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中国の経済数字を垂れ流しする日本メディア - 澁谷 司

よく知られているように、中国が公表する経済の数字は信憑性に欠ける。特に、中国のGDPに関しては、世界中から疑義が持たれている。

 ところが、我が国の一部メディアは、それを一切検証することなく、数字を垂れ流しする。これでは、中国共産党のメディア、人民日報・新華社・CCTV(中央電視台)と何ら変わらない。

 日本の一部メディアは、いつから中国共産党の下部組織へと堕してしまったのだろうか。中国共産党という権力機構をチェックするのがマスメディアの本来の役割ではないのか。

 とりあえず、中国のGDPを一瞥してみたい。

 中国国家統計局の発表では、同国のGDPは2013年(習近平政権が正式発足)の4四半期、7.9→7.6→7.9→7.7%と推移した。

 14年(同)7.4→7.5→7.1→7.2%、翌15年(同)は7.0→7.0→6.9→6.8%で推移している。そして、16年は、6.7→6.7→6.7%と3四半期連続で同じ数字が続いた。

 全体的に数値が下降しているので、これら“人工的”な数字を見ても中国経済の減速は明らかである。

 ただ、今年(2016年)の6.7%が3四半期続いている点に違和感を覚えない人はいないだろう。少しイマジネーションを働かせれば、この数字が実態とは異なる「政治的数値」だと想像がつくはずである。

 仮に世界第2の経済大国である中国のGDPが、6%も7%も伸びていたら、“高度経済成長”と言っても過言ではない。米国と共に世界経済を牽引する機関車となるに違いない。

 実際に、我が国の2倍以上もある経済体が“高度経済成長”していれば、日本を含めた周辺諸国のみならず、世界がその恩恵を享受できるはずである。

 だが、おそらく中国経済の実態は正反対である。良くてプラスマイナスゼロ、悪ければマイナス成長だと考えられよう。

 例えば、馬英九政権下「中国一辺倒」だった台湾(対中輸出額世界第2位)は一時、マイナス成長を記録した(民進党が政権を奪取してから、台湾経済に明るい兆しが出てきている)。

 中国との貿易額の多いオーストラリア(同1位)や韓国(同3位)も成長率が0~1%と低迷している。それは、ひとえに中国経済が悪化しているからに他ならない。

 中国経済が好調ならば、オーストラリア・台湾・韓国の経済は、もう少し高い成長を遂げているはずである。だが、実際これらの国々の経済は停滞している。

 さて、習近平政権は、依然として経済政策が定まらず、それが経済低迷の原因にもなっている(習主席は李克強首相に経済を任せられず、自らが経済政策の指揮を執る)。

 今年12月14日から16日にかけて、「中央経済工作会議」が開催された。

 そこでは(1)財政政策で景気を刺激する、(2)サプライサイド改革を深化させる、などが話し合われたという。

 北京は、財政出動をして景気浮揚を狙っているようだが、果たして、中央政府の財政赤字をこれ以上増やせるのだろうか(今まで「新常態」という言葉で、その実態を糊塗してきたのである)。

 また、一方では、習近平主席の推進するサプライサイド改革(構造改革)が、本当に実行できるのだろうか。

 実際、多くの国有企業が既に「ゾンビ企業」化している。本来ならば、習政権は、どんどん「ゾンビ企業」を整理(倒産或いは民営化)しなければならない。

 けれども、「ゾンビ企業」を潰せば、たちまち大量の失業者が溢れ、社会不安が高まる。彼ら失業者には、次の仕事を与える必要があるだろう。

 そのためには、中国政府は新しい産業を起こし、発展させなければならない。だが、新産業を生み出すことは困難である。

 ところで、今世紀に入り、一時、BRICs諸国がもてはやされた時期があった。だが、それは「今は昔」の話である。

 現在、ロシアは、ウクライナ問題で西側からの経済制裁を受け、四苦八苦している(プーチン大統領は、「北方領土問題」解決をちらつかせて、我が国から経済協力を得ようとしている節がある)。

 ブラジルは、この夏のリオ・オリンピック前から、その経済成長に陰りが見えた。今後は、おそらくインド経済だけしか期待できないかもしれない。

澁谷 司(しぶや つかさ)

1953年、東京生れ。東京外国語大学中国語学科卒。同大学院「地域研究」研究科修了。関東学院大学、亜細亜大学、青山学院大学、東京外国語大学等で非常勤講師を歴任。2004~05年、台湾の明道管理学院(現、明道大学)で教鞭をとる。2011~2014年、拓殖大学海外事情研究所附属華僑研究センター長。現在、同大学海外事情研究所教授。 専門は、現代中国政治、中台関係論、東アジア国際関係論。主な著書に『戦略を持たない日本』『中国高官が祖国を捨てる日』『人が死滅する中国汚染大陸 超複合汚染の恐怖』(経済界)等多数。

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