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監査等委員会による適法性意見表明と多数決原理

ここ数カ月ほど注目しておりますジャスダック上場の某会社さんの件(監査等委員会設置会社です)。元社長の会計不正疑惑を発端として大株主と現経営陣との対立が激化しておりまして、来年2月に臨時株主総会(双方が取締役選任議案を出し合う予定)が開催されるそうです。議決権行使の基準日も1月11日と定められました。

そして12月21日、現経営陣はぎりぎり24,99%の希薄化が生じる(資本業務提携契約に基づく)第三者割当増資(株式と新株式予約権発行)をリリース。翌22日には同社の監査等委員会が第三者割当増資の発行価格の算定根拠に合理性があり、とくに有利な発行には該当しない旨の意見を表明しています。

取締役監査等委員の意見では足りず、監査等委員会としての意見が必要とのことで、同社は前日のリリースを訂正したわけですが、監査等委員会は監査役とは違って「組織的監査」が原則です。したがって、今回も適法性に関する意見表明を監査等委員としでではなく、監査等委員会として行った(そのように取引所から指導された?)ものと思われます。

しかし、監査等委員会設置会社の監査は組織的監査が原則といっても、違法行為差止請求権は個々の監査等委員に付与されており、また違法行為を見つけたときの報告義務(取締役会に対する)、株主総会への違法性に関する監査報告も個々の監査等委員に付与されています。今回は会社法上の適法性についての意見ですが、そもそも適法・違法の判断というのは多数決原理になじむものなのでしょうか?かりに監査等委員会としての意見を表明するとしても、それが全員一致なのか、それとも意見が分かれたのかは株主も知りたいところではないかと。私的な意見は控えますが、おそらくこの状況における第三者割当増資だと「不公正発行」が当然問題となるわけですから、基準日以降に株式を取得した株主が会社法124条4項によって議決権を行使できるのかどうか、といった問題についても、株主は監査等委員会(または監査等委員)の意見をお聴きしたいところではないでしょうか。

同社の支配権争いの状況をみるにつけ、監査等委員会設置会社の監査等委員は有事にはたいへん厳しい状況に置かれるものと推察いたします。上で述べたような適法性意見のほかにも、会社側、株主側から別々に取締役選任議案が上程されるわけですから、どの候補者が当社取締役にがふさわしいか、といったことは公正な立場で主体的に監査等委員会が意見を形成する必要があります。まちがっても現経営陣と大株主との和解的協議によって(監査等委員会は蚊帳の外で)決まりました、ということにならないよう配慮する必要がありそうです。

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