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「昔タケちゃん、今ヒカキン」

「昔はドリフ、今はヒカキン」というタイトルのほうが良かったかもしれない。  
 
 いつの時代にも、PTAや“意識の高い”お父さんお母さんがたを憤慨させてきたコンテンツというのはあって、たとえば先生のボインにタッチするようなアニメだったり、バカっぽい子どもがお茶の間に向かって尻を丸出しにするようなアニメだったりしたわけだ。
 
 アニメ以外の番組にもそれは言える。
 
 私が子どもの頃にも、(当時の水準で)意識の高い父兄から良くない風に言われている番組があった。それは『8時だヨ!全員集合!』であったり『オレたちひょうきん族!』であったりした。くだらない。通俗的。下品。子どもの教育にふさわしくない。そういった否定的評価がこれらの番組には下されていて、そのことは、子どもだった私達にもしっかり伝わっていた。
 
 今にして思えば、それはそのとおりだった。教育テレビの番組や科学をテーマにした番組に比べて、それらはあまりにも馬鹿っぽく、子供騙しで、下劣な番組とうつったことだろう。
 
 勉強や進路に資するところなく、ぬるいビールの泡のような笑いをもたらし、悪ガキ共のしようもないお喋りにピッタリなバラエティに夢中になっている我が子の姿を、意識の高い父兄が眉をしかめて眺めていたのは想像に難くないし、自分の子どもが志村けんやタケちゃんマンの物まねをする姿など、彼らには耐えがたく感じられただろう。
 
 実際には、そうした番組のそうした知識も、学校に通う同世代同士でコミュニケーションする時に役に立つ、ちょっとした共有資産だったりしたのだが。
 

「くだらないもの」の流通媒体としてのネット動画

 そうした芸人を楽しむ媒体も変化して、かつてはテレビの独占だったものが、インターネットにもたくさんの芸人がみられるようになった。テレビで芸をうつ芸人達は、視聴者の加齢にあわせなければならないためか、子どもや若者にフォーカスを絞ったような芸はなりを潜めるようになった。他方、インターネットには、はっきりと子どもに焦点を合わせた芸人の芸が幅を利かせている。
 
 21世紀の意識の高い父兄に嫌われやすい、かつての『ドリフ』や『ひょうきん族』に近いコンテンツとは何だろうか?
 
 『重版出来!』と『トットてれび』から見える作り手の困難(成馬零一) - 個人 - Yahoo!ニュース
 
 上記リンク先を読んでいた時に、「そうだ!ユーチューバーだ!」と自分のなかで結論が出た。
 
 意識の高い父兄から嫌われているという点でも。
 「既存のメディアから下に見られていそう」という点でも。
 年上よりも年下の人達にフォーカスを絞っている点でも。
 
 だから、少子高齢化の今という時代に「ドリフ」や「タケちゃんマン」的なニッチを引き受けているのはユーチューバーとその眷族達なのだ。時代とメディアが変わってしまったから別物のようにみえるけれども、日本のサブカルチャー全体のなかで引き受けているニッチはだいたい同じではないだろうか。
 
 「ああ、キッズがユーチューブに夢中になっている時に感じるこの気持ちを、数十年前の親達も感じていたんだろうな……『ドリフ』や『ひょうきん族』に夢中になり、真似をしてはゲラゲラ笑う俺達の姿を眺めながら。」……と最近は思うようになった。
 
 しかし、そこはそれ、ユーチューブの子供向け演し物は昭和時代のテレビに比べればどこか清潔で、かしこまっていて、21世紀のコンテンツ感はある。昭和時代~平成前半の風物はそこからは感じられない。そうやって、21世紀の子どもは21世紀を呼吸し、我が物としながら生きていくのだろう。

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