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オスプレイ落ちた。米軍ほにゃらら

12月13日。沖縄の米軍基地に配備されていたオスプレイが、沖縄県名護市安部地区の海岸に墜落した。

沖縄の人たちや住宅にも被害はなく、乗員5名にも命に別状はなかったことは不幸中の幸いである。

さて、今のところ、分かっている情報によると、事故の原因は空中給油訓練の失敗であるという。空中給油につかうホースを、ローター(厳密には違うが、分かりやすい言葉で言うとプロペラ)が巻き込んでしまい、ローターが破損、墜落したという。これは僕の憶測であるが、ローターの破損により、グライダーのように滑空することしかできなくなったのではないかと見ている。

機体がコントロールされていたというのは本当だろう。ただし、乗員の脱出のタイミングによっては「確実に海上に墜落した」のか「運良く海上に墜落したのか」は変わってくる。

まぁ、どちらにしても墜落したことに変わりはないわけで、反基地派が主張してきたオスプレイ配備の危険性が、改めて浮き彫りとなったといえよう。

この墜落を受けて我らがインターネットでは、元からオスプレイに反対していたサヨクに対して、いかに勢いを与えないかのための、必死の火消し工作が行われていた。

まずはこのニュースがあった直後に「オスプレイが落ちてサヨクはよろこんでいるんだろう」という、牽制に始まり、「機体がバラバラになっているのはクラッシャブル構造で乗員を守るためにバラバラになったんだ」と言ってみたり、「反基地の連中がオスプレイ落ちろと念じたから落ちたんだ!」などと、念動力で米軍機が落ちると言ってみたり、沖縄の副知事が「ニコルソン四軍調整官が「県民、あるいは住宅や人間に被害を与えなかった。感謝されるべきだ。表彰ものだ」と発言した」と言ったと明かしたことを朝日新聞などが報じると「英文では「神に対して」という主語がある。朝日新聞が意図的に誤訳している」などと、さも英文ソースを見たかのような嘘(*1)をついたりと、やりたい放題である。

あと、「不時着か墜落かなんて、そんな細かいことにこだわるのは、米軍との関係を悪化させたいサヨクの仕業」と主張している人たちもいるが、細かいことにこだわる必要がないという点は同意するので、この記事では「墜落」で統一することにした。

挙句の果てに「オスプレイ報道にみる偏向報道」とやっている記事を見かけたので「そうだよなぁ。墜落を不時着だとか言っているメディアは偏向しているよな」とおもって読んでみたら、「オスプレイが落ちて怖いと言っている沖縄県民なんて一部しかいない」などと主張しているジャーナリストがおり、大いにズッコケさせてもらった。(*2)

いやいや、近所で事故や火事が起きても「怖いわねー」くらいのことをいう人は当たり前にいるし、事故などに接した人間の感情としては当たり前だろう、オスプレイが落ちたときだけ「海に落ちたから大丈夫です。全く怖くありません」などと思うはずもない。なにより、墜落地点は集落から1キロも離れていない。運悪く集落に落ちていればどうなったかと考える人がいないわけがないではないか。偏向しているのはどっちなのだと思う。

あと記事中に「オスプレイの事故率は低いと産経新聞の記事にかかれていたが、記述はなぜか削除された」とあるが、これは民間と比較した記述があったが、それが同等のデータでの比較ではなかったことが原因と見られており(*3)、決して誰かがオスプレイの真実を隠そうとしているなどという話ではない。こういう持論に都合の悪いデータを隠し、さもその裏に何か陰謀があるかのように見せかけるのも、ジャーナリストのテクニックなのだろう。世間ではそれを偏向と呼ぶのだが……

ハインリッヒの法則と呼ばれるものがある。

これは危険予知を行う際の基本とも言える法則で、1つの重大事故の背後には、29の軽微な事故があり、更にその背景には300の事故に至らない危険が存在したというものである。

これは決して観念論ではなく、統計的に調べた結果、重大な事故1に対して、軽微な事故が29。そして「ヒヤリ・ハット」という事故に至らなかった問題が300存在したという話である。

