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独断的音楽ビジネス予測2017〜もう流れは決まった。大変革の2021年に備えよう〜

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見事なくらい更新が少なかった本ブログ。メールマガジン「音楽プロデューサー山口哲一のエンターテック・ニュース・キュレーション」は、ほぼ毎週出したし、3月から11月までは、TokyoTech Street」というネットラジオ番組もレギュラーでやったから、情報発信はできたつもりだけれど、なかなかブログまでは手が回らなかった。ごめんなさい。

 毎年続けてきた元旦の「独断予測」は今年もやります。まずはいつものように、昨年の答え合わせから。

(予測1)
●サブスクリプション型ストリーミングサービスの有料会員は200万人超へ

⇒オンデマンド型のストリーミングサービスは、日本では、Apple Music、Google Play Music、LINE music、AWA,KKBOX、そして12月からやっと始まったSpotifyと6社ある。どこも日本での有料会員数は発表していないので正確にはわからないけれど、各所からの情報を集まると、おそらく150万人を超えたくらいかなと思う。Spotifyが夏に始まってくれれば200万人超えていたと思うけれど、当たらずとも遠からずという予測結果になっていると思う。

(予測2)
●Spotify いよいよ日本サービス開始

⇒御存知の通り、これは正解。僕の読みよりは4〜5ヶ月くらい遅かったけれど、日本法人を作ってから4年と随分待たされたけれど、やっとSpotifyが日本でもサービスを始めた。欧米とは多少設定が違うけれど、フリーミアムモデル。無料でも一定のサービスが楽しめる形だ。使ってみればすぐに感じると思うけれど、音楽オリエンテッドでとても良くできているサービスだ。やっと日本の音楽消費が世界水準になって、ホッとした。Spotifyの存在を前提にした様々な音楽サービスも出てくるだろう。日本のスタートアップに期待したいし、できることがあれば積極的に応援したい。
 アメリカで老舗のNapster、フランス発で世界3位のDeezerの大手2社も日本でのサービス開始を準備中で、2017年には始まる可能性が高いと聞いている。オンデマンド型ストリーミングサービスの百家争鳴という感じだけれど、同時に、合従連衡も始まっていくと思う。

(予測3)
●インターネットラジオが一般化する

⇒これは当たったかどうか、半々というところだろうか。楽天がネットラジオのプラットフォームとしてRakutenFMを開始し、TOKYO FMのidioと連携するなど注目は集めたけれど、一気に普及とまでは言っていない。
 ただ、radikoが始めたシェアラジオは注目だ。放送エリア外のラジオ番組が聞ける有料会員も着実に増えているし、放送後に誰かがシェアしたら番組が聞けるというのは、魅力的だ。ラジオ受信機の価値は落ちても、コンテンツとしてのラジオ番組にはユーザーの支持があることを証明している。

(予測4)
●VR映像とライブエンターテインメントの融合が本格的に始まる

⇒VRについては、やはりまずはゲームに注目が集まっている、おそらくアダルト映像、エロの分野が売上的にはとても大きくなるだろう。でも、ゲームセンターがVR化している現状は、エンタメ分野にも大きなチャンスだ。実際、昨年は、宇多田ヒカル、きゃりーぱみゅぱみゅなどが、360度映像の配信を行った。この予想も概ね外れないと言わせて欲しい。
 個人的には、2016年はポケモンGOの大ヒットがARを一般化した記念するべき年だ。プロデュサーとしての仕掛けところが「早すぎる」と業界で言われることが多い僕だけれど、大注目だった「セカイカメラ」と組んでアーティスト&楽曲PRをした渋谷で恋するメッセージ―AR恋文横丁―」企画は、2010年の1月に発表しているので、6年以上、早過たということになる(汗
 思い出して検索してみたら、ソフトバンクからのプレスリリースが見つかって、感無量だった。こんなことやってたということで、見てみて下さい!

 さて、答え合わせが終わったところで2017年の展望なのだけれど、特筆すべきことは無いというのが正直なところだ。もう流れは明確で、多少の揺れ幅はあるにしても、

1)オンデマンド型のストリーミングサービスが、音楽体験の主流になっていく。もちろん関連サービスが増えてくる。

2)   パッケージは微減しながらも健在

3)   コンサート市場は、外国人観光客を取り込むことで伸びていく

といった流れは、予測するまでもなく、進んでいくことは間違いない。

 ざっくり言うと、レコード売上については、2020年までには、デジタル配信とパッケージの比率が半々くらいになるだろう。配信のほとんどはサブスクリプション売上になる。売上総額が3000億円位まで落ち込むか、5000億円位まで伸ばせるか、その間というのが僕の感覚だ。
 コンサート市場も日本人だけが対象だとそろそろ頭打ちになるところだけれど、訪日外国人観光客が2000万人を超え4000万人になるというインパクトは大きい。全体の20%位まで訪日外国人比率を上げられれば5000億円も夢ではない。
 お正月ということで楽観的に語らせてもらえば、併せて1兆円が音楽産業の国内市場で、あとは輸出がどのくらいできるかというのが概観だ。2017年はそのプロセスということになるだろう。

 昨年も書いたけれど、2020年までの日本の経済の流れは概ね上向きに進むと思う。安倍政権も続きそうだし、首相が代わることになっても、政策的に大きな変更は無さそうだ。
 但し、これには功罪ある。オリンピック景気で、2020年までは従来型の仕組みが維持される。象徴的に言うと、地上波テレビは世帯視聴率を基準に大企業の宣伝費を電通が制御して番組が作られるだろうし、レコード会社もおそらく1社も潰れないだろう。本来、行われるべきな構造的な変化は、全て2020年までは先送りされる。
 ついでに言うと、日本の芸能界の構造も維持される。大騒動となったSMAPの解散を一言で総括するなら、「40代の意思決定に対して80代が認めないと通らないのが日本」ということだ。政治家まで残念とか言っていて意味がわからない。本当に憂鬱なニュースだった。
(個人的には、音楽的クオリティが高い良質のJポップがつくられるSMAPのアルバムがもう制作されないことが、凄く残念だ。)

 日本の大きな病巣の一つは、70代以上の重鎮にデジタル社会に対する見識がある方がほとんどいらっしゃらないことだ。特に芸能界、メディア業界は悲惨だ。日本の芸能界、メディア業界、音楽業界などの仕組みは、今の70代以上のみなさんが戦後に苦労して作られたもので、僕らはその土俵の上でやらせてもらっている。なので、先達への尊敬と感謝は、日本人的なマインドも含めて、決して忘れてはいけないと常々思っている。ただ問題は、重要なところで意思決定をする立場の人が、デジタル化、クラウド化、SNS化、人工知能の進化、ビッグデータ解析等々、社会の本質的で不可逆的な変化に対して、無知で不勉強なことだ。そして、おそらく2020年東京五輪までは現役でいたいと思っていらっしゃるだろう。それは誰も止められない。でもいつか引退の時はくる。
 この2つの意味で、2021年は大きな節目になる。

 それまでの4年間でやっておくべきことは多い。大きく3つ

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