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【中国主導か日本主導か】

今週の月曜日=12月19日、ADB=アジア開発銀行が50周年を迎えました。中国が提唱したAIIB=アジアインフラ投資銀行がとかく注目されがちですが、ADBもよくやっていると The Economistは評価しています。

しかし、トップが日本人である必要はない、とチクリ。日本の財務省出身の中尾武彦総裁が最後の日本人総裁になるのでしょうか?ちなみに前任は日銀の黒田東彦総裁でした。 

The incumbent-The Asian Development Bank tries to evolve, Fifty years old and under pressure from China(古参の現職~アジア開発銀行、50年を経て中国からのプレッシャーで進化を試みる)はざっくりこんな内容です(全文の翻訳ではありません)。

2015年の発足以来、AIIB=アジアインフラ投資銀行の方がADB=アジア開発銀行よりも注目を浴びてきた。しかし、 ADBの方が遙かに大きいし、最貧国を含むアジアのあらゆる地域をカバーし、投資対象もインフラに限らず、教育から腐敗撲滅まで幅広く網羅している。 

さらに、実績も素晴らしいADBは 12 月19日に50 周年を迎えた。西はジョージア(旧グルジア)から東はクック諸島まで政策助言をする。アジアの奇跡的な経済成長にもわずかではあるものの貢献した。

これまでに融資した 2500億ドルが返済不能となったこともない。ADB の中尾武彦総裁は「我々は非常に慎重に行動してきた」と謙虚に語る。

しかしながら、ADBを取り巻く環境は、ここ数年気まずかった。 2013年に中国がアジアのインフラ投資に特化した開発銀行の設立を提案した際、ADB を権力の座から引きずり下ろすように見えた

中国経済は規模では日本経済をひょいと飛び越えていったことから、中国提唱の開発銀行が1960年代に日本が設立し、歴代日本人が率いてきた ADBを追い抜くのも時間の問題と見られていた。この見方が強まったのは、アメリカの反対にもかかわらずADB がアジアやヨーロッパにあるアメリカの同盟国が加盟したためだ(現在の加盟は57か国)。

AIIBをめぐる大騒ぎにもかかわらず、「中国が保有する世界銀行」と言われるAIIB は巣立ち前の状態に過ぎない。ADBの常勤スタッフは3100 人にのぼるのに対して、AIIBはわずか80 人前後だ。ADBは28 か国に拠点を持っているのに対して、AIIBは北京にしかない。何よりも、 ADB が年間160億ドルを貸し出しているのに対して、AIIB は来年20億ドルの貸し出しを目標としている。

実際、AIIB の当初の融資はADBとの協調融資であり、パキスタンやバングラデシュでは ADB におんぶにだっこである。

とは言え、ADBもこのままではダメだというのは分かっている。中尾総裁は「より強くより速い戦略」を推し進めている。文句のつけどころのない実績を踏まえて、拡張を図っている。 2014年の130億ドルの年間融資額を 50%以上増やして2020年には 200億ドルまで拡大することが目標だ。

第2 に、貸し出しの範囲を拡大することだ。現在、融資の約 70%がインフラ投資向けだ。教育、ヘルスケア、それに環境向けの融資を増やそうとしている。

第3 に、当事国の拠点にプロジェクトをマネージする権限を委譲し、運営をスピードアップしたいという。

しかしながら、速度制限はある(Still, there are speed limits。中尾総裁曰く、 ADBとしてはアドバイスには慎重だ。「各国にあぁしろ、こうしろ、と言うことはしたくない」と語る。また貸し出しオペレーションに対する監視は弱めるつもりはないと言う。

ADB は、承認が遅れる可能性があるものの、フィリピンの首都マニラにある本部の常設理事会を重視している。 AIIBにはこうした組織はなく、よりスピーディな判断がより安価にできる。

ADBが監視の目を弱めない点は評価するべきだが、組織的な硬直性は評価できない。世界銀行はアメリカ人が、IMF =国際通貨基金はヨーロッパ出身者が率いるというルールがないとの同じように、ADBの総裁が日本人でなければならない理由は何もない

なのに、歴代の ADB 総裁は日本人で、多くの場合財務省出身者であった。中尾総裁は最近、5年の任期の 2 期目が投票で承認されたばかりだ。

しかし、次の総裁が誕生する2021年に向けて、日本以外のアジアの国から総裁を選ぶための作業を始めるのに早 すぎることはない

そうすれば ADBが中国の新興勢力に立ち向かおうとしている日本主導の古参の現職ではなく、真のアジアの開発銀行であることを証明できる(That would go a long way to proving that the ADB truly is Asia’s development bank, and not just a Japanese-led incumbent facing a Chinese upstart )。

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