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【大予測:仏政治】ポピュリズムの波来るか?仏、大統領選

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Ulala(ライター・ブロガー)

2016年も終わりに近づき、私なりに注目されるフランスの来年の課題3項目についてまとめてみました。

まず1つ目は、大統領選挙についてです。2017年でフランスに最も影響を与える出来事と言えば、なんと言っても4~5月に行われる大統領選挙ではないでしょうか。

欧州連合(EU)離脱を選んだイギリス国民投票に引き続き、アメリカ大統領選で共和党候補の移民排斥を唱えるドナルド・トランプ氏が勝利を収め、世界的なポピュリズム化が進み次々と専門家の政治予測を覆す展開となる中、来年のフランス大統領選においても、極右政党、国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン党首が選ばれる可能性も否定できないと一部では言われています。

ルペン氏が大統領に選出されることは、今までではあり得ないこととされてきましたが、テロが多発し、景気がなかなか回復しない中、ルペン氏の「移民排斥」と「エリート支配非難」という分かりやすい発言を支持する人が増加していることは否めません。

しかしながら、今月行われた世論調査の好感度のアンケート結果によると、前経済相エマニュエル・マクロン氏が49%、右派で元首相のフランソワ・フィロン氏が44%、前首相バルツ氏、ルペン氏が24%の順となっており、今のところは、マクロン氏とフィロン氏が有力そうではあります。

フィロン氏は移民の受け入れにも否定的で、ルペン氏支持層からの票が流れる可能性もある人物。年齢的にも貫禄的にも強いリーダーシップを取りそうな指導者として人気がありますが、到底受け入れられないといわれる歴史的解釈を持ち出して、歴史教師達から反発を受けたり、移民だけではなく、同性愛者に対しても厳しい対応を取ることに懸念を覚える人もいます。

マクロン氏は若くエネルギッシュで、それこそ今までの言動や行動からフランス人が好む「反骨精神」の塊のような存在であり、かなり人気を集めていることも事実。ただ若いこともあり実績があまり残せておらず、年配には不人気な傾向があります。しかし、経済相であった時には、労働市場と製品市場に必要な構造改革の実現に向け、オランド大統領から幅広い裁量を与えられ、現在進行中のいくつかの改革の中心的な人物であったことは間違いなく、期待度が高い人物でもあります。

誰が大統領になるかで、確実にその後のフランスの方向性が変わってくることは間違いないですが、現時点で本当に有利なのは誰かと断定するのは難しく、右派の選挙の時のようにほとんど注目を浴びていなかったフィロン氏が最後の最後で突然上昇したような、予想外の展開もありえるので、今後の動きから目が離せません。

2つ目に気になることはフランス経済について。10%を超えた失業率や、経済の健全化を図ることが、フランスにとって早期に解決すべき重要課題である点は2017年も変わりません。

例えば、フランスは中小企業の力が弱いことが問題になっています。フランスの大企業が極めて高い国際競争力を持ち、輸出の大半を占めているにもかかわらず、中小企業は輸出量も少なく立ち遅れているのです。また雇用に関しても全体の0.2%しかない大企業が雇用の半分を創出していることを考えても、フランスの大企業と中小企業の間に大きな偏りがあることがわかります。これが国際競争力の高いドイツになると、輸出の半数は中小企業による成果でありドイツの原動力になっているともいえ、この中小企業の質の高さの違いが両国の国際競争力の差を作っている理由の一つとも考えられています。

そこで、フランスは、潜在性が高い中小企業の育成を重視し、現在、着々と複数のプロジェクトが進められています。その一つが、2017年4月にフランスにオープンされる、世界最大のスタートアップ・キャンパス「Station F」。

アメリカの方が資金調達しやすく起業しやすいのに比べ、フランスはほんの最近まで大企業に関係ある一部の財閥関係者でなければ資金を集めることも難しく、スタートアップがとても困難であったという問題がありました。

そのことは、2010年に楽天が買収したPriceMinister社が、起業当時に注目されていたことからもうかがい知ることができます。なぜなら財閥出身でないにもかかわらず資金を集め起業し成功を収めた会社であり、その当時のフランスではとてもまれな事例だったのです。

そこで、スタートアップ・キャンパス「Station F」では、資金を集めやすい体制作りが目標とされており、特に技術系の小規模起業をしやすい環境を作っていこうとしています。

また、すでにある中小企業の支援にも着手しています。古い設備で稼働している会社に新たな設備の導入を支援したり、新技術導入の支援など、「未来の産業」を目指し、すべての企業を成功に導くために政府が強力に関与し、公的投資銀行も資金面で中小企業を全面的にサポートしているところです。中小企業の発展は、国際競争力を高めると共に、雇用の促進も期待されています。

3つ目はテロと観光業について。2016年のフランスにとってはテロが相次ぐ年となり、観光業に著しく打撃を与えています。失業率の上昇も、観光業界の失業率の高さが全体の失業率に大きく影響しているとも言え、安全の確保は、観光大国のフランスにとって重要課題の一つです。それでも2016年は厳重体制で警備することで、440件のテロ関係者を検挙し、何件かの大きなテロを未然に防いできました。そこで、引き続き、非常事態宣言を来年の7月まで伸ばし警戒態勢を維持していくと共に、観光客が戻ってくることも期待されており、各国に向けて、特に日本への働きかけが活発的に行われていくことになるでしょう。

ということで、来年のフランスは大統領選挙の影響で、GDPの伸び幅は低いと予測されているものの、その陰ではいろいろな構造改革が実行され、多岐に渡る努力が行われていることも事実であり、フランスにとって2017年は、これからの成長を促すための足固めの年になるとも言えるのではないでしょうか。

そうした流れも含めて、2017年もフランスからの情報発信を続けていく予定ですので、来年もどうぞよろしくお願いいたします。

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