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ドル高にさせるもう一つの要因

いくらトランプ政権下のアメリカ経済に期待がかかるとしても7年半も景気拡大が続き、まだ就任演説すら聞こえてこない中、はしゃぎ過ぎではないか、という声があるのは事実です。それでもドル高は続き、投資家はドルを「金利のつく安全通貨」と考えています。このドルの圧倒的支配感は個人的に長らく感じ得なかった状況ですが、何がそうさせたのでしょうか。いろいろ理由は思い立つのですが、今日は欧州の弱体化、特にイタリアの金融問題が引き起こすであろう頭痛の面からみていきたいと思います。

イタリアの銀行が抱える不良債権は3600億ユーロ(約44兆円)とされ、全ユーロ圏の4割を占めます。よってイタリアの銀行再建はユーロ圏の金融不安を取り除くためのキーであり、これが予定通り改善しないことにはユーロの威信には大きな疑問符が残ります。つまり、ドルに資金が集まりやすくなり、ドル高を演出しやすいということになります。(ユーロ圏の不安のネタはこれだけではありませんが今日はこれに絞り込みます。)

さて、そのイタリアの銀行の中で今、火中にあるのがモンテ デイ パスキ ディ シエナ銀行(一般にモンテ パスキ)であります。この銀行、実は1472年に営業を始めた世界最古の現存する銀行でありますが、その余命はあと4か月ともされ、早急なる延命策が必要であります。株価は今年85%近く下落し、昨日だけでも15%以上下落、時価総額はわずか5億ユーロ(約600億円)と風が吹けば飛ぶような状態であります。それでも同行はイタリア第3位行。潰すわけにはいかないのです。

同行の再建プランはイタリア政府のみならずECBからも指導を受けながら計画され、自力再建のハードルが12月22日までの50億ユーロの資金調達でありました。本来ならばこの資金調達はうまく行くはずでした。が、シナリオが狂ったのは先日の憲法改正に伴う国民投票がNOとなり、レンツィ首相が辞任したことで今回のアンカー投資家(=主要投資者)であるカタール政府系ファンドが「やーめた」と言ってしまったのです。彼らの気持ちを覆すのは極めて難しいとされ、同行はバックアッププランを模索しているようですが時間切れかも知れません。

ではイタリア政府は資金を投じて救済しないのか、といえば新しい首相、ジェンティローニ氏は所信表明で「介入の準備はできている」とし、直近ではモンテパスキを含むイタリアの金融支援のため、200億ユーロ(2兆4000億円)の公的資金投入を表明しています。但し、これを議会で通過させるにはまた一波乱あるともされます。

ではモンテパスキを救えなかったったらどうなるか、ですが、イタリアには不良債権を抱えた銀行はいくらでもあるわけでそれらの再建案に暗雲が漂い一気に金融不安が台頭しやすい状況となります。

このように欧州の金融システムはまだまだ不安感が漂っており、これが年明けの懸案材料となります。個人的には最終的には混乱は避けられると期待しておりますが、そのプロセスにおいて悲観論が覆い嫌なムードが起きるかもしれません。

ちなみにやはり不安材料化したドイツ銀行については経営危機から脱しつつあり、確か一部格付けも見通しがポジティブとなったと記憶しています。アメリカ政府との巨額の制裁金も数日中に決着するとされます。実は私はドイツ銀行の株を安値の時に少々仕込んであります。株価は最安値からは7割ほど上昇し、回復期に入っています。

私が懸念するのは市場を吹き荒れる1月の嵐であります。市場が一番警戒するのは秋と共に年明けなのですが、欧州、特にイタリアの不良債権問題をはじめ、中国の外貨流出や国債の不正取引に絡む不安感台頭などいやな材料が集まり始めています。

このような背景があるとどうしてもドルに資金が行きやすくなります。ユーロ/ドルも2002年以来のユーロ安となっており、来年早々にも為替レート1.000の攻防となるかもしれません。ではその場合の円はどうなるのか、ですが、セーフヘイブンの円の強みが現れれば円も過剰に売られないはずですが、ドルに引っ張られる展開となるのでしょうか?

正直、目先が読みづらく、地球儀ベースでの俯瞰が必要です。ここは無理をせず、一旦眺めている方がよさそうな気も致します。

では今日はこのぐらいで。

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