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完全雇用に近い雇用統計とマイナス続く消費者物価指数(CPI)の動向やいかに?

本日、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、また、総務省統計局の消費者物価指数(CPI)が、それぞれ公表されています。いずれも11月の統計です。季節調整済みの系列で見て、失業率は3.1%と前月から+0.1%ポイント上昇し、有効求人倍率も前月からさらに0.01ポイント上昇して1.41を記録した一方で、生鮮食品を除くコアCPIの前年同月比上昇率は▲0.4%と9か月連続でマイナスに落ち込んでいます。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

求人倍率、11月は1.41倍 3カ月連続上昇
失業率は0.1ポイント悪化

雇用は引き続き改善が進んでいる。厚生労働省が27日発表した11月の有効求人倍率(季節調整値)は1.41倍で、3カ月連続で上昇した。1991年7月以来の高水準となり、企業の人手不足感が一段と強まっている。新たに仕事を探す人が増え、総務省が同日発表した完全失業率(同)は3.1%と前月に比べて0.1ポイント上昇した。
来年に向けて企業が人材確保に乗り出し求人数が増えている。11月の有効求人数は前年同月比で5.9%増加した。同月の新たな求人数を業種別にみると電子部品製造業が41.2%、ゴム製品製造業が30.0%それぞれ増えた。仕事を探す人以上に求人数が伸びている。
職探しをする人の増加は失業率にも表れている。完全失業率は3カ月ぶりに悪化したが、専業主婦などが新たに仕事を探し始めたことが要因だ。新たに求職を始めた人は前月比で9万人増え、2013年8月以来、3年3カ月ぶりの高水準になった。
完全失業者は197万人で、前年同月より12万人減少した。勤め先や事業の都合による離職が6万人減ったほか、自己都合の離職も5万人少なくなった。
求人数の増加で雇用の「質」も改善している。正社員の有効求人倍率(季節調整値)は0.90倍で、04年に統計を取り始めて以来初めて0.9倍台に乗った。
全国消費者物価、原油安で0.4%下落 11月
生鮮野菜は高騰続く

総務省が27日発表した11月の消費者物価指数(CPI、2015年=100)は、値動きの大きい生鮮食品を除く総合が99.8となり、前年同月比0.4%下落した。QUICKが事前にまとめた市場予想の中央値と同じだった。電気代が6.9%下落するなど引き続き原油安が響き、9カ月連続で前年実績を下回った。
生鮮食品を除く総合では全体の56.4%にあたる295品目が上昇し、172品目が下落した。横ばいは56品目だった。
生鮮食品を含む総合は100.4と0.5%上昇した。天候不順の影響から、トマトが44.4%上昇するなど生鮮野菜の高騰が続いており、指数を押し上げた。食料・エネルギーを除く「コアコア」の指数は100.5と0.1%上昇した。
東京都区部の12月のCPI(中旬速報値、15年=100)は生鮮食品を除く総合が99.5と、前年同月比0.6%下落した。下落は10カ月連続で、下落幅は2013年2月以来の水準となった。電気代や都市ガス代を中心に原油安の影響が出ている。ただ、ガソリンは2.6%上昇しており、プラスに転じた。生鮮食品を含む総合は99.8と横ばいだった。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。それにしても、会員限定の記事だということもあってとても長くなりました。続いて、雇用統計については、上のグラフの通りです。上のパネルから順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期です。







雇用統計については、上に掲げた3枚のグラフのうち、前月から改善を示しているのは有効求人倍率だけであり、失業率はわずかとはいえ久し振りに上昇しました。ただ、引用した記事にもある通り、失業率の上昇は専業主婦などの以前は非労働力人口だった人々が景気の回復を実感したために、新たに職探しを始めて労働市場に参入したことが要因のようですから、悲観する必要はないのかもしれません。なお、上のパネルから順に、景気との関係は一般に、失業率は遅行指標、有効求人倍率は一致指標、新規求人は先行指標と考えられています。ですから、引き続き、ほぼ完全雇用状態に近い人手不足が続いています。これも引用した記事にある通り、正社員の有効求人倍率も0.90倍を記録して高い水準にあります。前々からこのブログで表明している通り、まったく理論的な根拠はないものの、人手不足や労働需給のひっ迫は賃金よりも正社員増の方に現れる可能性も否定できません。もっとも、フィリップス曲線的にいって、日銀の物価目標である2%の物価上昇率と整合的な失業率は3%を下回るというのが私のかねてからの見解であり、それをサポートする本も最近読みましたので、近くより詳しく取り上げたいと思います。



続いて、いつもの消費者物価上昇率のグラフは上の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く全国のコアCPI上昇率と食料とエネルギーを除く全国コアコアCPIのそれぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフは全国のコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。エベルギーと食料とサービスとコア財の4分割です。なお、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めない指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。ということで、日銀の物価目標である+2%にはほど遠く、生鮮食品を除くコアCPIの前年同月比上昇率は9か月連続でマイナスを記録しています。他方、ヘッドラインCPI上昇率は天候不順による野菜の価格高騰などから+0.5%の上昇を示しています。ヘッドラインCPIはコアCPIに回帰すると私は考えていますが、少なくとも現時点では野菜などの価格動向は国民生活を圧迫する方向であると見なさざるを得ませんし、耐久消費財が年末商戦に向けて新製品が出回る時期とはいえ、相変わらず価格低下を示しているのは、消費が盛り上がらない帰結なんだろうと受け止めています。

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