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TPPの影響試算(加工用トマトを例に)

 少し前の質疑となりますが、TPPの影響資産について、予算委員会で山本農林水産大臣とやり取りをしております。「?」となる部分が多いので、ご紹介しておきます。映像はこれの私の部分の22:20くらいからです。

 何度か私が国会で取り上げているのは、2013年の交渉入り前試算交渉妥結後試算の違いです。見比べていただくとよく分かりますが、全然違います。勿論、2013年試算は即時関税撤廃、国内対策を打たないケースでの生産減少と損害額を出しており、妥結後試算は交渉結果を踏まえ、かつ対策を講じた場合の生産減少と損額額を出しています。

 そして、交渉結果の中には関税撤廃になっていないものがあります。一方で、落花生、加工用トマト、りんご、生果用パインアップル、鶏卵、鶏肉、林産物、水産物の大半は撤廃のための期間はそれぞれあるものの関税撤廃です。それらについては、撤廃期間、国内対策という2つの条件を置きつつも、撤廃という点については変わらないわけですから、比較可能だと思うのです。

 その中で最も強烈な印象を与えるのが「加工用トマト」です。交渉結果を記したシートを見てみると、6年目又は11年目に関税撤廃です。そして、2013年試算と妥結後試算の表記をそれぞれ並べてみます。

【2013年試算】生産量減少 100%生産額減少 約270億円評価 ケチャップ等のトマト加工品は品質格差がなく、すべて置き換わる。 【妥結後試算】生産量減少 0%生産額減少 約1億円評価 国産ストレートトマトジュースの消費が近年増加傾向に転じており、国産トマト加工メーカーが契約栽培を増加させたことで国産ケチャップ・ソースの生産の継続が見込まれることに加え、体質強化対策を適切に実施することにより、引き続き生産や農家所得が確保され、国内生産量が維持されると見込む。

 

 2013年試算では「壊滅的打撃」を受けるとなっています。その一方で、妥結後試算では「生産量は全く減りません。」となっています。上記のように関税を撤廃するもので、2013年試算と妥結後試算で評価が変わっているものはたくさんありますが、これだけ劇的に評価が代わっているのは加工用トマトです。

 それについて、私は農林水産大臣に質問をしました。答弁は以下のようなものです。

【平成28年10月4日衆議院予算委員会における山本農林水産大臣答弁】

 前回の二十五年三月の試算では、ケチャップ等のトマト加工品は、全て輸入品と置きかわる等により、生産額が二百七十億円減少すると試算しております。

 一方、今回、TPP交渉の結果、加工用トマトにつきましては、六年目から十一年目までという関税撤廃までの期間を確保したところでございます。

 今回の試算は、この交渉結果に加えて、消費者の健康志向や安心、安全志向の高まりから、国産ストレートトマトジュースの消費が増加傾向に転じたこと、これに加えて、国産トマト加工メーカー、同じメーカーがケチャップとストレートジュースを製造している形態が大宗でございますが、契約栽培を増加させたことで加工用トマトの取引量もふえたことによりまして、固形部分を原料とした国産ケチャップの生産が継続されることが見込まれること、また、国産トマト加工メーカーは契約栽培を今後とも増加させる意向でございまして、国内生産が継続されると見込まれるとともに、昨年には、国産トマト加工メーカーが農業機械メーカーと組んで加工用トマト収穫機を新たに開発し、販売されている状況にあることなど、ここ数年のトマト加工品をめぐる状況の変化を踏まえて行ったものでございます。

【引用終】

 トマト生産者、そして加工メーカーのご努力はよく分かります。それで生産量減少、生産額減少が抑え込まれる事を望みます。しかし、この答弁はヒドい。特に太字部分は委員会室内に爆笑を引き起こしました。さすがに与党議員も苦笑していました。これを聞いて、100%壊滅が100%大丈夫になると思える方は居ないでしょう。理事が委員長に掛け合ったら、浜田予算委員長が「この答弁しかないんだよ」と呆れ気味に言っていたのが示唆的です。

 妥結後試算のすべてが間違っているとまでは言いませんが、かといって、あまりに2013年試算との差が大き過ぎて、農家の方の不信感を招くと思いました。その後、安倍総理は「その説明が納得できるかできないかという、いわばそれは見解の相違ということもあるわけであります」と答弁していましたが、この乖離は見解の相違を遥かに超えていると思います。

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