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大統領選翌日のオバマ大統領最後のインタヴュー:トランプの勝利、これからの自分

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大統領選から一夜明けて:オバマ大統領の遺したもの、トランプの勝利、これからの自分(Pete Souza/The White House)

大統領選の翌日に行われたローリングストーン誌創刊者兼編集長のヤン・S・ウェナーによるインタヴューで、米国最高司令官であるバラク・オバマは、予想外の結果となった選挙を振り返り、大統領退任後の展望を語った。

ホワイトハウスでのオバマ大統領との最後のインタヴューは、大統領選の翌日にスケジュールされていた。これまでの8年間で成し遂げた重要な成果やヒラリー次期大統領へ贈る言葉などを、ローリングストーン誌の読者向けに語ってもらう予定だった。本誌との4回目のインタヴューは、10回目となる表紙を飾るオバマ大統領の花道を飾るインタヴューとなるはずだった。信じられない結果が出た朝、ワシントンDCへ飛ぶ前にホワイトハウスへ電話した。オバマ大統領の政治生活の中でも最悪な日になるはずで、全く予期できず、怒りのぶつけようもない受け入れがたい現実に向き合わねばならない日だった。 所が大統領のオフィスからは、「大統領は予定通りインタヴューを受ける意向だ」との返答を受けた。どんよりした空模様の日で、私が到着した時にホワイトハウスは閑散としていた。長く憂鬱な一夜が明けた後のホワイトハウスには、わずかなスタッフが残るのみだった。まるで葬儀に参列しているような気分だった。

前回のインタヴューは2012年で、のんびりとした午後のことだった。1時間半の約束を大幅に超えた大統領執務室でのインタヴューを終えるとすぐ、ヒラリー・クリントン国務長官の元へと急いだ。彼女は大統領補佐官のデスクの横に座り、私を待っていた。今回はホワイトハウスに彼女の姿はなかった。


Ruven Afanador/CPi Syndication

ローリングストーン誌はオバマ大統領と長い間良い関係を保ってきた。最初のインタヴューは、2008年の大統領選が始まった頃に行われた。その時オバマ大統領は私のオフィスを訪れ、ディナーを共にした。それ以降、本誌は彼が上り調子の時も下り調子の時もいつでも支援し続けてきた。そのためオバマ大統領は、ローリングストーン誌の読者もオバマ支援者だと思ってくれていた。1年前、我々は大統領のアラスカ行きに同行し、氷河の素晴らしい景色を一緒に堪能した。高いプライドを持ち、オバマが歴史の波を乗り越えていく姿を我々は見守ってきた。

インタヴューでは、時間の許す限りあらゆることを伺おうと考えていた:何百万人という国民の家や貯蓄、仕事をも奪ったウォール街の数々の詐欺事件について、なぜ誰も責任を問われないのか?アメリカをイラク戦争という誤った方向へ導いた人々がなぜ罪を逃れているのか?ドナルド・トランプが台頭した場合、誰かが責任を取るのか?何百万エーカーという国土の保護を達成した充実感はあるか?気候変動対策を最終的に政策の主要課題のひとつとして掲げるためにとった施策は? 

「悲しいかな」

オバマ大統領はオフィスの前で私を出迎え、室内へ招き入れてくれた。大統領は疲れている様子だった。インタヴュー前のいつもの雑談もなく、彼はジャケットを脱いだ。いつもの椅子に腰掛け、「さあ、始めよう」と、彼はおだやかに、慎重にゆっくりと話し始めた。ひとつひとつを客観的に分析しながら冷静な口調だった。現職の大統領として口にできない事柄も多かったはずだが、言葉を選びながら、厳しい歴史的な一日について振り返った。

ーまず、昨夜の大統領選の結果とドナルド・トランプについての所感からお伺いしなければなりません。目の前で起きていることは現実のものとして受け止められたでしょうか?それとも我々のように大きなショックを受けていたでしょうか?今のお気持ちをお聞かせください。

そうだね、私もがっかりしたよ。ヒラリー・クリントンはほんとうに素晴らしい大統領になると思っていたから。選挙戦中にも述べた通り、我々が一緒にやってきた仕事はまだ一部しか完結していない。より高い成果を上げるためには継続が必要だ。

ー今回の大統領選の結果は予想されていましたか? 

2008年のニューハンプシャー州を振り返ってみよう。その直前に私はアイオワで勝利し、あわただしくニューハンプシャーへ乗り込んだ。集会には多くの支援者が集まり、事前の予想では私の方が10ポイント上回っていた。そして7時半頃、私は勝利のスピーチのために身支度を始めた。その時、デイヴィッド・プラウ、デイヴィッド・アレックスロッド、ロバート・ギブスが気まずい表情を浮かべながら入ってきて言った。「バラク、とてもおかしなニュースを伝えなければならない。どうやら我々はここでは勝たないようだ」。

これが民主主義だ。これが選挙というものだ。投票に意味がないというのではない。しかし人間の心は移り気である、ということだ。だから、ドナルド・トランプの勝利の可能性は常に20%ぐらいはあると思っていた。そんなに大きな数字ではないと思えるが、5分の1の可能性からの勝利は珍しいことではない。奇跡でもなんでもない。

ーそれでも悔しくて憤りを感じ、うろたえませんでしたか? 

いいや、そんなことはない。我を忘れるようなことはない。なぜならまず、私はこの8年の成果を誇張したりしない。そんなことをしなくとも、私が次期アメリカ合衆国大統領へ政権を引き継ぐ時、私は「今のアメリカはより良い状態になっている」と堂々と言えるからだ。経済はより強くなり、政府もよく機能している。そして世界の中のアメリカの存在感も増した。我々の成し遂げたことに誇りを持っている。国民はとても満足してくれたと思う。

率直に言うと、選挙の影響はあると思う。次期最高裁判事は、私の政策方針とは異なる考えを持つ人が就任するだろう。国内外で我々が推進してきた気候変動に関する努力も危うくなるだろう。2000万の国民に医療保険を適用した医療保険制度改革は方向転換され、その犠牲となる人々も出てくるだろう。とはいえ共和党も、数千万もの国民から医療保険を取り上げるような政策は賢い選択ではないと結論づけようとしているようだ。しかし私はうろたえてはいないが、私の政権や選挙戦で活躍してくれた有能な若者たちのことを思うと、とても残念に感じる。今回の大統領選に投票した若い世代の有権者のみのデータを集計比較すると、ヒラリーは500名の選挙人を獲得できた計算になる。オープンに政治参加し、公正さを求め、環境問題にも取り組む若い世代を育てることができた、と自負している。そんな若者世代がこれからだんだんと増え続け、アメリカは徐々により良い国となっていくだろう。


大統領選の翌日、大統領執務室を訪れてインタヴューするローリングストーン誌創刊者兼編集長のヤン・S・ウェナー。オバマ大統領は、「大統領というのは個別の案件を処理しながらも、過去から引き継いだ大切なものを未来へ伝えていくという役割を、何を置いても優先しなければならない」とトランプへ向けたメッセージを語った。(Pete Souza/The White House)

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