命下の英国で起こったラッダイト運動が知られる。機械に職をとられた織物職人たちが、機械を打ち壊した騒動だ。これに対してAIに取って代わられる恐れが指摘される仕事は、ものづくり関係に限らず幅広い。高度な専門職などホワイトカラーも安穏としてはいられない。
([出処]前掲紙)

産業革命下の英国で「ラッダイト運動」という機械打ち壊し運動が実際に起こったようです。ただ、機械化が進んだからといって、経済全体に及ぶ組織的な雇用喪失には至りませんでした。逆に、機械化が進んだことにより新たに生まれた産業や雇用もあるはず。
とはいえ、産業革命下の機械化と異なり、AI化は知的労働に携わる仕事にまで及ぶ。そのため、以前の機械化の時と同じように考えていいのかどうか・・・・、という話です。
これは、岡本裕一朗著『いま世界の哲学者が考えていること』という本にも触れられておりますので、興味ある方はご一読下さい。

帳簿の点検がAIに置き換わり始めたとき、会計士はどうしたらいいか。「決算をもとに経営者との議論を深め、業績改善策の助言に力を入れる」。ある会計士は提供するサービスの付加価値を高めるという。産業構造の変革期は廃れる仕事がある半面、伸びる仕事も出てくる。AI革命の今、そのただ中に入ったようだ。
([出処]前掲紙)

産業革命下に機械化が進んだ時に、ルーチンワークの仕事が機械に奪われたように、AI化が進んだ時はAIができる仕事はAIに奪われるはずですし、奪われてしまっても構わないと思います。会計監査の仕事に関していえば、「何でこんなことを公認会計士の有資格者がやってんだ?」という仕事もある。そういうものは、AI化できるのであればとっととやってしまえばいいと思います。「職が奪われる!」なんて戦々恐々としている公認会計士なんて、少なくとも私の周りにはおりません。さらにいえば、さほどAI化は進んでいません。仮にAI化により公認会計士の仕事が奪われるとしたならば、その時は医者も弁護士も税理士も司法書士も、会社のホワイトカラーも、みんな仕事が奪われているのではないでしょうか。

なんで公認会計士だけが狙い撃ちされるのやら。


いま世界の哲学者が考えていることいま世界の哲学者が考えていること [単行本(ソフトカバー)]
岡本 裕一朗
ダイヤモンド社
2016-09-09

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