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年金制度にまつわる数々の誤解と今後必要な制度改革案(2)ー基礎年金の税財源化・積立方式という幻想(室橋祐貴)

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前回の記事では12月14日に成立した年金制度改革法案の内容と背景、未納率が年金制度に与える影響、低年金者問題について説明し、2004年から導入されたマクロ経済スライドをフル発動すれば年金制度が破綻することはあり得ず、低年金対策には厚生年金の適用拡大などを行えば基本的には問題ないことも説明した。

今回の記事では、よくネガティヴキャンペーンに使われるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用の実態や、民主党(当時)が掲げていた基礎年金部分の税財源化、また、積立方式への移行の是非について見ていきたい。

積立金が支給額に与える影響は1割程度

今年、GPIFの年金運用で何兆円も損失が出たとニュースを見て驚いた読者も多いだろう。民進党は党独自の試算として、2015年度の損失が約4兆7000億円に上ると発表、「第2の消えた年金問題だ」と批判を繰り返した。

しかし、そもそも年金支給は保険料と国庫負担金でほとんど全てをまかなっており、積立金は収支を微調整しているに過ぎない。実際、給付額に占める積立金の割合は1割程度で、極端な例として、年金運用額約135兆円が全額なくなっても、年金制度が破綻するわけではない。

さらに、先月発表があった通り、今年度第2四半期(7-9月)の収益率はプラス1.84%、収益額は2兆3,746億円もの利益を出しており、短期的に見ても意味がないことは明白だ。その上、長期的に見ても42兆5,644億円のプラスとなっている。

過去5年の実質的な運用利回り(運用利回り-賃金上昇率)の平均は5.4%、同10年だと2.85%で好成績を出している。

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出典:http://www.gpif.go.jp/operation/state/pdf/h28_q2.pdf

株式比率を上げた理由

現在、GPIFの基本的なポートフォリオ(資産運用割合)は、国内債券35%、国内株式25%、外国債券15%、外国株式25%で、安倍政権になってから株式投資の割合を引き上げた点を切り取って、一部メディアや野党は批判を繰り広げているが、日本国債がマイナス金利になっている現状においては必要な措置である。

GPIFの実質的な運用利回りの目標は、少子高齢化に備えて、1.7%にしているが、以前の国内債券60%という割合でこれを実現することは難しい。実際、第2四半期の国内債券の損失額は6,671億円で(国内株式は2兆円、外国株式は1兆円の利益)、現在の金融政策を踏まえれば今のポートフォリオは決して悪くない。

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