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税務調査官の「三大決めゼリフ」は脅しか本気か?

文=ジャーナリスト 村上 敬 答えていただいた人=税理士 松嶋 洋 図版作成=大橋昭一

「更正処分します」は原則突っぱねていい

「このままでは300万円の更正処分かな。修正申告すれば100万円で済むけど……」

税務調査で調査官からこのように修正申告をすすめられるケースがあるが、慌てる必要はない。本当に更正処分が可能なのかわからないからだ。

更正処分とは、税務署が納税者に対して強制的に行う課税処分。一方、修正申告は納税者自らが申告を正しくやり直すことをいう。

更正処分に納得できなければ、納税者は裁判などができる。それに対して、修正申告は自分の意思で行う形になるため、修正後に文句を言うことは原則できない。調査官としては、後から覆されるリスクを避けたいので「修正申告したほうが課税額が安くなる」と匂わせて、納税者を修正申告へと誘導するのだ。

ただ、本当に更正処分のほうが多く課税できるなら、税務署は更正処分にしてもかまわないはず。そうしないのはなぜなのか。元国税調査官の税理士、松嶋洋氏は次のように内幕を明かす。

「原則資本金1億円以上の大規模法人は国税局が直接所管するので更正処分を打てます。しかし、そうでない企業は税務署の所管で、原則的に更正処分を打ちません。更正処分には裁判のリスクがつきまとうため、非常に慎重になっているからです。不正や明らかな計算ミスなど、明確にクロな案件であればいいですが、グレーなところで争う場合には簡単に決裁が下りません」

こうした事情があるのに更正処分をチラつかせる調査官がいれば、駆け引きのための脅しの可能性が大。簡単に修正申告に応じれば、調査官の思うツボだ。

「反面調査します」は要注意

割り引いたほうがいいセリフはほかにもある。「調査に協力しないと青色申告を取り消します」も、その1つだ。

税金の計算は1年ごとが基本だが、青色申告すれば赤字を最長9年(個人事業主は3年)まで繰り越すことが可能。利益が出た年の黒字と相殺できて、節税効果は大きい。これを取り消されると痛手だが、「青色申告取り消しの要件は厳格に決まっています。納税者が協力を一度拒んだだけで取り消すのは無理。さらに何回も説得を重ねたうえでないと、違法とされます。頑強に協力しないような場合を除き、ほぼ脅しと考えていい」。


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税務調査官の代表的な「決めゼリフ」

一方、注意すべきは「反面調査します」。これは、対象者の申告に間違いがないか、取引先に確認する調査のこと。取引先に迷惑がかかるため、できれば避けたいところだ。

「現在は証拠集めにうるさいので、反面調査を非常に多く行っています。反面調査は取引先に行かないとわからないような場合に限って行うとされていますので、本当に必要か、調査官と交渉する必要があります」

これらのセリフは脅しとしてよく使われるが、悪質だったり額が大きければ、実行される。本気度を見極めたうえで対応を決めよう。

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