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アメリカ、利上げの行方

アメリカの金融政策を決まる今年最後のFOMCでイエレン議長は1年ぶりの利上げに踏み切りました。今回の利上げは下馬評でほぼ100%予想されていたため、利上げそのものへの影響はほぼ無風でありました。むしろ、2017年以降のFRBのスタンスがどうなるのか、そこがむしろ注目点でありました。その声明で17年、18年にそれぞれ利上げ回数を3回程度を見込むとしたため、それを受けて円が2円ほど急落、アメリカの株価はやや方向感がなくなっています。

ゴールドマンサックスも来年の利上げは3回とみていますが、私はそれはやや強気すぎるような気もします。一つはトランプ政権が掲げる重厚長大の経済改革プラン、及び、減税に対する原資などが議論の対象になることを考えれば政策が実態に反映するのは2018年以降と言われています。つまり、2017年は場合によっては調整の年になることもあり得ます。

アメリカが好景気の波に乗ってから既に7年半たっています。自動車販売は一杯いっぱいという感じもします。ここから先はインフレ傾向が強まるなかで良いインフレなのか、悪いインフレなのかの判断を含め、FRBのかじ取りは困難が予想されます。

株式市場をみてみましょう。株価は堅調でNYのダウは20000ドルにリーチがかかっています。しかし、これもトランプ政権への期待であって、株式市場特有の噂で買って事実で売るというスタンスに見えます。

よって、この心地よい相場つきが1月19日の就任演説までで一旦そこで現実に引き戻し、発言内容を吟味したうえで2017年の戦略を考えるポジションを取るプロ投資家も多いと思います。私もその方向です。また、統計的に新国家元首の市場での賞味期限が半年から1年半程度とされますから今の市場の「爆食い」では息が続かなくなる気がします。

FRBのスタンスは基本的にハト派的で慎重な姿勢を見せています。「高圧経済」と称する金利を低めに維持しながら国内景気をしっかり癒す政策も進めるとしています。理由の一つに国内景気がどうなるか、読みずらいことがあるでしょう。が、新興国からのドルの流出、さらにはドル資金調達コストの上昇で地球規模では必ずしも度重なる利上げがアメリカに良い影響を与えるものではないことも認識してもらいたいと思います。

FRBの「ドル高がもたらす世界経済への悪影響」への目くばせはかつてはもっと軽視でした。しかし、主要通貨であるユーロはまだ病み上がりであり、17年には数多くの国家元首選挙および、英国のEU離脱宣言を控え、大きく揺れる公算があります。中国は外貨準備が流出し、12月にも3兆ドルを切る可能性があります。それ以外にもロシア、インド、ブラジルなど新興国の経済は決して放置できる状態になく、アメリカ一人勝ち(個人的には日米だと思いますが)のシナリオは好ましくないだろうと思っています。逆に言えばFRBがトランプ政権の走りすぎな姿勢に対して手綱を締める位の関係になる必要があろうかと思います。

ところで日銀の話題は最近ほとんど出ませんが、次の定例会議は12月19-20日に予定されています。そこでの利下げ予想はゼロ。というより、黒田総裁任期の18年までもう利下げはないのではないかとみられています。私も方向性としてはそんな感じを想像しています。

日銀にとって棚からぼた餅のような今回の円安、株高局面は出来るだけ長く引っ張っておきたいと考えるのは当然でしょう。黒田総裁の深いしわもこれで若干伸びるようなものです。となれば、長期金利の上昇を抑えたオペを施しながら心地よい市場を享受する受け身の姿勢が想定されます。

あとは欧州の金融政策ですが、ドラギ総裁の12月の采配はやや中途半端な気がしました。緩和策を少しずつ減らしていきたい気持ちと欧州が抱える様々な不安材料から踏み込めない苛立ちすら感じさせるものでした。

ドル独歩高の歪みがより進むリスクは頭に入れておいた方がよさそうです。

では今日はこのぐらいで。

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