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#寄付月間 に知っておきたい“自動化された寄付”の仕組み

■意外に知らない自販機のアレコレ

「設置パートナー募集」と「サポーター募集」は高頻度で更新されている(「夢の貯金箱」サイトより)

あなたは1年でどれぐらい飲料を買うために自動販売機(以下、自販機)を使っていますか?

日本全国でみかける自販機ですが、その市場規模は「255万台・年間2兆円」(※1)とされています。市場としては2005年をピークに年々数%程度縮小しているようですが、まだまだ大きなマーケットです。近い市場規模(※2)でいえば、テレビ業界(2.5兆円)、インターネット業界(2兆円)など。企業の売上でいえば、国内売上ランキングトップ60〜70位くらいの超大手が2兆円前後です。

何が言いたいかというと、自販機の市場規模はかなり大きく、日本人のほとんどは見たことも使ったこともあるというレベルである、ということです。さてさてそんな身近な自販機を使った新しい取り組みが最近増えていると言うのです。それが今回紹介させていただく「寄付付き飲料系自動販売機」です。

様々な課題はあるものの寄付付き自販機は、右肩あがりで各社の導入台数が伸びているようです。業界は縮小傾向なのに確実に伸びているサービスには、何かヒミツがあるはず。知りたい!(私、一応、マーケティング系の学会にも属してますのでこのあたりは興味があるのです)というわけで、今回は日本財団「夢の貯金箱」プロジェクトの西川昌樹さんにお話を伺ってきました。

「寄付型の自動販売機」という仕組み自体は何年も前から存在し、インターネットでざっと調べるだけでも様々な事業者・団体のものがあります。飲料メーカー自身が運用している例もあり、結構レッドオーシャンなマーケットですが、その意義や意味はどんなものなのでしょうか。

こうした情報は、CSR(企業の社会的責任)や社会貢献部門の方以外にも、マーケティングや広報などの担当の方にも役に立つと思います。

※1:「2015年末自販機普及台数及び年間自販金額」(日本自動販売機工業会)より、「清涼飲料、牛乳、コーヒー・ココア(カップ式)、酒・ビール」の合計台数と年間販売金額の抜粋
※2:「業界動向サーチ」より引用

累計設置台数5500台の夢の貯金箱

まず簡単に「夢の貯金箱」(以下、夢の貯金箱)というプロジェクトについて紹介します。「夢の貯金箱」は、2005年に立ち上がった寄付集めのプロジェクトでしたが、2009年から今の活動の軸となっている寄付付き自販機のプログラムをスタートさせました。

ドリンク1本購入につき10円が寄付となるプログラムがメインですが、毎月1,000円の定額寄付などの継続支援プログラムもあります。12月19日現在、累計設置台数は約5,500台、寄付金額は約6.4億円、利用者数は年間で延べ2,000万人以上となっています。すごいインパクトですね。

自販機は、東京都では、川崎重工業、関電工、大成建設、ツムラ、日本電機(NEC)などの大手企業から、中小企業、福祉施設などを含めて様々な場所に設置されています。これらのプログラムで集まったお金は、寄付した人たちによる投票などで決定されたNPOや社会貢献プロジェクトに年間を通じて寄付されます。

現在、年間で1,500台程度の新規設置が行われており寄付金額は2億円程度が見込めるとのこと。自動販売機なので撤去されない限り、使われ続けるという寄付集めのツールとしては非常に有効なもののようです。飲料メーカーや設置企業としては「コーズリレーテッドマーケティング」(寄付付き商品の販売)や「共創マーケティング」(複数のステークホルダーによるマーケティング)などによる効果も期待できそうですね。

■お客様の声

素晴らしい仕組みとは思ったものの、売上になるはずだった「1本あたり10円」が寄付となってしまうので、設置者側の負担があるはずで、それでも設置を継続する理由は何かが気になりました。それで設置した理由については以下のような考えがあると教えていただきました。

(建設業) 当店前の「夢の貯金箱」は明るいイメージで人目に付きやすく、多くの方が利用しています。誰もが支え合う社会の中、1本10円の寄付でつながる社会貢献に当店も参加しています。購入することで誰かのしあわせにつながるネットワークは素敵ですね。一本の飲料からみんなの笑顔が見えます。 (飲料メーカー) 「家の前に小学生たちが通るので、子どもたちに優しい気持ちを持ってもらえればいいな」という思いで「夢の貯金箱」を設置して下さったお客様がいます。自販機からそんなドラマが生まれていることに嬉しくなりました。

設置企業と飲料メーカーのコメントですが、社会貢献的に視覚化された一定の成果もあるようで、「負担があるから運営がつらい」という感じでもなさそうです。

CSR的には「コミュニティへの参画」(地域住民とのエンゲージメント)や「ステークホルダー・エンゲージメント」という概念があるのですが、まさに、地域の人たち(自販機利用者)とのコミュニケーションが生まれている好事例とも言えるかもしれません。

■全国夢のチョコレートプロジェクト

実力で日本全国の様々な店舗でも取り扱われるほどに。(商品カタログより)

肝心の集まった寄付の行き先を、本記事では一つだけ紹介させていただきます。このプロジェクトは、障害者の就労支援を行おこない社会的インパクトを拡大する、支援プログラムで最も成果につながっている事例の一つだそうです。

この「全国夢のチョコレートプロジェクト」は、「障害者を一流のショコラティエに!」をスローガンミッションに、障害者の雇用創出、工賃向上、障害の有無にかかわらず生きがいを生み出していくことを目的とした活動です。3年目ですでに障害者雇用数が80名以上と小規模NPOではなく、スタートアップから中堅企業レベルにまで成長させています。

夢の貯金箱で集まった寄付金の一部をプロジェクト運営の初期コストとしてサポートし、そこからはプロジェクト単体でここまで成長させ、経済価値・社会価値双方の側面を創出した支援プログラムです。

寄付があったからこそ、こうしたビジネスが生まれたわけですし、一人一人の1本10円が社会貢献に貢献するビジネスに貢献発展し、間接的に社会課題解決につながるのは良いことだと思います。

本記事ではストーリーの詳細まではお伝えしませんが、興味がある方は以下のページをチェックしてみてください。

チョコレートを通じ食を、人を、社会を豊かに
福祉には、まちづくりの主役になれる力がある
障害者と一緒に、チョコレートで生きていく

■今の自分ができること

冒頭でもお伝えしましたが、飲料の自動販売機は日本に255万台あります。この1%でも「夢の貯金箱」などの寄付付き自販機にできたら……ものすごいインパクトになりますし、可能性はかなり高いと思います。しかも消費者は10円を追加で負担する必要はありませんし、寄付としては非常に実践しやすい仕組みと言えるでしょう。

本記事ではあなたに「商品を買うだけで寄付につながる自販機があり、右肩あがりで市場が拡大してる」ということをお伝えしたかったのですが、今月は「寄付月間2016」でもあります。自販機を見つけたら購入するのでもいいですし、自分の会社の自販機を“寄付付き自販機”に変更してもいいですし、寄付も設置支援も難しいということであれば、ぜひこの記事をシェアしてください。あなたの行動が結果的に寄付推進やプロジェクトの周知になれば、ありがたいです。

マーケティング的にも興味深い、社会貢献事例の紹介でした。ご興味があれば以下のサイトもチェックしてみてください。

・夢の貯金箱 http://yumecho.com
・全国夢のチョコレートプロジェクト http://quon-choco.com/home/
[ PR企画 / 日本財団 ]

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