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違法残業による社名公表制度-求められる内部通報制度充実への真摯な取組み

(12月27日午前1時30分 追記あり)

本日(12月26日)のニュースでは、厚労省が違法な長時間労働を放置する企業の社名公表の要件を厳しくすることが報じられています。電通さんの過労死事件への社会的関心から、厚労省では緊急対策がとられたそうです(ただし、私は電通社員の方の過労死は長時間労働問題よりもパワハラ問題のほうが大きいのではないか、パワハラを許容する職場環境を整備できなかったことのほうが問題ではないか、と考えていますが)。

(追記)厚労省の緊急対策にはパワハラ防止策も盛り込まれたそうです。労基法にはパワハラ規制の条文がないために、今後の監督対応がどのようになるのか、やや疑問が残るところですが一歩前進ですね。

パワハラ問題への個人的な見解は別として、このような厳しい厚労省の措置が施行される以上、社員による監督官庁への内部告発は「ブラック企業への引き金」となる可能性が高くなりました。もし現場の問題行為を社員が見つけた場合には、内部告発ではなく、速やかに内部通報(社内通報)がなされるかどうかが「ホワイト企業へ引き返す黄金の橋」になりそうです。

誠実な企業の社員の道徳観には二通りあります。ひとつは会社や上司、同僚への忠義や義理を最優先に考える道徳観。チームプレーを大切にして、他社と競争するときには強力な力を発揮します。もうひとつの道徳観は忠義や義理よりも「正しいことをやりきる」「たとえ社命でも決して悪いことはしない」という仁徳を最優先に考える道徳観。たとえお世話になった組織の不利益になることでも悪いことは悪いと指摘して組織に改善を求め、それでもダメなら外から改善を要求するタイプ。いま、日本の企業にはこの二つのタイプの道徳観が混合しつつあるように感じます。コンプライアンスを語る際にも、この二つの道徳観をどう調和させるか・・・といったところにとても気を配ります。

長時間労働を一律に厳しく規制することの是非については、この二つの道徳観が混在する中で議論がかみ合わない状況ですが、働き方改革、労働の流動化促進等、労働環境の変化にともなって「正しいことに見て見ぬふりは許されない」といった道徳観をもった社員の方々が確実に増えています。したがって内部告発は会社への恨みや個人的利益のためではなく、個人の倫理観、道徳観に起因する職場環境改善を目的としたものが増えており、当然のことながら集団化、組織化しているのが最近の傾向です。

企業が持続的な成長を図るためには、社内の社員層に「断裂世代」を作ることは避ける必要があります。しかし「ブラック企業化」がたとえ一時的であったとしても、3~5年間の優秀な社員がいない空洞化(断裂化)現象を作ってしまい、これはどんな名門企業でも競争上の致命傷となります。いまこそ真剣に断裂化現象を極力回避するための内部通報制度(違法残業の予兆を速やかに社内発見する制度)を充実させる方策を検討すべきです。

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