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今年のマネーマーケットを振り返って

マネーマーケットの今年を振り返るにはアメリカFOMCの決定を待たねばいけないところですが、利上げがあろうとなかろうと、日本のマネーマーケットがどうだったかを語るにはさほど影響しないと考えています。

ズバリ、今年一年は振り回された年だったと思います。

年明け早々、日経平均は18818円で寄り付いたものの中国の2度目の株価下落(一度目は15年夏)で不安たっぷりの年明け6日連続安でスタートしました。あの頃は中国はもうだめ、というコメントも多く、ネガなトーンが蔓延していました。

その後、その中国は国の威信をかけて株価のPKOを行ったため、その後、すっかり話題にも出ず、今日に至っています。もともと本土の株式は外国人投資家の流入が制限されていたため、素人個人投資家が噂で売り買いする「ばくち」市場であります。株価形成の脆弱性を見せつけたといってもよいでしょう。一方で、市場が小さいが故に政府がPKOでコントロールできたとも言えます。

その後、日経平均は上下しながらもチャート上は着実に下値を切り下げる動きとなったのは円安から円高への巻き返しが大きかったでしょう。これは15年12月にアメリカFOMCが遂に利上げに踏み切ったことで「材料出尽くし感」でもう当面は利上げはないだろうという市場の読みからドルの魅力が急速に失われ、円が買われたことが起因しています。

当時、アメリカでは泡沫候補であったドナルド トランプ氏が想定外の勝ち進みを見せ、民主党はサンダース氏が若者の人気を集め、アメリカは何処に向かうのだろうという不安感をたっぷり味合わせてくれていた時です。

そして今年最大のサプライズ第一弾は6月23日に英国で起きました。国民投票でEU離脱派が勝利したのです。これを受けて日経平均は衝撃的下げを見せ、結果として今年の最安値になる14864円を6月24日につけるのです。ちなみに6月24日の寄り付きは16333円でしたのでその日の寄り付きと安値の差は実に1469円にもなるのです。

それを底に日経平均はじわじわ上げに転じます。それは円ドル為替相場の落ち着きも理由の一つでしょう。世の中はアメリカの大統領選はクリントン氏の勝利という安心感すら漂っていました。そこに爆弾が落ちたのは皆さんご記憶にある通りです。

最大の読み違いはトランプ氏になれば円高株安になるとほぼすべての人が信じ切っていた点であります。開票当日、市場が直前まで開いていた東京では悲観ムードがピークに達し、株価は暴落、為替は101円台までつけます。多くはショート(売り建て)、円買いに走りましたがトランプ氏の短い勝利宣言で世の中は180度転換します。投資家が売り買い両方で損失を出す「往復ビンタ」を食らったといういうのはまさにこのことでありました。

株価はその後、嘘のような上げを見せ、為替は115円台とメキシコやトルコの通貨より売られた最も弱い通貨となりました。このままでいくと株は19000円台半ばを目指す展開、そして、為替も心地よい円安を享受して今年を終わることになりそうです。

このざっくりとしたこの1年のマネーマーケットの展開から私はある重要なポイントを読み取っています。それは株も為替もほぼ全て外国の要因で動いたということです。

ご記憶にある通り、日本の政策についてみると今年、最も注目された一つに1月29日の日銀のマイナス金利政策がありました。テレビではこぞって「主婦や子供でもわかるマイナス金利」を解説しました。しかし、その政策は賛否両論、極めつけは三菱東京UFJの国債入札特別参加者の資格返上という明白な反逆でした。

その後、日銀は長短金利の調整という奇策を取ります。実際にはこの奇策が新興国通貨より下がった現在の円相場のトリックでもあります。しかし、日銀が株や為替における主導的プレーヤーになることはありませんでした。

では政策ではどうでしょうか?アベノミクスについての賛否議論は今なお続きます。外から見るとそれが具現化せず、市場へのカンフルにならなかったということかと思います。マネーマーケットへの影響力に限って言えば良くも悪くもない、とも言えます。

結局、島国日本は外から揺さぶられ続けた1年でした。東洋の島国で世界3位の経済規模とは欧米からすれば実に都合のよい「通貨ヘイブン」だったと言えます。この造語は私がふと思いついた言葉ですが、安全通貨というより退避所的通貨の位置づけをより強くしたとも言えます。

こう見ると日本はグローバル化の中でしたたかに生きていかねばならないことを更に印象付けたと思います。日本のマーケットはもはや日本だけを見ていては判断を誤るとも言えるでしょう。

年後半には多くの金融アナリストたちが現状の株式市場や為替市場に関して「市場の予想不可能」とギブアップしたのは展開が非常に早くなった世の中でトレンド、ベクトル、バイアスを捉えにくくなったともいえるでしょう。これもマネーのグローバル化の理由です。

アメリカはアメリカ ファースト主義とされますが、いやいや、そんな中でしたたかに成長する国際企業はいくらでもあります。アメリカは閉ざしたわけでなくやり方を変えたのだ、という点に気が付くことが重要ではないでしょうか?来年も日本市場は海外に振り回されそうです。

では今日はこのぐらいで。

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