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OPECの盟主サウジが見据える米国エネルギー政策 - 畑中美樹

 石油輸出国機構(OPEC)は11月30日、第171回総会で17年1月からの全体生産量を現在より1日当たり120万バレル引き下げ、3250万バレルとすることで合意した。

 OPECはこれにより依然過剰な世界の石油在庫が徐々に解消され、油価が40~50ドルの水準から50~60ドルへと反転上昇することを期待している。今回の合意のポイントは、過去2年にわたり米シェールオイル潰しを企図し、価格を犠牲にしても市場シェアを重視してきたサウジアラビアが、油価の引き上げを目指す戦略へ転換を図ったことだ。

 サウジの方針変更については、巨額の財政赤字の重みに耐えかねたためであるとか、あるいは18年の国営石油企業アラムコの新規株式上場(IPO)を控え保有石油埋蔵量の評価額を引き上げるためとの説明がなされている。

 そのサウジが大きな関心を持っているのが、トランプ米次期大統領の中東・エネルギー政策だ。トランプ氏の大統領選挙期間中の中東に関する主な発言を整理すれば「イスラエルは真の友人」「イラン核合意の破棄は第一優先課題」「サウジは日独韓と同様、安保タダ乗り」である。さらに「米国にやって来るイスラム教徒にイデオロギー・チェックを課すべき」との過激な発言も行っている。読み取れるのは、イスラエルに甘くイスラム教徒に厳しい姿勢だ。

 だがトランプ氏が米国第一主義でビジネス・マインドが強いことを知るサウジは、安保タダ乗り論には戦闘機や戦車などの巨額購入を継続することで応えるだろう。それにより軍事産業を下支えし、米経済の浮揚や雇用を確保している点をアピールする一方、イランが地域を不安定化していると喧伝し、新たな封じ込め策へ誘導すると思われる。

 トランプ氏のエネルギー政策では、石油、天然ガス、石炭などの化石燃料の重視策を打ち出すと共に、「エネルギー自立」を謳っている。大統領就任後には、インフラ整備や雇用創出に資すると見るシェールオイルの増産に向け、各種規制の撤廃、産油業者への融資面での優遇措置などを講じるだろう。

 それはサウジを初めとする外国石油依存の一層の低下を意味する。サウジが今回シェア重視戦略を放棄したのは、トランプ政権下では各種支援を受けた米シェールオイルとの競争を強いられ勝ち目はないと判断した面もありそうだ。米シェールオイルの供給が増え再度供給過剰となる前に、現時点の過剰在庫を解消しておかねば油価の一層の下落は不可避と考えたわけだ。

 OPECの盟主サウジの苦悩が解消する日は来るのか。

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