このことから、ヒヤリ・ハットの段階で事故が発生したことを共有し、対策を立てていくことによって、1の重大事故や29の軽微な事故を起こさないという危険予知の基本として使われている法則である。つまり事故というのは実は確率論的に起こるのである。もちろん個別には熟練している人は、初心者よりも事故を起こしにくいとか、大型機は小型機よりも事故を起こしにくいということがあるのかもしれないが、そうした個別の事例も確率論に落とし込めば、一定の確率で事故は起きると言える。

米軍基地の場合、当然米軍は事故を起こしたくない。そしてそれは沖縄に限らず、基地周辺に住む人も同じである。

しかし、国境や軍事機密の壁もあり、基地周辺に暮らす人達は、自分たちに関わる安全管理を基地の人たちに託すしかない。

そして、今回のような事故が起きてしまった。運良く死者はおらず、沖縄住民の財産に損害が出たわけではないが、それは運が悪ければ基地周辺に被害が出るということの裏返しである。

そうしたことに、基地周辺に暮らす人達が苛立つのは当然のことといえる。自分たちでできるわけでもない安全管理の問題に、どうして基地周辺の人たちが巻き込まれなければならないのだろうか。

先にも出したジャーナリストは「オスプレイは特殊訓練をするために開発された。そもそも安全な条件下での飛行を目的としていない」と述べている。(*2)

それは確かにそのとおりだ。だからこそ、安全な条件下での飛行を目的とせず、そのための訓練を積極的に行うのであれば、今後も今回のような墜落を含むトラブルは当然想定される。ならば「そのような機体を我々の暮らす近くで飛ばすな」は当然の批判なのである。

今回の事故の原因となった空中給油も、軍用機ならではの訓練だ。

空港から空港に向けて飛ぶ民間機では、空中給油などは行わない。最初から燃料タンクに積める燃料で飛べる区間しか飛ばないからだ。一方で、任務によって行く場所が変化する軍用機では、ときには空中空輸によって航続距離を伸ばす必要がある。だから空中給油という危険なことも行う。

特殊な訓練には危険が伴う。その危険性に対して、直接安全管理のできない人たちが対抗しようとすれば、それは当然「危険を近寄らせない」になるしかない。だから「オスプレイ反対」「米軍基地反対」になるのは当然なのだ。基地がなければ訓練機による事故はおこならい。事故は確率論的に起こり得るのだから、飛行機の飛ぶ数が減れば、事故の確率も減る。このことを否定できる論理はないはずだ。

一部のアメリカ大好きで、沖縄に暮らす人達を◯人呼ばわりして恥じない人たちは、今回の墜落を過小評価させるために、なにやらゴチャゴチャと騒いでいる

しかし現実にこうした事故が起きた以上、もはや「オスプレイの事故率は低い」とか「騒ぎすぎ」などというご都合主義的な批判は成り立たないし、かえってそのような批判がまかり通ること自体が、沖縄の人たちにとっては噴飯物であろう。

是が非でも沖縄に米軍基地が必要だという主張は分からなくもない。日本の安全管理を考えた場合に、どうしても地理的に沖縄が前線になってしまうのは仕方のない部分もある。しかしその一方で、だから「沖縄の人間は、我々内地人のために米軍基地を受け入れろ」と威張るのは傲慢でしかない。申し訳ないと頭を垂れるならまだしも、サヨクだ、◯人だの何だのと中傷する意味は、まったくもって不明である。

オスプレイが墜落したという現実を見据え、ごまかすこと無く問題を論じることでしか、基地問題の解消はありえない。誤魔化そうとする限り、米軍基地と沖縄の関係性はもちろん、僕たちのような内地の人間と、沖縄の人たちも距離もどんどん広がっていく。それは全く日本にとってマイナスでしかない。

オスプレイは落ちたのだ。事実を認識せよ。

*1:オスプレイ事故でデマ、「朝日新聞が意図的な誤訳」にソースなし 米軍司令官「感謝されるべき」発言(BuzzFeed)
*2:オスプレイ墜落事故に見るあまりにひどい「偏向報道」「情報操作」にもの申す(山田順  Yahoo!ニュース)
*3:オスプレイ事故率 「民間航空機より低い」 産経サイト、一部記述を削除(楊井人文 Yahoo!ニュース)

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