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なぜ、巻き網やトロールは、魚が減っても漁獲が維持できるのか。そのメカニズムを解説

巻き網やトロールでは、資源が減っても魚をとり続けることが出来ます。一方、釣りや定置などは、資源が減ると漁獲量が減少し、毎年の漁獲量の変化が大きくなります。それはどういう理由なのかを説明します。

サバやタラなど、多くの魚は群れをつくって回遊します。群れの大きさや密度は資源状態にかかわらず一定ということが知られています。魚が半分になると群れの密度が半分になるのではなく、群れの数が半分になるのです。下の図で言うと右側ですね。

弱い魚が群れるのは、捕食者に襲われたときに、群れの一部が補食されているうちに、残りが逃げられるようにするためと考えられています。捕食者だって、一度に食べられる量には限界があるので、逃げられる確率が増します。産卵群の場合は、有効な精子と卵子の密度を維持するためにはそれなりの個体数が必要です。つまり、生物にとって最適な群れの大きさがあり、その群れの大きさが維持される傾向があります。これは長い年月、進化の過程で培ってきた自然の知恵です。この生物の知恵が、ここ100年で急速に発達した人間の漁獲に対しては、裏目にでています。

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巻き網やトロールは高性能の魚探やソナーで遠くの群れを発見して、群れごと一網打尽に出来ます。最近は、衛星写真や無人ヘリなどのテクノロジーも投入されいます。資源が減少しても、群れを探す時間が多少増えるだけで、漁獲の効率はそれほど落ちません。一方で、群れを見つける能力が低い漁法や漁場が限られている沿岸漁業は、資源量の低下が漁獲量の低下に直結します。また、狭いエリアに群れが来てくれるかどうかで、その年の漁獲量が大きな影響を受けることになります。沿岸漁業でも、狭い海域で一時的に水揚げが急増して、「近年にない豊漁」と大々的に報道されたりするのですが、広範囲で継続的に水揚げが増えていない場合は、資源の増加を意味しないと考えた方が良いでしょう。

日本の巻き網船団は、日本海の産卵場に卵を産みに来たクロマグロの群れを一網打尽にしています。こういう漁法なら、資源量が低下しても、漁獲が維持できるので、低水準資源に甚大な影響を与える危険性があります。大西洋のタラ資源は、産卵群をトロールで漁獲していたのですが、資源が崩壊する直前までトロールの漁獲効率はほぼ一定でした。今のテクノロジーだと、漁法によっては、本当に獲り尽くすまで、魚が効率的に捕れてしまうのです。

これまでクロマグロを生業としてきた沿岸漁業は、水揚げが落ち込み、年による変動も大きくなっています。巻き網団体の「産卵場の巻き網は水揚げがあるから、資源には問題が無い」という主張には無理があります。実態は、「巻き網ですら産卵場でしか獲れなくなっている」という危機的な状態なのです。また、大型巻き網の漁獲は温存しながら、沿岸漁業ばかり熱心に規制をする水産庁の方針は本当に国益に適うのか。大いに疑問を持ちます。数ばかり多くて漁獲量が少ない釣り漁業より先に、大型巻き網漁業の産卵場での漁獲を規制すべきです。

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