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トランプ氏と中国の行方

年末、井戸端会議をしていた知り合いのカナダ人が「トランプ大統領は製造業のアメリカを本気で復活させるつもりなのか?アメリカ人が作れるものは(コーヒーの)ラテしかないじゃないか!」と息巻いていました。最低賃金は州により時給15ドルに向かい、一般的な工員となれば2-30ドルは取るでしょう。「そんな高くて製造業が出来るわけない、アジアは神の手なんだからそれを使わない手はない」と珍しく興奮した様相で話していました。

アジアは神の手というよりドラえもんのポケットのように次々と出てくる安くて器用な手と言った方が正解なのでしょう。アメリカの一部は世界最先端の頭脳の塊で優秀な人材がアメリカに渡り、そこで経済、産業界を支えていることは事実ですがそれはほんの一握り。とすればトランプ氏のアジア嫌いが乗じた製造業の回帰は現実的か、という疑問は当然出てくるのでしょう。

トランプ氏は国家通商会議のトップに対中強硬派のピーター ナバロ氏を起用、更に通商代表にやはり対中強硬派のロバート ライトハイザー氏を起用しました。トランプ氏の周りで中国と対話できるのは駐中国大使に指名されたアイオワ州知事で習氏とも面識のあるテリー ブランスタド氏だけでこの人選については習近平主席を含め、歓迎する意向だと報じられています。戦略的には駐中国大使が余りにも過激だとペルソナノングラーダ(好ましからざる人物)で国外退去を命ぜられるリスクを考え、また、中国指導部とのコミュニケーションをとるためにはブランスタド氏が人身御供のようにも見えます。

これはどう見てもアメリカは先々、中国に厳しい姿勢を見せると言わざるを得ません。その中国も外貨流出が止まらず、ポジション的には厳しいと言わざるを得ません。ブルームバーグによると12月31日に中国の国家外為管理局が外貨持ち出しに関してさらに厳しい追加的ルールを制定、外貨が海外の不動産や証券取得に使われないことを銀行が確約することを求めています。更に違反者への罰則も3年間外貨交換ができなくなり、ブラックリストに掲載されるなどの処置が発表されています。多分、一週間以内に発表されるであろう12月末の外貨準備は公表値で3兆ドルを切る可能性もあり、その場合の中国側の姿勢はより頑なになるでしょう。

私が思う中国側の対策としてはアメリカの国債の売却のピッチを上げるのだろうと思いますが、代わりに何を買うのか、これが見えないのであります。主要通貨に対して米ドル独歩高が続き、他国の国債等を買っても為替リスクがあるため、対応に苦慮するものと思われます。

では、アメリカは何処まで中国を苛めるのか、でありますが、個人的にはズバリ、中国の膨張主義を根っこから止める気があるのではないでしょうか?トランプ氏は中国製品に関税を課す、といっていますが、それをしなくても中国は外交的に苦しい立場になる可能性はあります。この仮定が正だとすればアメリカにとって日本は与しやすいアジアの盟友ですから日本には意地悪はしないのではないでしょうか?事実、安倍首相は今月、再び、そして大統領としてのトランプ氏と会談する予定であり、緊密性は担保されているとみています。

トランプ氏は典型的な白人至上主義者ですのでアメリカNO1を標榜したいはずです。日本は規模的にトランプ氏の考える直接競合相手国ではありません。国土も人口も小さく、潜在性は別として資源もありません。それに対して中国は国土と人口、資源があり、中華思想に基づく膨張主義があるため、放置すればかつてのソ連のようになると考えている節があります。トランプ氏がプーチン大統領を抱き込もうとしているのは中国包囲作戦に見えます。同様に台湾の蔡英文総統とも電話交信しています。シナリオは見えているでしょう。

強いアメリカを再現しようとしているのがトランプ氏であります。オバマ大統領の時はアジアの時代を演出しました。ナチュラルだったと思います。ところが、歪が見えたのがトランプ氏を支援した白人の一般大衆の男性層であります。思い返せば日本がアメリカに繊維、鉄鋼、自動車などを猛烈に輸出していた際、その層から厳しい反発がありました。今回は中国からの輸出攻勢、さらには不動産取得や会社買収は正に日本がバブルの頃アメリカに嫌な思いをさせた二の舞であり、トランプ氏支援のボイスに繋がっているとみています。

但し、実態問題として中国による欧米企業買収と不動産取得ブームは終焉したとみています。一つは元安で欧米資産が割高になっていること、一つは無制限な外貨取得を中国当局は放置しないことがあります。中国人の不動産取得で著名なここバンクーバーも外国人取得者の特別税を15%を課しはじめた16年8月より取引数は激減で価格も先行き弱含むとみられています。

年初のブログに書いたように中国は秋に党大会を控え、動きたくても動けない年であります。経済的にも同国は守りの時代ですので習近平国家主席としては国内地盤の強化に努めることを優先とし、太平洋の向こうで吠えるトランプ氏と面と向かって対立姿勢を見せない賢いふるまいを見せると想定しています。獅子がおとなしくなればライオン丸のツィッターも収まる、というシナリオがベストです。コトの成り行きを見守りたいと思います。

では今日はこのぐらいで。

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