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トランプ政権とFRBの関係性と今後の米利上げの行方

 12月4日のイタリアの憲法改正の是非を問う国民投票では、予想されていたように憲法改正が否決され、この結果を受けてレンツィ首相は辞任の意向を表明した。しかし、市場はそれほど動揺を見せず、イタリアの銀行への影響は危惧されるものの、イタリアショックへの懸念は後退した。

 同日のオーストリアの大統領選ではリベラル系・緑の党のベレン元党首が僅差で勝利した。トランプ効果により、EU離脱派でもある極右・自由党候補のホーファ氏が勝利する可能性も指摘されていた。しかし、ひとまず極右の流れが欧州にも広まることは避けられた格好となった。

 ユーロに対する警戒が後退したことで、あらためて市場の焦点はFRBの利上げペースに移ってきた。12月2日に発表された11月の米雇用統計で非農業雇用者数は17.8万人と予想を少し下回り、10月分は下方修正されたが、失業率は4.6%と0.3ポイント低下した。この数字であれば、12月13、14日のFOMCで利上げを妨げる要因とはならない。

 市場での12月のFOMCでの利上げ予想はほぼ100%に近い。こうなると利上げしない方がむしろリスク要因ともなりうる。市場はさらに先を読んで2017年のFRBの利上げペースを意識している。

 来年の米国経済が果たしてどうなるのかは不透明感が強い。トランプ氏の経済政策への期待もあってトランプ相場と呼ばれる米長期金利や株式市場、ドルの上昇が起きたが、これにはFRBの利上げ観測も絡んでいる。

 現実に景気が回復し、物価の上昇圧力が強まれば、慎重なFRBも利上げのペースを早める可能性がある。OPECの減産合意による原油価格の上昇も後押し材料となろう。それでも不確実性は残る。

 トランプ政権とFRBとの距離感も良く掴めない。クリントン氏が大統領選で勝利するとクリントン氏と近いブレイナードFRB理事の存在が政権との関係に強く影響するとみられた。しかし、トランプ氏となるとFRBも戸惑っているのではなかろうか。イエレン議長の再任はないといった意見も出ている。今後は空席の理事について指名があるのではないかとみられ、トランプ氏に近い人物のFRB理事就任の可能性もある。

 トランプ氏もアベノミクスのようなリフレ政策を行うとの見方もあるが、物価や景気動向に即した利上げについては容認してくるのではなかろうか。むしろ正常化を進めることによって、米国経済の力強さをアピールしてくることもありうる。

 トランプ政権の金融政策運営についての方針は、はっきりしないものの、日本や欧州の動向なども参考に、少なくとも政府が積極的に金融緩和を促すようなことはしてこないのではないかと思われる。むしろ正常化に向けた利上げ方針を黙認し、FRBも景気物価動向次第の面はあるものの、年複数回の利上げを模索する可能性がある。

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