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電通は「揉み消し屋」だ

広告業界の体質そのものを改めよ

 電通の過労自殺事件を受けて、電通の石井直社長が辞任することになりました。しかし、これによって直ちに電通の体質が変わるとは思えません。電通のあり方を根本的に改めるためには、日本の広告業界の体質そのものを改める必要があります。

 ここでは、本誌2016年1月号に掲載した、評論家の佐高信氏のインタビューを紹介したいと思います。全文は本誌1月号をご覧ください。(YN)

ケイアンドケイプレス 2016-12-22

電通の正体

―― 電通の新入社員が過労自殺したことから、電通に批判が集まっています。佐高さんは以前より『電通の正体』(金曜日)などで電通を厳しく批判してきました。

佐高 電通で自殺者が出たのは今回が初めてではないんですよ。以前自殺者が出た時に注目されなかったのは、メディアが報じなかったからです。メディアの多くは電通を経由して広告をもらっているから、批判できないんです。もし電通や広告主の批判をしようとすれば、電通が記事を潰しにくるんですよ。

 例えば、松下電器で自殺者が出たとしますね。そのことを新聞や雑誌が書こうとする。すると、そのメディアが電通から広告を入れてもらっていた場合、電通が社名を出すなと言ってくるわけです。仕方がないので「M電器」と書こうとすると、それでも類推できてしまうから「ある電機メーカー」にしろとか、段階的に圧力をかけてくるんですよ。

 だから、私に言わせれば電通の仕事はダーティビジネス、要するに「揉み消し屋」ですよ。いわば闇の世界の支配者が児玉誉士夫だったとすれば、電通も児玉に匹敵するほどの支配者だったわけです。

 なぜ電通がこれほど力を持っているかと言うと、彼らは有力者の子弟をどんどん入社させ、マスコミで主だった人間にも色々働きかけを行っているからです。例えば、田原総一朗の奥さんの葬儀の時、葬儀委員長を務めたのは電通の成田豊なんですよ。また、電通は自社ビルをたくさん持っていて、地価の上昇によって凄く儲けたんです。それで新聞社の経営がきつかった時に、経済的に助けてあげていたんですよ。今でも地方局などには電通資本が入っている可能性があります。

 それから、日本の広告業界のいびつさも関係しています。外国の広告代理店は一業種一社制なんですが、日本の場合は一業種多社制です。一業種一社制とは、一つの広告代理店が競合する同業他社の広告を担当しないということです。

 一業種多社制は昔から問題になっていて、土光敏夫が東芝の会長時代に「電通は一生懸命東芝の宣伝をしていると言いながら、松下や日立の宣伝もしているじゃないか」と、電通の節操の無さを批判しています。しかも、電通は同じビル内に各家電メーカーの担当部門を置いていたから、土光は「これでは他の会社に企業秘密が筒抜けになるじゃないか」と怒ったんです。それで、東芝の担当部門は別のビルに移されたんですよ。

 私が関係したもので言うと、国鉄の分割民営化の時に、国鉄本社は分割民営化推進のPRを電通に頼んだんです。ところが、民営化に反対していた国労(国鉄労働組合)も、民営化反対のためのPRを電通に頼んでいたんです。私も民営化に反対していたんだけど、「こんな馬鹿な話があるか」と怒ったことがあります。ある部署の人間は民営化推進のためにどうやって宣伝しようかと考え、別の部署では民営化を食い止めるためにどうやって宣伝しようかと考えているわけだから、全く統一性がないですよね。今の公明党みたいなもんです。

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